アジアの中でも英語力に長けているフィリピン人を雇用したいと考えている方もいるでしょう。フィリピン人を雇用する際にはビザ申請が必要となります。そこで当記事では、ケース別に必要なビザの種類や具体的な申請手順を解説していきます。フィリピン人の採用を検討中の方はぜひ参考にしてください。

フィリピン人はどんなビザで滞在してるの?

パスポート

日本に滞在するフィリピン人は年々増加しており、それに伴ってフィリピン人を雇用する国内企業も増えています。外国人が日本に中長期で滞在するためにはビザが必要となります。ビザには様々な種類がありますが、日本で働くフィリピン人はどういったビザをもっているのでしょうか?

日本で働くフィリピン人のビザについて解説していきます。

ビザとは一般的に「在留資格」のことを指します。日本に中長期で滞在する外国人は、必ず在留カードが付与され、「在留資格」が与えられます。在留資格には、様々な種類があり、種類によって日本に滞在できる期間や就労可が決まっています。なお、在留期間や在留資格は入国管理局が判断したものであり、雇用する企業側や本人の意向は反映されません。

そもそもビザとは何なのか

在留資格には、様々な種類があり、日本で就労できるものと就労できないものがあります。仮に就労不可の在留資格のフィリピン人を雇用してしまうと、「不法労働」となり、雇用側も法律で罰せられます。

場合によっては逮捕される可能性もあるので、在留資格についての基礎知識をおさえておくべきです。就労可能なビザの種類やビザの申請方法については、後ほど詳しく解説していきます。

フィリピン人が多いビザとは

日本に滞在している「在日フィリピン人」の数は2018年8月時点で27万人をこえており、在日外国人としてはベトナムに次ぐ第4位です。それでは、在日フィリピン人の多数が取得しているビザを1位から紹介していきます。

フィリピン人の在留資格は1位「技能実習」1万5583人、2位「技能・人文知識・国際業務」3850人、3位「転勤」1274人となります。「技能実習」の在留資格で働いているフィリピン人が大半をしめています。なお、業界別でみると製造業が44%、宿泊業・飲食サービス業が13%、卸売・小売業7%の順に多くフィリピン人が働いています。在留資格の種類や申請方法については後ほど詳しく解説します。

ケース別:フィリピン人の雇用に必要なビザとは

フィリピン国旗模様

フィリピン人に限らず、外国人を日本で雇用する際にビザが必要となります。フィリピン人の雇用に際してビザを取得する方法は「フィリピンから呼び寄せるケース」と「国内のフィリピン人を雇うケース」の2つに分けられます。

それでは、それぞれ詳しく解説していきます。

ケース①:フィリピンから呼び寄せるには

少子高齢化による人材不足といった日本の社会問題もあり、フィリピンから来日するケースは年々増えています。フィリピンから呼び寄せる具体的な手順を次で解説します。

在留資格を取得する方法は?

フィリピンから呼び寄せて雇用する際、ビザの申請手順は以下となります。

  1. 「在留資格認定証明書」の申請
  2. 在留資格認定証明書の送付および本人によるビザ申請
  3. ビザが発行 

それでは、それぞれ解説していきます。

「在留資格認定証明書」の申請

在留資格認定証明書とは、海外在住の外国人を招へいする際に必要な証明書です。この証明書があることで、秋冬ビザの申請がスムーズにできます。勤務予定先の管轄内にある入国管理局で、受け入れ企業の担当者もしくは行政書士などが代行して申請します。なお、準備するべき書類は申請予定の在留資格の種類によって異なるので注意してください。在留資格認定証明書については別記事で詳しく解説します。

在留資格認定証明書の送付および本人によるビザ申請

発行された「在留資格認定証明書」を本人に送付します。本人が「在留資格認定証明書」と他の必要書類を準備し、自国の日本領事館でビザの申請をします。

ビザが発行

ビザが発行され、企業での就労が可能となります。現地の日本領事館でビザが発行されるタイミングは、季節や国の事情によってバラツキがあります。なお、「在留資格認定証明書」の有効期限は発行日から3ヶ月以内です。有効期限内に来日しなければ、証明書が失効となってしまいますので、注意してください。

