東京オリンピックの開催や円安などに伴い、外国人が日本の不動産に注目をしています。外国人はそもそも日本で不動産を購入可能なのかについてから、購入する際の必要な書類まで、具体的に解説します。

日本の不動産の購入を検討している海外の友人や部下がいる方はぜひ当記事を参考にしてください。

外国人は不動産を買える?

結論からいうと、日本において外国人による不動産の購入は可能です。外国人が不動産を購入する際の規則や規則について詳しく解説します。

日本では…

日本では、外国人も日本人と同様に不動産の購入が可能です。また、土地を所有することも可能となっています。外国人だからといって、特に制限はありません。自由に売買や相続が可能です。加えて、購入時に発生する税金なども日本人が購入する際と同様のものとなります。

他の国では、外国人の不動産購入に関する規則が異なります。ミャンマーやインドネシア、ヨーロッパ一部の国では外国人による不動産購入は不可となっています。タイ、フィリピン、シンガポールなどでは不動産の購入は可能ですが、土地の購入は認められていません。

また、オーストラリアでは新築物件あるいは土地のみ購入可能、マレーシアでは3000万円以上の不動産が購入可能など、外国人による不動産購入に制限をかけています。

一方日本では外国人が自由に不動産を購入できます。日本国籍の有無やビザの種類などの制限も一切ありません。

届け出の義務がある!

キーボードと手

海外在住の外国人(非居住者)が日本の不動産を購入する場合、外為法の「資本取引」となり、届け出の義務があります。不動産取得から20日以内に財務大臣宛に取得名義人の名前や取得価格などを書面で報告しなければなりません。

ただし、以下のケースは届け出不要となります。

  1. 非居住者本人または当該非居住者の親族若しくは使用人その他の従業員の居住用目的で取得した場合
  2. 日本において非営利目的の業務を行う非居住者が、当該業務遂行のために取得した場合
  3. 非居住者が本人の事務所用として取得した場合
  4. 他の非居住者から不動産を取得した場合

引用:PLAZA HOMES

なお、外国人が不動産を購入する際に必要な書類は当該外国人が日本在住が海外在住なのかによって異なります。次から必要な書類をケース別に詳しく解説します。

購入に関し必要な書類とは:日本に住んでいるケース

日本に住んでいる外国人が不動産を購入する場合、必要な書類は以下の4点です。日本の配偶者がいる方、永住者、ワーキングビザを持っている方などが該当します。

  1. 外国人住民票
  2. 在留カード
  3. 印鑑証明書
  4. 印鑑

1.外国人住民票

外国人住民票は、当該外国人が住んでいる市区町村の窓口で申請し、取得します。もし購入者が日本に子会社や営業所がある場合は、外国人住民票ではなく、「資格証明書」と「会社登記簿謄本」が必要です。

2.在留カード

不動産を登記する際に必要となります。日本国内での当該外国人の身分を証明するものです。

3.印鑑証明書

売買契約を結ぶ際に必要となります。印鑑証明書は、外国人住民票と同様に所在地の市町村で印鑑を登録すると、取得できます。なお、購入する外国人が日本に子会社や営業所がある場合は代表者の会社の実印での印鑑証明書が必要です。

4.印鑑

売買契約書などで捺印する際に必要となります。世界的に契約の際に印鑑を使う国は少ないです。日本で作るのが無難でしょう。

購入に関し必要な書類とは:海外に住んでいるケース

海外に住んでいる外国人が不動産を購入する際に必要な書類は以下の4点です。

  1. 住民票の代わりとなる書類
  2. パスポート
  3. 印鑑証明書の代わりとなる書類
  4. 印鑑

1.住民票の代わりとなる書類

住民登録制度のある国では、各国で登録した証明書が住民票代わりです。例えば韓国の場合は、「住民登録証明書」が日本の住民票代わりとなります。購入者が住民登録制度のない国にいる場合、その国の公証人に認証された「宣誓供述書」が住民票代わりです。

来日する際にその国の在日大使館領事部で認証された「宣誓供述書」も有効となります。法人の場合は、その国の官庁によって発行された「法人登録証明書」か「宣誓供述書」が必要です。

外国人が不動産を買う上での注意点とは

注意 表記

外国人が日本で不動産を自由に購入できることや、購入の際に必要な書類は把握できたでしょう。ここでは、外国人が不動産を買う上で知っておくべき注意点を解説します。

流れをチェック

まず、外国人が不動産を購入する流れを確認しましょう。外国人が不動産を購入する流れは以下の5段階に分かれます。

  1. 不動産会社と契約
  2. 住宅ローンの申し込み
  3. 手付金・仲介手数料などの支払い
  4. 売買契約の締結
  5. 物件の引き渡し

1.不動産会社と契約

購入する物件を決め、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、契約した不動産会社を介して不動産を購入するという取り決めのことです。契約内容に了承の上、契約書にサインと捺印をします。

2.住宅ローンの申し込み

一般的に、不動産を購入する際は住宅ローンでの支払いとなります。不動産会社を通して住宅ローンを申し込むことも可能です。ただし、住宅ローンを申し込めるのは、日本での永住権をもっている外国人のみとなります。他の支払い方法では、海外送金が一般的です。

3.手付金・仲介手数料などの支払い

不動産の支払い方法が決まった後、不動産価格の一部を支払う必要があります。手付金・仲介手数料・印紙代の支払いが必要です。一般的に、手付金は現金で支払います。印紙代は不動産会社によって異なるため、事前の確認が必要です。

4.売買契約の締結

ここで正式に売買契約を結びます。売買契約時に必要な書類はすでに説明した4点です。購入者が日本在住の場合と海外在住の場合で必要な書類が異なるので注意しましょう。

5.物件の引き渡し

売買契約が成立すると、いよいよ物件の引き渡しです。物件引き渡しと同時に不動産の所有権の移転もしなければなりません。一般的には、司法書士に依頼し、法務局で所有権移転登記が行われます。

注意点とは

不動産業者

外国人が不動産を購入する際の主な注意点は以下の3点です。

1.不動産業者選び

不動産選びには注意してください。不動産会社によっては、外国人に高額な物件を買わせたり、条件の悪い物件を買わさせたりするケースもあります。信頼できる不動産会社を選びましょう。信頼のできる不動産を選ぶには、通訳を雇うのが効果的です。特に不動産取引は専門的な内容も扱うため、外国語である日本語で全てを理解するのは難しいでしょう。通訳がいることで、正しい情報を知ることができ、信頼のできる不動産業者を選ぶことができます。

2.確定申告

中には投資用で日本の不動産を購入する外国人もいるでしょう。投資用に不動産を購入する場合、購入した不動産から発生する収入を「確定申告」する義務が生じます。確定申告は税理士への依頼が可能です。

3.納税管理人制度

海外在住の外国人が日本の不動産を購入する場合、海外から日本の税金の支払いや確定申告を行うのは難しいでしょう。そこで便利なのが「納税管理人制度」です。納税管理人とは、自分の代わりに税金の支払いや確定申告の提出を代行する人をさします。日本に友人のいる友人や、不動産管理会社のスタッフが納税管理人に該当します。

外国人の不動産購入について掴めましたか?

家と人

日本では、外国人が自由に不動産を購入できます。海外の投資家が投資用に日本の不動産を購入するケースも少なくありません。外国人が日本の不動産を購入する際の手続きは日本人が購入する際とほとんど同じです。

ただし、海外送金や必要書類が多少異なります。外国人が不動産を購入する際の手順や必要書類を把握して、今後のビジネスでのヒントにしてください。