外国人人材の受け入れの拡大で、近年は「特定技能」の資格を持つ方が増えていますが、フィリピンから日本に働きに来る方が増えています。

日本とフィリピンは地理的に近く、外見的にも同じアジア人で似ていることから、昔から国際結婚をするケースも多くありました。

実はあまり知られていないのですが、フィリピン人を雇用するには特別なルールが存在しています。そこで今回は日本で人気の高いフィリピン人の雇用について、徹底解説します。
フィリピン人雇用を検討されている方、すでに雇用していらっしゃる方はぜひチェックしてみてください。

フィリピン人は日本で働くことを求めている?!

フィリピンは2023年現在では、人口が1億2千万に迫っています。人口の構造としても若い世代が最も多く、今後もずっと人口が増えていくといわれています。

セブ島留学などは日本でも有名ですが、フィリピンの公用語は英語(+タガログ語)です。それゆえ外国に働く先をもとめるときも、どこへ行くか選択肢は多いです。

円安が進んでいるため、日本で働くことの人気は陰っているという意見もありますが、それでも地理的に近く過ごしやすい、というメリットもあり、日本で働きたいと考えるフィリピンの方はいまだ多いです。

多くのフィリピン人が日本で働いている?

厚生労働省が発表した2022年10月末時点の「外国人の雇用状況まとめ」では、フィリピンの方は206,050人で、外国人の労働者全体の11.3%を占めています。ベトナム、中国についで多く、日本企業とのつながりも非常に強くなっています。

フィリピン人と日本人の性格的な相性は?

フィリピンと日本は文化的な違いがあります。日本では当たり前と考えられていることが、フィリピンでは非常識なことに該当することもありますので、フィリピン人を雇用する際にはこの文化的なちがいを知っておくことが重要です。

たとえばフィリピン人は、一般的に仕事よりも家族との時間や長期休暇を大事にする傾向があります。あくまで一般論ですが、この事実を知らずに接していると、やる気の低下や離職を招く恐れがあるので注意しましょう。

他にもフィリピン人は大勢の前で怒られることには慣れていないため、反省点などを個別に直接伝えたほうがいいでしょう。
フィリピンでは人をほめて伸ばす文化があるため、日本人を雇っているのと同じ感覚で怒って育てようとするのはおすすめできません。

フィリピン人は日本語がペラペラ?!

外国人を雇用する際、「日本語がどのくらい話せるか」はとても気になる部分でしょう。
文化庁の発表している「国・地域別の日本語学習者数」によると、国内で日本語を学習する外国人の中でフィリピン人は5位であり、その数は1万人弱です。

日本にいるフィリピン人の大半は最低限の日本語を話すことができるので、他国の偏りも雇用しやすいです。

日本でフィリピン人を雇用できる??

日本企業が外国人を雇う際には、受け入れる外国人の「出身国に応じたルール」も知らなくてはいけません。特にフィリピン人を採用する際には、フィリピン独自のルールがあるので注意しましょう。

あらかじめルールを知っておかないと、法律に違反する恐れがでてきます。
この章でお伝えするのは、現地に居住しているフィリピン人を雇用する際に注意すべきルールです。

フィリピン人採用には独自のルールがある?

フィリピン人が日本で働くケースが増えていることに伴い、自分の会社でもフィリピン人を採用したいと考える企業は増えてきました。フィリピン人は日本語が比較的上手であるため、雇用しやすいのも事実です。

しかしフィリピン人を雇用する際には、独自の手続きが必要です。具体的には、「直接雇用が認められない」点と、「POEAPOLOと呼ばれる機関に対して手続きが必要である」点です。以下の項では、フィリピン人の雇用で知っておくべき各ルールを詳しく解説します。

現地に住んでいるフィリピン人は直接雇用できないって本当?!

