新型コロナウイルスが世界的に感染拡大する以前、2018年日本政府観光局のデータによると、中国と韓国についで訪日数が多いのが台湾でした。
台湾は一般的に「親日」といわれることが多く、実際に台湾国内で日本の文化は浸透しています。

今回は台湾人採用で役に立つポイントを、国民性などから紐解いて解説いたします。「台湾人の採用を検討している」「すでに雇用している」といった事業者の方は、ぜひ内容をチェックしてみてください。

台湾人の国民性って?

台湾人を雇用する際に、まず知っておきたいのが国民性でしょう。
台湾人と日本人とは、その国民性にどのような違いがあるのでしょうか?

<台湾人の国民性>

  • 開放的でおおらか、初対面でも話しやすい
  • チャレンジ精神旺盛で失敗を恐れない
  • 個人の自由を大事にし、面子を重んじる
  • 女性が強く、家庭を大切にする
  • 若者の多くが日本のサブカルチャーに関心があり流行に敏感
  • 勤勉
  • ものごとを決めるのに時間をかけない
  • 思考的な柔軟性

上記の内容から、日本人との相違点は「個人を重視する」点、類似点は「勤勉」な点といえるのではないでしょうか?
また台湾では家族制度が重視されているために、ビジネスにおいてもトップダウン型が多く、上下関係を重んじる点も日本と似ています。

台湾人はなぜ親日なの? どんな歴史的背景がある?

日本が日清戦争に勝利した1895年、日清講和条約によって台湾は清王朝から日本に割譲され、第二次世界大戦が終わるまで日本の統治下にありました。
統治時代には日本の資金でインフラが整備され、現在でも当時の建物が大切に残されています。教育面でも日本の貢献は大きく、台湾人には近代化を支援した日本へ感謝の気持ちが強くあるそうです。
現在でも台湾人に親日の方が多いのは、統治下の影響を大きく受けているようです。

また戦後に中国に返還された台湾には、日本統治下の資産が公営企業として継承され、後に台湾の主要産業になっています。
政治的には台湾との国交は断絶された状態でしたが、企業ベースでは戦後も日本と親密に関わり絆を深めてきました。

前述した2018年のデータによると、台湾人の訪日数は中国人の半数を超える約475万人です。両国の人口総数の違いを考えると、驚異的に多いといえます。

台湾人採用で知っておくべき3つのポイント

国民性については前述しましたが、中でも3つのポイントをより詳しく説明いたします。

仕事の処理が早い

物事の決断に時間をかけない台湾人は、仕事の処理にも時間をかけることなくスピーディーにこなす傾向が強いようです。
ビジネスにおいては成果が重視されるため、ものごとに優先順位をつけて効率よく処理します。

その反面で、「細部にまで目が届いていない」という側面もあるかもしれませんが、雇用者側がその点に気をつけると、すぐに戦力として活躍してくれるでしょう。

フレンドリーな(おおらか、やさしい)性格

台湾は比較的温暖な気候ということもあり、とてもフレンドリーかつおおらかでです。
円滑なコミュニケーションがとれるため、一緒に働きやすいでしょう。

おおらかで親切な台湾人は、コミュニケーション能力を活かして、職場でも日本人とうまくつき合っていけるでしょう。
とくに若い世代は日本のサブカルチャーに興味があります。
日本のドラマやアニメなどをみることを趣味にしている方もいるので、雇った当初からある程度文化を理解してくれているかもしれません。

柔軟性

台湾人は必要以上に、「他人の目を気にしない」ともいわれています。
日本は他人の目を気にする傾向が強いので、その側面が礼儀や敬語、謙譲語などの言語面にも現れて来ます。
しかし台湾の礼儀作法、言語形態は必要以上に人目を気にする、という文化を背景としていいないといわれています。

