外国人の採用を決めたものの「面接」ではどんなことに注意すればいいかわからない。
そんな不安を抱えていらっしゃいませんか? 確かに面接は採用プロセスの中でも重要なポイントで、雇用前に外国人の能力や性格を見極められる唯一の場といっても過言ではないでしょう。
実際に採用面接では、複数回の面接を実施している企業が大半ではないでしょうか。

とくに外国人の雇用は事前に問題を認識して、しっかり準備をしておかないと業務上のトラブルのみならず法律上のトラブルにも発展しかねません。
そこで今回はスムーズな外国人雇用を実現したい会社さまのために、外国人との面接で注意するべき点、聞くべき質問などをご紹介いたします。

外国人の面接はここに注意しましょう

外国人を採用する際には、注意しなければならないことがたくさんあります。そこで採用前の面接時に各事項を確認して、対策をしておくことが後々の大きなトラブルを防ぐうえでも必要です。

コミュニケーション能力や仕事内容の適正以外にも、「書類」「日本語能力・英語能力」「文化の違いによる認識のズレ」などを注意しておくことで、外国人との効果的な面接ができてスムーズな外国人採用を行えるでしょう。

外国人との面接を行う場合にかならず確認・注意するべき内容を、今回はご紹介していきましょう。

まずはこの書類をチェック!

ビザ申請書記入

外国人を雇用する上で、その人物が「法律上も就労可能かどうか」を見極める必要があります。
これを確認せずに「在留資格のない人物」を雇用したり、「在留資格外の業務」を任せた場合には、雇用された外国人ではなく企業側も「不法就労助長罪」に問われかねません。

この罪に問わると罰金や懲役はもちろん、会社として今後の業務に大きな支障をきたしますので注意が必要です。

そのため面接時には

  • 履歴書
  • 職務経歴書
  • 日本語能力の証明書
  • 卒業証明書

などを確認して、法律上就労可能かどうかを判断してから面接を行いましょう。

国籍や宗教で差別をしない!

出身地や国籍によって採用か不採用かを判断すると、日本の労働法で罰せられます。
また面接時に、国籍や宗教などの選考をする上で関係がないことを尋ねてしまうだけでも、質問内容や質問の仕方では「就職差別」と判断されることもあります。
さらには、実際に面接をした外国人から訴訟を起こされることもあるので注意しましょう。

外国人を雇用する際は、その方を理解するためにも「国籍」や「宗教」などについて確認したくなります。
しかし、あくまで選考は「仕事に対する適性と能力」を基準に判断しましょう。

日本語だけでなく英語能力もチェック

外国人労働者を採用する企業は、「英語が話せる人が採用できる」というメリットがあります。しかしながら、英語が母国語ではない外国人は、いっさい英語が話せない…なんてこともあります。「英語が話せる人の採用」を期待して外国人の雇用を考えているなら、面接時に日本語能力と英語能力がどの程度なのか確認しましょう。

英語能力はさまざまな検定があるため、応募書類や面接時に聞いた情報を基に慎重に判断する必要があります。
また日本で一般的な英語能力検定試験であるTOEICでは、仕事をするなら「700点以上」、英検なら「2級以上」が望ましいでしょう。

実績を誇張しすぎ?

外国人と面接をしていると、たまに「圧倒的な実績」を語る方がいます。
一見すると優秀な外国人が応募してきたように見えますが、実際は母国の風習上「自分の実績を事実以上に大きく語ってしまっている」ことも多いです。
謙遜文化が根付いている日本人が彼らの話を聞くと、余計に誇張して伝えられているように感じられます。

ちょっと怪しいと思った場合には「実績の証拠」「具体的な数字」など、信憑性があって判断しやすい状態にまで情報を落とし込んでから判断しましょう。

仕事の内容を相互確認!