一般的に外国人を採用しようと思ったら、現地エージェントを介す方法と、直接雇用する方法のいずれかから選択します。
傾向的には比較的ラクな「直接雇用」を選びたいと考える企業が多いです。

しかしフィリピン人については、2017年8月に行われた法改正によって直接雇用を実施することができなくなりました。
フィリピン人の雇用にはフィリピン海外雇用庁(POEA)が認定する、現地エージェントを通さなくてはならないのです。このようなルールがある背景には、フィリピンに特有の事情が関係しています。

フィリピンでは人口数が増加している一方で、国内に十分な仕事がなく就職難がつづいており、多くの人が仕事を求めて中東、アジア、ヨーロッパに出て行くのが現状です。
海外で働く外国人労働者と雇用する企業のあいだでは、やはりどの国でも「過剰な労働」を強いる問題などが発生しています。

フィリピン人口の推移グラフ

外国で働く人が多いフィリピンでは、自国の労働者がこの問題で不利益をかぶらないために、出国前に仕事をする企業の審査を実施します
審査を行うのはフィリピン海外雇用庁(POEA) であり、契約内容の適正さや現地企業の登録情報をする確認する役割を担っています。

POEAの介入なしにフィリピン人を雇用しようとした場合、出国時に止められてしまい、そもそも日本にやってくることができません。
フィリピン人を雇用する際には、かならずPOEAが認定した現地エージェントを通して手続きを行いましょう。

フィリピン人を雇用するために必要な手続きは?

ここでは具体的に日本企業がフィリピン人を雇用するために、必要な手続きをお伝えします。
まずはじめにPOEAが認定した現地エージェントとの契約が必要です。

現地エージェントとの契約が済んだら、エージェントからPOLOの審査に必要となる書類が送付されるので、書類を準備しましょう。
書類の準備が終わったらそれをPOLO(フィリピン海外労働局)に提出し、審査を受けなくてはいけません。

POLO(フィリピン海外労働局)とはPOEAの海外出張機関のようなもので、各国での審査を担う機関となります。
POLOの審査には10日〜2週間程度かかるケースが多いです。

書類審査が終わったら、日本にあるPOLOと経営者のあいだで面接を行います。
なお面接は英語で行われるので、通訳を連れて行くことが可能です。
この面接に通ると原則当日中にPOLOからの承認証書をもらえるので、その後、就労ビザ申請(在留資格認定証明書の申請)を実施しましょう。

ビザ申請が承認されたら、フィリピンの日本大使館でビザ取得の手続きが必要です。ビザ取得手続きが終わると、POLOからフィリピン人労働者に対して提出書類が送付されます。

フィリピン人労働者はその書類に必要事項を記載し、現地のPOEAに提出しなくてはいけません。フィリピン人労働者がPOEAからの就労許可をもらえたら、日本に来日して実際に仕事を行うことが可能です。

日本企業がフィリピン人を雇用する際の手続きは以上です。フィリピン人を雇用する際には就労ビザの取得手続きに加えて、POEAやPOLOに対する手続きも必要となり手間も時間もかかります。

フィリピン人を雇用する場合には時間に余裕を持ったうえで手続きに臨みましょう。
なお以前はPOLOへの手続きとビザ取得の手続きに関して、どちらから行っても問題ありませんでした。しかし2018年8月にPOLOが行った発表により、POLOに対する手続きを先に済ませることが原則となったので注意しましょう。

フィリピン人の雇用について詳しくなりましたか?

今回の記事では、フィリピン人を雇用するメリットや手続きについて見てきました。
直接雇用が認められていなかったり文化の違いがあったりと、フィリピン人の雇用には通常とは異なる点がいくつもあります。
そのため日本企業がフィリピン人を雇用する際には、多少なりとも手間がかかるのは事実です。

しかし日本語を積極的に学ぶフィリピン人は、日本企業にとって貴重な戦力となり得ます。
多少考え方に違いはあるもののコミュニケーションを円滑に行えるので、仕事を安心して任せることが可能です。フィリピン人を雇用する際には文化や考え方の違いに注意しつつ、フィリピン人の良さを最大限に活かしましょう!

※情報は2020年1月現在のものです。制度は頻繁に変更されますので随時最新のものを確認しましょう。