また台湾は島国であるせいか、外国の文化に憧れを抱いており、日本と同様で他国の文化を受け入れる柔軟性が高いです。

台湾人の宗教、言語、教育について

宗教

台湾には仏教、道教(※中国古代の民間信仰や神仙説に道家の思想などが加わった中国の宗教)、キリスト教、モルモン教、イスラム教、カトリック教など、さまざまな宗教を信仰する人がいます。
国民性としては伝統信仰を崇拝するだけでなく、外からやってくる宗教思想を幅広く受け入れてきた歴史があります。

現在では道教と仏教が混ざったような信仰が中核となっています。
また多くの先進国と同様ですが、熱心に宗教に打ち込む若者は基本的に少なくなっています。

言語

言語としては、戦後母国語になった「北京語」(中国語)が公用語となっています。
しかし家庭では、台湾語を使っている家庭もあります。
年配の方や南部では台湾語を話す人が多いですが、台湾の最大都市である台北(タイペイ)に住む人や、若者の中にはまったく台湾語を話せない人もいます。

現代では台湾語は方言のようなものとなっているようです。

教育

台湾政府は2014年に、9年間の義務教育を12年間に延長しました。
高等教育進学率を上げることに注力しており、大学進学率は約80%ほど。

日本では大学進学率はわずか54%(短大を入れても64%)であることを知ると、いかに子供を高等教育に進める施策がうまくいっているかがわかります。

 

地域ごとの国民性の違いはある?

台湾は日本の九州ほどの面積ですが、やはり国内でも国民性に差があります。
国民性の大きな地域差について、ここでは解説いたします。

台湾 地図

出典:Illust AC

台湾北部に位置する台北と南部に位置する高雄(たかお・ガオシオン)では、国民気質に大きな差があります。
もともと台南(たいなん)が賑わっていましたが、日本統治時代に国の中心となった台北は、現在でも政治経済の中心です。
日本で例えるなら、台北は「東京」、かつて賑わった台南は「京都」、高雄は経済都市の「大阪」というイメージでしょう。

台北の人は都会的で中国文化を大切にする風潮があります。
その理由のひとつは、台湾の2大政党のひとつである「中国国民党」が拠点を置き、圧倒的な人気を誇っているからかもしれません。
台湾は中国本土やマレー系の血が入っているためか、個人主義的で他人の目を気にしないところがあります。台北の人も例外ではないでしょう。
しかし一極集中型の経済都市でもあり、残業をする人も多いようです。

一方で中国化が進む台北とは違い、高雄は台湾の伝統文化を重んじる風潮があります。
とくにそれを象徴するのが、街中で聞こえてくる言語です。

台北では「中国語」が主流で、若い世代は「台湾語」が話せません。
しかし高雄では老若男女を問わず「台湾語」が話されています。

伝統文化を誇る台湾の原住民族が多く残っているのも背景として関係しているでしょう。

台湾人は職(仕事)に対してどんな価値観を持っている?

最後に台湾人の仕事に対する価値観について解説します。
日本との違いをしっかり確認しておきましょう!

台湾の企業は中国的なトップダウン型が多い傾向がある反面、ビジネスに対する考え方は欧米型の要素もあります。
たとえば時間と利益の重視や、長期的な展望より短期的な利益を重視する点などです。

また中華圏特有の「面子を重んじる」点も、日本とは大きく異なります。

台湾人は転職に抵抗がありません。むしろ転職してキャリアアップしていく、という考え方に近いでしょう。
そのため企業への忠誠という意識はあまり強くはなく、待遇次第では転職をくり返しますので、入社時に待遇面はしっかりと考える必要がありそうです。

また日本人同様に「ノー」をはっきり言わない傾向にあり、「分かりました」「検討してみます」などを「ノー」の意味で使用することがあります。

台湾人の国民性からみる採用ポイントはつかめましたか?

会議 外国人採用

台湾人採用のポイントを国民性から紐解いていきました。
安定を求める日本人にとっては、現状に満足せずに新しいことにチャレンジする台湾人から学ぶことが多いのではないでしょうか。
台湾人の国民性を活かして能力を引き出せるかは、雇用者側にかかっているのかもしれません。