日本では多くの留学生が勉学に励んでいますが、企業内定率は40%ほどしかありません。2018年卒の大学生全体の就職内定率が98.0%であったことを考えれば大変少ない数字と言えます。

この低い内定率の原因は、就活時期の早期化などいくつか考えられますが、そのなかでも大きな要因に、複雑と思われやすい「ビザ」の問題があるでしょう。そこで今回は、留学生に必要なビザとその取得手続きをご紹介していきます。

留学生の持つビザをわかりやすく説明!

留学生
まず前提知識として、留学生の持つビザについてご説明しましょう。ビザには分類方法として「就労ビザ」、「一般ビザ」、「外交ビザ」などの種類があります。
※「一般ビザ」はあまり使う言葉ではなりませんが、ここでは便宜上そう呼ばせていただきます。
その中で日本に来て勉強している留学生の持つ留学ビザは、「一般ビザ」に分類されます。よって留学生が日本で就職するには、「就労ビザ」への変更手続きが必要となるのです。

ケース別ビザ取得の注意点!

留学生の持つビザは「一般ビザ」に分類されるので、日本で就職する際には「就労ビザ」への変更が必要です。留学生が就職するパターンは大きく分けて「在学中に就職先が決定するケース」と「卒業後に就職先が決定するケース」の2種類があり、パターンによって必要なビザの種類や取得手続きは異なります。ここでは、ケース別に留学生が就職に向けてビザを取得する際の手続きや注意点をお伝えしましょう。
パスポートとビザ

【就職活動】ケース① 在学中に内定が決まったら?

学生
在学中に就労ビザへの変更手続きとして、「在留資格変更許可申請書」を出入国在留管理庁に提出します。ビザの変更申請は例年12月から可能となるので、早めに準備するのがオススメです。
なおビザの変更時には、留学生と雇用先企業の双方に対して審査があり、主に大学で専攻内容と業務内容との関連性が審査されます。

【就職活動】ケース②卒業後に内定をとるには?

人的資源 キーワード
日本人の感覚とは異なり、外国人留学生は在学中に就職先を決めることにこだわらず、卒業後に就職活動を行う場合も多いのはご存知でしょうか?卒業後に内定を得たい留学生は、特定活動ビザを取得する必要があります。この特定活動ビザとは、就労や永住、観光などには該当しない「その他の活動全般」を行う外国人に支給されるビザで、それぞれ許可された特定の範囲内での活動のみが許されるものです。
具体的にはインターンシップやワーキングホリデーなどの活動が該当し、この中に就職活動も含まれます。在留状況が良好かつ卒業する学校から推薦を得た外国人留学生であれば、特定活動ビザを取得して就職活動に臨むことができるのです。
特定活動ビザでの在留期間は6ヶ月に限定されていますが、1回だけビザを更新することが許可されており、1回の更新で最長1年間にわたって在留期間を更新できるため、卒業後1年間は就職活動に集中できる仕組みとなっています。なお特定活動ビザを更新する際は、「在留期間更新許可申請書」という書類を管轄の出入国在留管理局に提出する必要があるので注意が必要でしょう。
ちなみに特定活動ビザを保有する外国人は、前もって「資格外活動の許可」をもらっていれば、週28時間を限度としてアルバイトを行えます。

【就職活動】ケース③9月卒業の留学生もビザ切り替えが必要?

卒業後すぐではなく次年度から企業に入社して働く場合にも、入社までの待機を目的とした特定活動ビザが必要となります。9月に卒業する留学生は、このケースに含まれるのです。
9月卒業の留学生ですでに企業からの内定をもらっている場合、大学ではなく内定先の企業にビザの申請書類を揃える手続きを依頼しなくてはいけません。そのため、9月卒業の外国人留学生を雇用する企業は、留学生と協力しあってビザの申請手続きを実施する必要があるので注意しましょう。

特定活動ビザへの切り替えは難しい?!

特定活動ビザへの切り替えには大学による推薦があるなどの条件を満たす必要があります。なお卒業後就活する場合は卒業証明書など、次年度に入社する場合は内定を証する資料などの提出が必要です。
なお書類の提出先は管轄の「出入国在留局」です。申請から特定活動ビザの取得までには1〜2ヶ月かかるので注意しましょう。

【祝・就職】留学生の就労ビザはこれだ!

外国人男女 会議

就労ビザには「技術・人文知識・国際業務」、「研究」、「教育」など17種類、「外交」「公用」を含めれば19種類あります。切り替えるには、前述通り「在留資格変更許可申請書」を提出しましょう。
なお企業側にも、採用通知書などの提出が求められるので注意してください。

留学生の就労ビザに必要な書類はこれ!

外国人採用に必要な書類

外国人留学生が「留学ビザ」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザに切り替える際には、留学生と企業がそれぞれ必要な書類を揃えて、管轄の出入国在留管理局に提出する必要があります。企業の規模により必要書類が異なるため、ここでは、外国人留学生の就労ビザ取得に必要なもっとも一般的な書類を、留学生と企業それぞれの側からご紹介しましょう。
なお下記で紹介する提出書類の中には、手に入れるのに時間や手間がかかるものもあります。就労ビザへの変更手続きを実施する際には、早めの準備を心がけることが重要です
(1)外国人留学生が準備・提出する書類
留学生が準備すべき主な書類は下記になります。
・パスポート
・在留カード
・在留資格変更許可申請書
・履歴書
・申請理由書
・卒業証明書もしくは卒業見込み証明書
申請理由書とは、就労ビザの申請理由を記載する書類です。この書類には、採用に至るまでのいきさつや大学で学んだ専攻内容と仕事内容との関連性を記述しましょう。なおこの申請理由書と履歴書は自由書式となっています。
(2)企業が準備・提出する書類
留学生を採用する企業が準備すべき主な書類は下記になります。
・雇用理由書
・採用通知書
・商業法人登記簿謄本
・決算報告書の写し
・法定調書合計票の写し
・会社パンフレットまたは自社のWebページを印刷したもの
企業側には、雇用した理由示す書類や損益計算書の写しといった書類提出が求められます。

留学生の就職に必要なビザは掴めましたか?

女子学生
今回の記事では、留学生の就労ビザに関するトピックを取り上げました。最後にもう一度、留学生が就労ビザを取得するまでの流れをおさらいしましょう。
まず外国人が留学生として日本で勉強するには、「留学ビザ」が必要です。一方で日本にて就職するには「就労ビザ」が必要となるので、ビザの変更手続きが必要となります。
就労ビザの取得に関しては、在学中に内定を得るケースと、卒業後に内定を取るケースでプロセスが異なります。在学中に内定を得る場合は、「在留資格変更許可申請書」を管轄の出入国在留管理局に提出する必要があり、一方で卒業後に就職活動を行って内定の得を目す場合は、「特定活動ビザ」を取得したで就職活動に臨まなくてはいけません。なお9月卒業の留学生についても、一度特定活動ビザを取得する必要があるので注意しましう。
いつ内定を取るかに関なく、留学生の就労ビザ取得には雇用する企業かせません。特に特定活動ビザを取得する際には、企業協力非常要となります。企業にも書類の提出がめられるので、留学生と協力ながら一に手続きをめていきましう。