在留外国人数は約273万人といわれています。日本の少子高齢化問題が進む中、人手不足を補うために外国人を雇用するケースはこれまで以上に増えてくるでしょう。

日本企業は中長期在留者の雇用を行う前にメリットやデメリットについて採用方法も含めて把握しておくことが大切です。今回は、中長期在留者を雇用するメリットは何かをメインに解説します。

中長期在留者とは?

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アジア諸国や新興国出身で日本を訪れ、中長期在留者になる人はたくさんいます。

中長期在留者という言葉を聞いてどのような外国人を言うのかすぐに理解できる日本人は少ないでしょう。ここからは中長期在留者とはどれくらいの在留期間からなのか、在留資格にはどのようなものがあるのかを解説します。

どれくらいの期間から中長期なのか

中長期在留者とは、在留資格を持っていて3か月以上の在留期間が決定された人を言います。次の条件に該当する場合は中長期在留者ではありません。

  • 3か月以下の在留期間が決定された
  • 短期滞在ビザ、外交ビザ、公用ビザと短期滞在の在留資格が決定された
  • 外交または公用の在留資格が決定された
  • 上記3つに準じるものとして法務省令で定める人

出入国管理及び難民認定法いわゆる入管法が2019年4月に施行されてからは、在留期間の上限が3年から最長5年と伸びました。

 在留資格は

ビザ

日本で長期的に生活するには、入管法で決められた在留資格が必要です。在留資格はビザやパスポートとは別物で、法務省へ申請手続きする必要があります。申請した範囲内であれば、収入を伴う活動をしても問題はありません。

現在、在留資格は33種類あります。どのような生活をするかが明確である活動類型資格と地位に関係した地位等類型資格の2つに分類することが可能です。

入管法改正前は製造業、農業、サービス業などの業種での中長期在留者の受け入れはあまり行われていませんでした。留学生がアルバイトをしたり、インターンやワーキングホリデーの制度を活用して特定活動として働いていたりするケースがほとんどだと言えるでしょう。

入管法改正後はこれらの業種の受け入れを認め、より中長期在留者が働きやすい環境づくりへの取り組みが積極的に行われるようになりました。

また、中長期在留者は在留カード交付の対象です。在留カードがないと日本で就労することは、基本的にはできません。入管法改正前は不法滞在者も在留カードの交付対象でしたが、改正後は対象外となりました。不法滞在者は強制退去や刑罰を受ける可能性があることも知っておきましょう。

中長期在留者を雇用するメリット・デメリット

男性

中長期在留者を雇用するにあたって発生するメリット、デメリットは何かを企業側は知っておく必要があります。

これまで外国人を採用したことがない企業の場合は、さまざまなケースを考えながら慎重に採用に向けて知識を身に付けていくようにしましょう。ここからは中長期在留者を雇用するメリット、デメリットを紹介します。

メリットは

中長期在留者を雇用することで期待できるメリットは2つあります。1つ目は、グローバル化に対応しやすくなります。外国人を雇用すれば、海外進出した時に現地からの信頼を得られやすく文化や慣習への抵抗も少なくて済みます。

言語の壁という大きな問題も、数か国語話すことができる人材がいれば簡単に解決することができるでしょう。インバウンドが増加する中、コミュニケーションを自由にとることができる人材はこれからの日本企業に必要不可欠です。

2つ目は、新しい視点を取り入れることができます。日本人と外国人とでは育った環境や受けた教育が違うため、これまでにない刺激を企業内に取り入れることができるでしょう。小規模化する日本市場の中で、競合企業と差別化できるサービスを探し求めている企業には大きな力を発揮することが期待できます。

デメリットは

中長期在留者を雇用することで考えられるデメリットは3つあります。

1.職場に馴染めないということ

日本は礼儀を重んじる文化があり、決め事に関しても堅苦しい部分があります。日本人にとっては当たり前のことでも、外国人である中長期在留者にとっては理解できないこともたくさん起こるでしょう。出身国によって、考え方や価値観はさまざまなので日本の常識を押し付けないように気を付けることが大切です。

2.コミュニケーションが上手くとれないこと

外国人が話すことができる日本語レベルはさまざまで、ほとんど話せない人もいれば日常会話レベルの人もいます。企業側も外国語が話せるスタッフを雇ったり書類の翻訳を行ったりと中長期在留者が働きやすい環境づくりに努めることが大切です。

3.日本人を雇用する時には発生しない労務管理をする必要があること。

在留資格や在留期間の確認は必ず行いましょう。他にも、就労ビザの申請や取得要件をクリアしているかも確認しなければいけません。人事担当の負担を軽くするために、専門家に頼ることも大切です。

外国人を10人以上雇用するとなれば、専任管理者を配置することが決められています。就業規則や労働契約書といった書類は、雇用する外国人の母国語または英語で作成すると親切でしょう。雇用する人の在留資格を切り替える必要も場合によってはあります。たとえば、日本に留学している人を雇う場合は留学から就労に切り替える手続きが必要です。

中長期在留者を雇用するには

How

中長期在留者を雇用するにはどうすれば良いか、採用方法に詳しい企業の人事担当者はま少ないのが現状です。効率良く外国人の採用活動を行うにはどんな方法がベストなのか確認していきましょう。

方法は?

中長期在留者である外国人を雇用する方法は、日本人を雇用する場合とさほど変わりません。ハローワークや転職サイトで募集するのが定番です。転職市場の変化に合わせて、外国人採用に強い転職サイトも増えてきました。

中長期在留者の採用を具体的に検討する場合は、在留資格があるのかと日本語能力レベルを確認しましょう。採用試験を実施する時は、日本語能力を測るためにもビジネスレベルの読み書きができるかしっかり見極めることが大切です。

無事に優秀な人材を見つけ、中長期在留者を採用するとなったら企業側は外国人雇用状況の届出を提出します。また、中長期在留者が退社することになってもこの外国人雇用状況の届け出を提出しなければいけません。

外国人雇用状況の届け出には該当する外国人の氏名、在留資格、在留期間を記載します。提出しなかったり虚偽内容を記載したりすると罰金を支払わなければいけなくなることもあるので注意しましょう。

中長期在留者の雇用について掴めましたか?

日本

中長期在留者である外国人を雇用することで、企業にはメリットとデメリットの2つが発生することになります。まずは、企業の人事担当が中長期在留者についてきちんと理解し働きやすい環境づくりに励むことが大切です。義務化されている手続きもあり、守らない場合は罰金を科されることもあるので注意しましょう。

求人募集を出す方法は日本人と大きくは変わらないので、スムーズに行うことができます。在留資格や在留カードを持っているか確認することを忘れないようにしましょう。