2022年の世界GDPランキングでアメリカ合衆国についで2位である中国。地理的にも日本のすぐとなりに位置しており、歴史的にも古くから文化交流を深めてきました。

現在日本にいる中国人は外国人の中でもっとも高い割合で、ある意味では日本経済を支えているということもできそうです。そこで今回はこれからも日本国内で増えつづけるであろう中国人を雇用することのメリットと、その注意点についてご説明いたします。

日本での中国人採用はなぜ増えるの

中国人採用が増えている理由は2つあります。それは、

  1. すでに中国人を採用している
  2. 日本で働こうと考える人材がいる

ということです。

「すでに中国人を採用している」ということに関しては、ノウハウがあるということと、同民族のコミュニティがすでにあるため新しく採用してもなじみやすいといえます。

ここ最近の10年をみても日本の少子高齢化にともなう従業員不足は顕著で、海外からの入国規制の緩和もあいまって、国をあげて外国人雇用に積極的になってきています。

ただこれまで一度も外国人採用をしたことがない企業や、これまで採用したことのない国の方を採用することに、まだまだ恐怖感や不安感があるようです。そのようなわけで、これまでも多く採用されてきた中国人をさらに枠を増やして雇用しようという動きがあるようです。

また祖国を離れひとり働きに来る外国人のサポートは、日本人だけでは不可能という点もあります。同じ価値観や文化を共有している同僚がいるからこそ、精神的にも落ちついて勤務できるケースもあり、中国人の採用はよりいっそう見込まれています。

中国人採用が進んできた背景とは?

2023年6月の日本に在留している外国人の数は日本の全人口の2.63%、およそ322万人となっています。その約23%を中国人が占めており、76万人が日本国内に居住しているようです。

そのうちの40%が就業制限のない「永住者」など在留資格を持っている方たちです。このことが日本で中国人採用のニーズが高まる、大きな要因となっています。

くわえて中国人が日本国内に増えた理由は、さらに2つあります。

  • 清潔な環境
  • メンツを気にしない風土

清潔な環境がなぜ魅力なの?

ニュースなどでは何度も取り上げられていますが、中国ではここ数十年での経済発展に伴って国内の環境汚染は深刻化しています。

大気汚染によって呼吸器疾患やアレルギーが増加し、健康問題が深刻化しています。また水質汚染は飲料水の安全性に関する懸念を引き起こし、土壌汚染もの品質に影響を与えています。
これらの問題に対処するために中国政府は環境保護や持続可能な開発に向けた取り組みを進めていますが、課題は根深く、解決には時間がかかるとされています。

このような問題が中国よりも少ない日本は、健康に暮らしたい中国人にとっては魅力的に映ることも多いようです。

メンツを気にしない風土がなぜ魅力なの?

また文化的背景からみると、中国では「メンツを保つ」ことがかなり重要視されています。このメンツ(面子)とは、名誉や世間体、人徳などを意味するものです。

具体的な例をあげると、中国人が国内で外食をするときは、ほぼかならず実際に食べられる量より多く注文して残して帰ります。これは自分の財力をまわりに誇示するためのもので、残った料理の量が多いほど裕福と見なされるためです。

日本でも「空気を読む」ことが重要視されますが、中国においても「メンツを保つ」ことに疲れるという方は一定数いるようです。

その点で見ると中国人が日本に住むのにメンツはそれほど必要なく、ラクに生きられるため人気のようです。

中国における労働状況の変化とは

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経済発展が著しいですが、中国の採用事情はかなりきびしい状況になっています。経済の悪化、求職者の増加、西洋諸国での就労ビザ取得難化、などが向かい風となっています。

実際に中国都市部の一流大学を出たとしても就職できない人もいるようです。増えつづける若者の求職者と採用枠の少なさが社会問題にもなっています。また何とか就職できたとしても労働環境は厳しいようです。

最近話題になっている「996問題」がその最たる例といえるかもしれません。

996問題とは、「午前9時から午後9時まで、週6日間働くということ」で、中国国内での働き方として一般化してしまっています。
かのアリババCEOもこの働き方に賛同していたほどで、規定勤務時間を超過しても残業代は支払われないケースがほとんどだといいます。一昔前の日本のようだと思う方もいるかもしれませんね。

ここまで厳しい労働環境でも、これまで中国人が国内で就職を希望していたのには理由があります。それは諸外国との労働格差が激しく、働き口がないために国内で働くしかないためです。

