国内の外資系やベンチャー企業など、外国人労働者を雇う機会が増えてる企業さまも多いでしょう。外国人を雇用する際、英語による契約書が必要になります。
また海外取引時に英文契約書を作成する際には、日本の契約書とは違った形式に注意が必要です。

日本では契約書を交わす際は捺印をしますが、ハンコ文化のない海外の場合、書類にサイン(署名)、日付を記入するだけで契約書を交わすことがほとんどです。
今回はとくに、この署名について説明します。

英語での契約書ではサイン(署名)が重要?

海外では基本的に契約書を交わす際には、サインのみで契約が可能です。
日本のように捺印はないので、サインは上記の各種取引にも利用できるため重要な意味があります。

◇サイン(署名)が契約書で重要となる理由は?

合意の証明

署名は契約当事者が契約内容に同意し、取引における法的責任を受け入れていることを証明する手段です。署名がなければ、契約の存在や内容に疑念が生じる可能性があります。

法的効力の確立

署名を通じて、契約の成立と法的効力が確立されます。署名があることで、契約書は法的に拘束力を持つ文書となり、当事者間の権利と責任が明確になります。

衝突解決の基盤

契約が履行されなかった場合や衝突が発生した場合、契約書と署名は衝突解決の基盤となります。当事者が契約内容を守る義務を果たすかどうかは、契約書によって判断されることが多いです。

第三者の信頼性確保

第三者(例: 銀行、投資家、取引相手)は契約書の署名を見て、取引の正当性や信頼性を評価します。署名があることで、第三者は取引が法的に拘束されていることを確認しやすくなります。

証拠としての役割

契約書における署名は、契約の存在や内容、当事者の意思を証明する証拠としても機能します。訴訟や紛争の際、署名があることで契約の有効性を主張するための強力な手段となります。

どのようにサイン(署名)する?

契約書などの書類に署名をする際、日本のように印鑑登録の制度がない中で、どのようにサインの証明をするのでしょうか。

米国を例に挙げるとノータリー・パブリック(Notary Public)と呼ばれる、州からライセンスを受けた公証人が認証(notarization)することで証明しています。また、サインはイニシャルでも署名として認められます。ただし名前と苗字の頭文字を合わせた2つの大文字英字で、つねに同じ形式のサインを心がける必要があります。

鑑識の際には本人のサインか判断可能なように、バランスのいいサインが推奨されます。

海外でサイン(署名)が求められる場面は?

契約締結

ビジネス取引や労働契約、供給契約など、異なる形式の契約を締結する際には、関係者が契約書に署名することが一般的です。

法的文書

財産取得や売却、訴訟の和解など、法的な文書に署名が必要な場合があります。これには譲渡証書、和解書、委任状などが含まれます。

契約変更

既存の契約内容に変更が加わる際、両当事者が変更内容に同意するために署名が必要です。修正契約書などが該当します。

機密保持契約

機密情報の共有や取り扱いに関する契約では、情報の保護と共有条件に合意するために署名が必要です。

労働契約

雇用契約や労働条件の同意書に署名が必要な場合があります。これには給与、労働時間、福利厚生などが含まれます。

学校関連文書

学校の入学手続き、奨学金申請、保護者の同意書、学生の許可書などに署名が求められることがあります。

金融取引

銀行口座の開設、融資契約、投資の申込など、金融取引においても署名が必要です。

保険契約

保険の加入や保険契約の更新、保険金請求など、保険関連の文書に署名が含まれます。

物品購入

商品や不動産の購入、リース契約など、物品に関する取引においても署名が必要です。

委任状

第三者に代理権を与える委任状や準委任状には、当事者の署名が必要です。

英語の契約書でサインはどこまで許される?

海外取引、英文契約書の際には、基本的に英語でのサインが求められますが、日本語のサインが可能な場合もあります。英文契約書にサインするときのポイントとして、まずはできるだけ筆記体で書くこと。また頭文字は大文字でサインをしましょう。

ビジネスでの契約書には、サインと同時に会社名、役職、日付も忘れずに明記しましょう。ビジネスではこの契約書は大きな意味があります。契約書事態が無効にならないように、本人のサインは統一しましょう。

また国次第ではサイン「notarization/認証」により、役所に届ける必要があるケースもあります。
各国さまざまですが、役所でサイン登録しておけば、自分のサインが登録されていることを証明できます。長期滞在ならば、滞在国にてサインを登録しておきましょう。

日付ってどの順番で書くの?

国によって「月/日/年」の書き方も異なるので、見本を確認してサインをしましょう。
米国では「月/日/年」、イギリスでは「日/月/年」と異なります。国によって異なるため、ケースバイケースで確認することが望ましいです。

英文契約書の署名欄に記載すべき項目

基本的には、「だれが、いつ契約を交わす意思を示したか」が書面で証明できれば、英文でも契約書は役割を果たしていると判断されます。

以下で、よく記載される基本的な項目を押さえておきましょう。

署名欄でよく見る項目

・By

署名、自署のことです。By以外の表記としては、Signed by 、Signature、と記載されていることもあります。

・Name

契約書に署名する人物のことです。Print Name と記載されていることもあります。

・Title

所属する会社、組織での役職のことです。President、CEO(Chief Executive Officer)、Managing Director など、自分の役職を書きましょう。

・Date

署名をする日付です。前述していますが、国によって記載ルールが異なりますので注意しましょう。

まとめ

旅行や長期滞在において、各種の契約の際にはサインが求められます。
正しい書き方を心得ておけば、重要な契約書でも安心して契約を交わすことができます。
できるだけ独自のサインを心がけてサインをすること、またファーストネームの頭文字は大文字で短縮してサインが可能であることを覚えておくとよいでしょう。

近年は外国企業との契約などにおいても契約書はサインで交わすこともあります。インターナショナルなルールに則って契約書を交わすこともあるので、各業や会社の役員は英語でのサインの仕方をしっかり事前に確認しておく必要があります。