外国人採用が一般的となっているいま、日本で働くネパール人が急増しています。日本人によく似たネパール人ですが、一緒に働くうえで注意すべき点もいくつかあります。実際に、ネパール人と仕事をするようになった時、どうやって彼らと接したらよいのでしょうか?

本記事では、ネパールからの留学生へのインタビューをもとに、ネパール人の特徴や文化についてご紹介します。

ネパールってどんな国?

・若者が多い

ネパールの国土は北海道の1.8倍ほどの大きさで、その土地には世界最高峰の山であるエベレストがあることでよく知られています。

8000メートル級の山は8座あり、その山のあいだに約3000万人弱のひとたちが暮らしています。しかし、人口のほとんどが若年層である点が特徴的であり、生産年齢の人口がぜんたいの6割以上をしめ、高齢者は5%以下となっています。

人口の少なさに反して、働き盛りの方が多い国であるといえます。

参考:ネパールの人口

・出稼ぎと留学が一般的

働き盛りの若者が多いネパール人ですが、ほとんどの若者は海外にでて進学し、働きます。600万人以上が不在人口であるほどです。ネパールでは経済成長がうまくいっていないことから、みな良い待遇をもとめて海外にでます。

今回インタビューした留学生の方も、家族が都内で飲食店を経営しており、日本に7年以上すんでいます。

・日本で急増中!

日本へのネパール人留学生も非常に多く、2022年の調査では、第4位である18,825人を記録しています。

参考:2022年度(令和4年)外国人留学生在籍状況調査結果

日本へ働きにくるネパール人もふえています。厚生労働省の調査によると、日本にいるネパール人労働者の数は11.8万人で4番目に多いことがわかっています。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

ネパール人の特徴

・助け合いの精神

ネパール人は日本人に似た性格をもっています。そのひとつとして、助け合いの精神があります。

2015年、ネパールではマグニチュード7.3の大規模地震が発生し、インフラは遮断され、物資の流通も制限されました。その際に、ネパール国内において目立った暴動や略奪は見られなかったといいます。自分本位な行動をせずに、むしろお互いに助け合っていたことから、3.11が起きた当時の日本に似ていると話題になりました。

こうした精神や振る舞いは、意図的に学ぶものではないことから、日本人となじみやすい国民性が根付いているといえるでしょう。

・お客様は神様?!

ネパールでは、来客やゲストを神様のように迎え入れることが当たり前のようです。どのような相手に対してもリスペクトの心をあらわし、積極的に手助けしていきます。

ただ、日本人に比べると、シャイではなく、オープンな姿勢をもつようです。

・控えめな性格

オープンな姿勢をもち、初対面でも親しみやすいですが、多くのネパール人は控えめな性格だといいます。

これは語順が日本語と同じであるのも関係しているかもしれません。英語だと「私は、する、野球を」のような語順になり「私がやるんだ」という自己主張型の表現になります。

対して、ネパール語は日本語と同じように「私は、野球を、する」という語順で話します。そのためか、ネパール人には「おれが、おれが」とまえに出てくるタイプは少ないともいわれています。

日本人に近い、人間関係の常識や、対話する際の距離感をもっているといえるでしょう。

・英語が堪能

公用語はネパール語ですが、ほとんどの方が英語も堪能です。

ネパールでは、日本と同じように塾が一般的なようで、その中でも特に英語に特化した塾にみな通うそうです。そのため、多くの方が英語を流暢にはなし、オーストラリアのような英語が公用語の国も留学先や出稼ぎ先として人気だといいます。

・ハードワーカー

ネパール人はハードワーカーの方が多いです。みな、常に仕事をしている状態を望んでおり、海外への出稼ぎが多いのにも影響しているといえます。

また、ほとんどのネパール人が経済的に独立したいという思いをもっています。若いころから、母国にいる祖父母に仕送りをするのが一般的です。そのため、熱心に働く方がおおいと言えるでしょう。

仕事をする上で気をつけるべきこと

・時間にルーズ?

ネパール人と日本人の大きなちがいとして、時間感覚があります。

ネパール人の多くは時間に対してルーズな性格で、「ネパリタイム」という言葉が存在するほどです。「遅刻が当たり前」という文化なので、時間を守ろうとする日本人とは感情的な衝突があるかもしれません。

しかし、そういった傾向があるというだけで、すべてのネパール人が時間にルーズなわけではありません。きちんと時間を守れる人もたくさんいます。

ネパール人を採用する際には、「日本では、時間を守ることが大切である」ことを人一倍に説明しましょう。遅刻が絶対にゆるされないケースの場合は、実際の集合時間などよりもはやめの時間を伝えておくと安心です。

・ヒンドゥー教

ネパール人と働くうえでいちばん気をつけるべきことは、宗教にまつわることです。ネパールでは、人口の約8割がヒンドゥー教徒で、その点で注意すべきことが2つあります。

1つ目は、ヒンドゥー教では左手が不浄なものとされています。そのため、食事の際には左手を使いません。とくに、握手では左手をださないように注意した方がよいでしょう。

2つ目は、食事に関することです。ヒンドゥー教では、牛は神の使いとされているので、牛肉が食べられません。また、バターやゼラチンのような、牛からとった出汁や脂肪の混合した加工食品も食べることができないので、要注意です。

厳しいヒンドゥー教徒の場合は、肉全般や、魚なども食べないことがあるので、ともに食事をする時には、事前に確認をとって、じゅうぶん注意するようにしましょう。

・家族中心の生活

南アジア全般に共通したことですが、ネパールでは家族との時間を生活の中心とします。

家族とともに暮らすのが一般的であり、ひとり暮らしはほとんどしないそうです。歳をとり、経済的に独立しても、親元は離れません。結婚すると実家を出ますが、それ以降も両親や祖父母と深いかかわりを持ちつづけます。また、家族が病気になったら仕事や学校をやすむのは当たり前のようです。

そのため、ネパール人を雇用するさいには、家族との時間を適切にあたえ、尊重するひつようがあると言えるでしょう。

まとめ

本記事では、留学生へのインタビューをもとに、ネパール人の特徴や、日本でネパール人と働くうえで気をつけるべきことについてご紹介しました。見ていただいたように、ネパール人は性格や国民性の面で日本人に似ていますが、文化的に異なる面がたくさんあります。

ネパール人は働き盛りの若者が多く、観光客への対応や人手不足になやまされている日本で間違いなく貴重な人材となります。

外国人採用をお考えの方はぜひ参考にしてみてください!