一部の若者はこれに反発して海外でお金を稼ごうと、犯罪にまで手を染めた方もいました。日本で在留している中国人というと、良くないイメージがあるのもこの頃の事件やニュースの印象がいまなお残っているからです。

しかしいまでは中国の経済発展に伴い、教育事業も多大な発展を遂げているので、専門知識や技術に優れた有能な人材を諸外国で採用するケースも増えてきました。

先に述べたように西洋諸国では中国人に対して就労ビザ取得の規制が強い国もありますが、日本においては規制が緩くなっている傾向があります。ですからより労働環境のいい日本に就職しよう、と来日する中国人が増えている現状があります。

中国人採用のメリットと注意点

日本企業と中国人求職者、需要と供給がマッチしている組みあわせですが、われわれ日本人としては中国人採用についてどんな点に注意すべき必要があるのでしょうか? また中国人を採用することで、企業が得られるメリットについても紹介します。

中国人採用のメリットは!?

中国人を採用するにあたってのメリットは2つあります。

  • 対中国人のマーケティングができる
  • 異文化の理解、多様性の促進

対中国人へのマーケティング

まず中国人に対してマーケティングができるという点に関して、中国国内だけにとどまらず、全世界における中国人の割合は、2019年現在世界一位と世界総人口の19%を占めています。

この大きいパイに対して、マーケティングが可能であることは最大のメリットといえるでしょう。

そしてさきほど述べたとおり、中国国内での経済発展の後押しで優秀な若者が多く輩出されています。彼らは言語習得能力という点でもすぐれており、日本のように自国語だけしか使えないということもありません。
2か国語もしくはそれ以上の言語をあやつることができるため、日本のような自国外での就職も容易であることが多いです。

異文化の理解、多様性の促進

もうひとつのメリットとしては、中国の文化や風土を入れることで、社内の活性化が期待できるという点です。これまでは在留外国人に対する就労規制が厳しかったので、日本企業で働く外国人は比較的めずらしい存在でした。

このような状況によって日本人のみの社内環境ができあがり、終身雇用制度と年功序列制度によって、日本独自の企業文化が育てられてきました。
しかし現在の日本はグローバル化が必要で、若者の考え方と働き方も変わってきているなかで、企業として体制の在り方を問われています。

時代に合わせて変化していくことが、企業として生き延びるためには必要です。その一歩として外国人を採用することで、企業としても新たに得る知見があります。それと同時に採用された外国人にとっても、独自の文化で培われた価値観や視点でものごとをとらえることで世界のマーケットで戦えるような状態になるでしょう。

中国人採用の注意点はマネジメント方法にあります

メリットも多い中国人採用ですが、以下の注意点を押さえ、十分に理解すればうまくいく可能性が上がります。

  • フランクに話す(敬語を使わない時もある)
  • 大勢の前で厳しく叱らない

フランクに話す(敬語を使わない時もある)

中国人の気質によるところもありますが、日本のような上下関係はあるものの言葉については敬語をあまり使いません。生徒と教師、部下と上司という関係であっても、対等という姿勢を崩さないため、悪気なくため口で話してしまうことも多々あります。

伝統的な日本企業としては「上司に敬語を使わないなんて失礼」という雰囲気がありますが、「中国はそういう文化なんだ」と理解して割り切ることで衝突はなくせるはずです。

大勢の前で厳しく叱らない

中国人に対しては大勢の前など、人の目がある場で厳しく叱らないようにしましょう。ここで重要なのは「人前で」「厳しく」という2点です。

先に述べた通り「メンツが重要」な世界に生きているのに、メンツを潰すようなことをするのはよくありません。日本に住んでいるからと言って、幼いころから植え付けられてきた習慣、それに基づく気質は簡単に変えられません。

中国人は厳しく叱らず、ほめて伸ばすことが重要です。これも、中国人特有の気質で、自分も他人もほめまくることで、自分のメンツを保つという文化的背景が影響しています。

中国人採用:今後は増加の一途をたどる

日本国内における中国人採用は、今後も増加していくことが予想されます。昨今の日本人労働者の減少と、政府の外国人に対する在留規制緩和をみても明白です。

このような背景から中国人採用は早く始める方がいいといえます。
もし興味がある場合には、ぜひ弊社までお声がけいただければと思います!