ケース②:国内のフィリピン人を雇うには

フィリピン人を雇用するには、本人がもっている在留資格が就労可能か「在留カード」で確認する必要があります。

冒頭の方でも説明しましたが、在留資格のないフィリピン人を雇用すると、不法労働となり、場合によっては逮捕される可能性もあるので注意してください。外国人の雇用に関しては「出入国管理法および難民認定法」で定められており、不法労働の場合は「不法就労助長罪」に問われ、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」が課せられます。在留資格の確認をしっかり行いましょう。

なお、日本で外国人が就労可能なビザは以下となります。

1外交外国政府の大使、行使、総領事、代表団構成員等及びその家族
2公用外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者及びその家族
3教授大学教授等
4芸術作曲家、画家、著述家等
5宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師等
6報道外国の報道機関の記者、カメラマン等
7高度専門職高度な学術研究、技術分野、経営・管理分野等
8経営・管理企業等の経営者・管理者等
9法律・会計業務弁護士、公認会計士等
10医療医師、歯科医師、看護師等
11介護介護福祉士、介護業務従事者等
12研究政府関係機関や民間企業等の研究者
13教育小中学校・高等学校の語学教師等
14技術・人文知識・国際業務機械工学等の技術者、通訳者、語学学校の講師、デザイナー、マーケター等
15企業内転勤海外の事業所からの転勤者
16興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等
17技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者等
18技能実習技能実習生

在留資格を変更する場合の申請方法は?

就労可の在留資格であっても、在留資格外の活動は認められていません。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもった通訳の仕事をしている外国人を教師として雇用できません。ただし、在留資格変更許可申請が通れば、雇用できます。また、「留学」の在留資格をもつ外国人を新卒社員として雇用する際も同じく在留資格変更許可申請が必要となります。

在留資格変更許可申請は、入国管理局で行います。在留カードに記載されている個人情報を元に、必要書類に当該外国人の氏名や国籍などを記入した上で提出します。在留資格変更許可申請に不安のある方やよりスムーズに申請を行いたい方は代行業者に依頼して申請することも可能です。

外国人を採用する場合の注意点は?

一般的に外国人を採用する際、現地エージェントを仲介する方法と直接雇用する方法の2つから選びます。手続きが比較的かんたんなことから、直接雇用する企業が多い傾向になります。しかし、2017年8月に法律が改正され、フィリピン人は直接雇用ができなくなりました。

フィリピン人を雇用する際、フィリピン海外雇用庁(POEA)認定の現地エージェントを通す必要があります。このルールができた背景にはフィリピンの社会的な事業があります。フィリピンの国外労働者が年々増加している中で、各地で「過剰労働」を強いられているケースも少なくありません。そこで、自国の労働者が不利益をこうむらないために、POEAが審査しているのです。

フィリピン人を採用する際は他の外国人とは異なり、認定された現地エージェントを通す必要があるので、注意してください。加えて、フィリピンと日本では文化による違いによって、働き方も異なることを理解しておきましょう。採用する際はしっかりと面談を行い、自社の企業文化や仕事の流れをしっかり伝えることで、ミスマッチを防げます。

フィリピン人のビザについてはバッチリですか?

フィリピン人 女の子

フィリピン人を雇用する際のビザについて理解が深まったでしょうか?フィリピン人を採用する企業は増えていますが、ビザを取得するまでの手順を間違えていたり、ビザの申請ができていなかったりとビザの問題を抱えてしまうと、企業としての信用を失ってしまいます。

採用の注意点で説明した通り、フィリピンとは他の外国人と採用する際のルールが少し異なり、フィリピン海外雇用庁認定の現地エージェントを介して雇用する必要があるので注意してください。また、事前にコミュニケーションを密にとることで、文化の違いによる問題も緩和できるでしょう。

フィリピン人を雇用する際のビザの種類や具体的な申請方法を理解いただけたでしょうか?万が一の問題を防ぐためにも、ビザの種類やビザの申請方法を把握しておきましょう。ぜひ自社でフィリピン人の雇用を検討してみてください。