日本に住む外国人も、日本人同様「マイナンバー」を持っていることはご存知でしたか? 入社時期、年末調整、確定申告の時期などに必要となる「マイナンバー」ですが、日本人従業員への対応はしていて、外国人従業員への対応はしていない…ということはないでしょうか?

そこで今回は、外国人のマイナンバーに関する疑問について解説いたします。

マイナンバーは外国人でも持っているの? マイナンバーを持っていない外国人を雇用してもいい? など、「外国人とマイナンバー」について解説いたします。

マイナンバー(個人番号)とは?

マイナンバーは行政を効率化して、国民の利便性を高めて公平公正な社会を実現する社会基盤といわれています。住民票をもっているすべてのひとにひとつの番号をお知らせするものです。

令和5年11月~12月に行われたインターネット調査では、マイナンバーカードの取得率は86.6%。マイナポイント施策なども取得率の向上に大きく寄与しました。

マイナンバーは何に使えるの?

マイナンバーは、日本に住民票を持つ人が持っている12桁の番号。

国の行政機関や地方公共団体は、住民票コード・基礎年金番号・健康保険被保険者番号など、それぞれ独自の番号で個人情報を管理していました。しかしマイナンバーの導入により、複数の機関に存在する個人のデータをひとつに紐づけることが可能になりました。

マイナンバーは行政の効率化を図り、国民の利便性を高めて公平公正な社会を実現することに役立つといわれています。

理由としては以下のようなものがあります。

⑴ 行政が効率化する理由

行政機関や地方公共団体で複数の情報を照合、管理、入力する作業時間が短縮されます。個人データの連携が進み、事務処理のムダが減るのです。

⑵ 国民の利便性が高まる理由

各種申請に必要だった添付書類が減り、事務手続きが簡単になります。

⑶ 公平公正な社会が実現する理由

マイナンバーによって本人の所得、行政サービスの受給が正しく管理されます。これによって不正受給などを防ぐことができます。

外国人にマイナンバーが付番されるタイミングは?

外国人は入国した当初は「在留カード」を持っていますが、このときにはまだマイナンバーは付与されていません。

市区町村で転入届を出すと住民票が作成されますが、その後に「通知カード」の交付によってマイナンバーが付与されます。そのため長く日本に住んでいる外国人の方には、基本的にマイナンバーは付番されています。
日本人と同様に、外国人のマイナンバーは社会保障や税や災害対策などの分野で利用されます。

外国人だからといってマイナンバー取得の特別な手続きは不要で、住民登録をすると自動でマイナンバー通知カードが発行されます。

具体的な流れは以下のようになります。

  1. 日本に中長期滞在するため、「在留カード」が交付される
  2. 居住地を決め、市区町村役場へ転入届を出す
  3. 住民登録をすると、マイナンバーが付番される
  4. 住民登録の2~3週間後、自宅にマイナンバー通知カードが送付される

「マイナンバーカードを紛失してしまったけど、すぐにマイナンバーを確認したい」という場合もあるかもしれません。そのような場合には、マイナンバーが記載された住民票を市区町村役場で発行できます。
自社に勤めている外国人がマイナンバーカードを紛失してしまった場合などは、マイナンバー入りの住民票で番号を確認しましょう。

他国にマイナンバー制度はある?

海外でも「個人番号」の制度が広く活用されているのはご存じですか? 今回はスウェーデンの「パーソナルナンバー」をご紹介します。

スウェーデンでは、銀行口座の開設、スーパーやジムの会員登録、病院の診療、携帯電話や賃貸の契約など、なにかしらの登録や契約の際には、かならずパーソナルナンバーが必要です。
国民のお金の出入金や納税はもちろん、生活の隅々までパーソナルナンバーが浸透しています。

一方で日本のマイナンバーは、利用範囲がまだ限定されています。マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野のみで利用されています。また会社が従業員にマイナンバー提供を依頼するときは、かならず利用目的を明確にしなければいけません。

たとえば「源泉徴収票の作成」「雇用保険の手続き」など、従業員へ事前にマイナンバーの利用目的を示すことが義務づけられています。

マイナンバーを持つ外国人の注意点は?

マイナンバーへの理解は深まりましたか? ここからはマイナンバーを持つ外国人を雇用した場合の対応をご紹介いたします。

日本で働く外国人は、大きく以下のようにわけられます。

  • 就労ビザで働く外国人(正社員)
  • 留学ビザで働く外国学生(アルバイト)

それぞれ正しく手続きを行うため、外国人のマイナンバー提出について詳しくみていきましょう。

雇用の際には確認が必須!

外国人を雇用した場合、外国人従業員のマイナンバーをかならず確認する必要があります。

なぜなら外国人も日本人と同じように、マイナンバーが利用されているからです。企業は従業員や、その方の扶養家族のマイナンバーを取得し、行政機関などに提出しなければいけません。

マイナンバーを記載する書類は、おもに以下のとおり。

⑴ 年末調整

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 支払調書
  • 扶養控除等(異動)申告書

⑵ 社会保険

健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届、喪失届

⑶ 雇用保険

 雇用保険被保険者資格取得届、喪失届

日本人の従業員と同様に、外国人についてもマイナンバーを記載した各種届出が必要となっています。

 アルバイトでも提出してもらう

アルバイトとして雇用されている外国人にもマイナンバーを提出してもらいましょう。

まず、外国人が在留資格で認められていない活動をするときは、資格外活動許可を受けなければいけません。もちろん留学生がアルバイトとして働く場合にも、資格外活動許可が必要です。

アルバイトの場合も正社員と同じように、社会保障や税の手続きにマイナンバーが必要となります。忘れずにマイナンバーを提出してもらう必要があります。もし拒否されてしまったら、どうしてこちらが必要であるのかを伝えて、理解してもらえるよう心がけましょう。

外国人のマイナンバーについて理解が深まりましたか?

外国人であっても日本に住民登録をすると自動で付番される仕組みです。取得のための特別な手続きはなく、在留カードを持つ外国人が市区町村役場で住民登録をすれば、マイナンバー通知が送付されます。

そのため外国人を雇用したら、年末調整、社会保険、雇用保険に関する書類の提出時にマイナンバーを記載しなければなりません。就労ビザを持つ正社員はもちろん、留学生のアルバイトを雇用している場合も、必ずマイナンバーを提出してもらうようにしましょう。

マイナンバーは日本ではまだ浸透しておらず、制度や事務手続きが難しく感じてしまいますよね。しかし、外国人を雇用するうえで、マイナンバーの提出は必要不可欠です。また、今後は活用の幅も広がっていくことが予測されます。

マイナンバーの制度を理解し、しっかり手続きを行いましょう!