求職者との面接の際に「仕事内容の相互確認」を行うのは当然です。しかし外国人を採用する際は、とくに注意して確認を行いましょう。

言語の壁や文化の違いがある以上、こちらがしっかり伝えたと思っていても、外国人は理解し切れていないことも多々。
外国人側が理解をしていると思っても、「こちらが伝えたい意図と違った捉え方で理解している」こともあるはず。

待遇面などで認識の違いが起きると、せっかく採用できてもすぐ退職することもありえます。そこで外国人と面接をする際は、お互い理解できるまで仕事内容の確認作業を行いましょう。

外国人の面接に使える質問4選

上記の内容を注意した上で面接をするとしても、どういった内容を実際には質問するべきなのでしょうか?

外国人が日本で働く際は、さまざまな思いや都合があることがあります。
それらの内容を面接時にしっかり聞くことで、採用・不採用の判断材料になるのはもちろん、今後働いていく上で気をつけるべき点、仕事をする上での外国人のスキルの生かし方まで考えることができます。

今回はそれらを踏まえて、面接段階で聞くべき「おすすめの質問」を4つご紹介します。

質問1:留学した理由は?

日本で働きたいと考える外国人の中には、「母国よりも給与が高かったから」や「日本のアニメが好きだから」のような、それほど強くない意識で仕事を探している場合もあります。そういった方々は、ふとした拍子で日本や仕事に興味がなくなり、短い期間で退職することもあります。

面接の際に「留学した理由」に合わせて「日本を選んだ理由」も合わせて聞くことで、日本で働くことに対する目的や意識の強さを確認できます。
また理由を聞くことで「目的をもって行動を起こし、達成できているか」も確認できるのです。

質問2:なぜ日本企業に就職したいの?

面接時にこの質問をすることで、応募した外国人が日本の企業にどういったイメージを持っていて、そこでどのような目的を持って働こうとしているか確認できます。

外国人が日本で働く理由は、「日本でしかできない仕事をするため」、「日本の文化に触れたいため」、「日本で経験を積んで母国に技術を持ち帰り母国の発展に貢献したいため」などさまざまな理由があるもの。

聞く側は、それらの理由を「日本企業でなければならない理由なのか」を踏まえて判断することで、日本の社会についてちゃんと把握できているかはもちろん、日本で働く覚悟の確認もできます。

質問3:日本語や日本文化への対応力についてアピールできる?

どれだけ日本が好きでも、どれだけ強い決意があっても、外国人にとっては育った国と違う言語・文化の中で仕事をしていくことは、想像し難いほどの苦労を経験することになります。それらの苦労経験に対して、挫折することなくひとつひとつ柔軟に自分の中に取りこみ、順応していけるかの確認を行いましょう。

面接で聞く際には、決意や思いなどの曖昧なものではなく、過去の実体験を聞くべきでしょう。実体験を聞くことで、仕事でも似た場面に直面したときに、しっかり対応できるかがより明確にイメージしやすくなります。

志望理由は本当?

外国人は日本人とはまったく違う環境・文化で育ってきているため、思いや言動にギャップを感じてしまう場合があります。
そのため面接時に「そもそもなぜ日本で働くのか」「なぜこの会社なのか」「どんな仕事をしてどんな実績を積みたいのか」などを明確にしておくことで、大前提として応募者の外国人がどんな人なのかを見極めましょう。

国の文化によっては「転職前提の入社が当たり前」など、日本ではあまり考えられないことも往々にしてあります。
まずは相手がどんな方なのか、しっかり見極めてから選考しましょう。

外国人の面接におけるポイントはつかめましたか?

外国人を採用するうえでは、書類の手続きや言語能力など確認しなければならないことは多々あります。
それらを注意したうえで、外国人と面接をする際は第一に「採用活動」であることを意識しましょう。そして外国人という認識を外し「会社で長期的に貢献してくれるか」を判断することが重要です。

思想の違い、言語の違い、認識の違いなどはあれども、仕事をする上ではとくに大きな支障がない場合もあります。
外国人を選考するうえで、異国の文化や思想を理解はしつつも、それだけで判断するのではなくあくまで「会社への貢献度」を基準に採用をしていくことが重要となるでしょう。