外国人が日本で起業することは、日本人が起業をするよりも困難です。その原因の1つであるビザ、とくに「経営管理ビザ」について、今回はくわしく分かりやすく説明します。

記事の内容は日本の行政書士が監修していますので、信頼度は十分。安心して読んでみてください。

経営管理ビザの申請・更新をする人はこんな人!

そもそも「経営管理ビザ」についてよく分からないという方も沢山いるもの。そこでまずは経営管理ビザについて簡単に説明をした後、経営管理ビザ申請者が分けられる4つのカテゴリについて一つずつ説明します。

カテゴリごとに提出必要書類が変わりますので、注意が必要です。

経営管理ビザとは?

経営管理ビザとは、「日本で貿易やその他の事業を経営する外国人、またはその事業の管理をする外国人が与えられる在留資格」のことです。

経営管理ビザが許可されると、「3ヶ月」「4ヶ月」「1年」「3年」「5年」のなかで入国管理局が申請者にふさわしいと判断した期間の在留が可能になります。

経営管理ビザ申請者ケース①

下のどれかに当たる方は、カテゴリ1として扱われます。これは主に非常に大きな企業や公共団体などが当てはまり、最も認可されやすいカテゴリです。

  1. 日本の証券取引所に上場している企業
  2.  保険業を営む相互会社
  3.  外国の国又は地方公共団体
  4.  日本の国・地方公共団体認可の公益法人
  5. (5)一定の条件を満たす中小企業等

経営管理ビザ申請者ケース②

「前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人」のケースは、カテゴリ2に当てはまります。

「源泉徴収税額が1,500万円以上」というのは、やはりかなりの規模です。その分だけ、カテゴリ1の次に認可がされやすいカテゴリとなります。

経営管理ビザ申請者ケース③

「前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)」のケースでは、カテゴリ3に当てはまります。

多くの外国人企業家や外資系企業が、このカテゴリ3に当てはまります。順位としては認可されにくいカテゴリに入りますが、事例が多いことが強みです。元来日本は手続きにおいて過去の事例に当てはめる傾向がありますので、カテゴリ3に入ってしまうからと諦めず積極的に申請してみましょう。

経営管理ビザ申請者ケース④

これまで説明してきたカテゴリ1~3のいずれにも当てはまらないケースは、カテゴリ4に当てはまります。

例えば新しく会社を作ったケースや個人事業主などが該当するのが、このカテゴリ4です。最近では街中で外国人が営む料理店が目立ちますがそれもこのカテゴリ4に入ります。

経営管理ビザの認定申請・変更・更新は難しい⁈

経営管理ビザを申請・更新するには必要書類を準備する必要があり、いくつかの条件にも注意することが必要です。難しく感じることもあるかもしれませんが、きちんと整理して準備をすれば大丈夫しょう。

ここからは経営管理ビザの申請・更新に必要な書類を整理し、そのうえで、注意してほしい「申請が不許可になるケース」をご紹介いたします。

経営管理ビザの申請必要書類はこれだ!

経営管理ビザの申請時には様々な書類が必要です。

例として、カテゴリ4の時に必要な書類の一例を一覧でまとめます。

必要な書類具体例
基本書類・在留資格認定証明書交付申請書 1通
・証明写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉
・パスポート及び在留カードの写し
・返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、392円分の切手(簡易書留用)を貼る)
・申請者の履歴書及び履歴を証明する資料
事業内容を証明するもの・事業を法人において行う場合は、当該法人の登録事項証明書の写し
・直近の決算書(損益計算書、貸借対照表、株主資本等変動計算書等)の写し
・事業計画書の写し
・会社案内やパンフレット等
事業規模を明らかするもの・申請者以外の常勤従業員についての名簿
・従業員の雇用契約書又は内定通知書の写し
・従業員の住民票または外国人登録証明書写し
・登記事項証明書
・その他事業の規模を明らかにする資料
事務所用施設に関して証明するもの・不動産登記簿謄本
・事業所の賃貸借契約書の写し
・その他の資料
・事業所の内外の写真
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない場合、
その理由を明らかにするもの
【源泉徴収の免除を受ける機関の場合】
・外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通

【上記以外の機関の場合】※下記のいずれか
・給与支払事務所棟の解説届出書の写し
・直近3カ月分の給与所得
・退職所得等の所得税収高計算書(領収日付印のあるもの)

※実際にはこのほかの資料の提出も求められることがありますのでご注意ください。

経営管理ビザの申請はこんな時不許可に?!

経営管理ビザの申請をする時には、不許可になることが多くあります。それは主に下のようなケースが考えられます。申請する際はよく注意して当てはまらないようにしましょう。

  • 許可になるような要件を満たしていないケース
  • 申請書作成において説明不足や誤解を生む記載をしたり、書類不備で不許可になったりするケース
  • 事業の安定性・継続性が認められないケース
  • 事業所の存在が認められないケース
  • 違法な事業内容であるケース

どんな時に経営管理ビザが更新できない?!【ケース別】

努力してやっとの思いで取った経営管理ビザでも、事業が正常に継続されていないとビザの更新は難しくなるものです。

ここでは、経営管理ビザ更新に必要な書類をご紹介したうえで、経営管理ビザの更新ができなくなってしまうケースを3つに分けてご説明します。

経営管理ビザ更新に必要な書類はこれだ!

まず、全てのカテゴリに必要な書類を紹介します。

全カテゴリ共通書類

1.在留期間更新許可申請書 1通

地方出入国在留管理官署に直接行くか、法務省のホームページからでも用紙をダウンロードすることができます。

2.写真(縦4cm×横3cm) 1葉

申請する3か月以内に、正面から撮影されたもの。

帽子をかぶって撮影したものは使用できません。

また、無背景で鮮明なものである必要があります。

写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼り付けてください。

3.パスポート及び在留カードの提示

在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。

これらの書類を準備した上で、カテゴリごとに下の書類を準備しましょう。

カテゴリ1に必要な書類

  1. 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
  2. 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)

カテゴリ2に必要な書類

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

カテゴリ3に必要な書類

  1. 直近の年度の決算文書の写し 1通
  2. 住民税の課税(又は非課税)証明書 1通
  3. 納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 1通
  4. 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

カテゴリ4に必要な書類

  1. 直近の年度の決算文書の写し 1通
  2. 住民税の課税(又は非課税)証明書 1通
  3. 納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 1通
  4. 外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料

ケース①赤字になってしまったときは?

ビジネスには様々なかたちがありますし、事業初年度から黒字に転ずるというのは事業によってはかなり困難です。そのため単年度の決算状況だけで判断するわけではなく、赤字になったからといってすぐに経営管理ビザの更新が不許可になるというわけではありません。

赤字になった場合は、その理由を合理的かつ明確に説明する必要が出てきます。来期の事業計画書・収支計画書を作成して具体的に黒字化する根拠や取り組み、債務を減らす根拠について説明をするようにしましょう。

ケース②初めの事業計画とずれてしまった時は?

更新時に当初の事業計画と現状がずれてしまっている場合には、下記のようなことが考えられます。

  1. 当初想定していた状況から大きく変わった
  2. 当初の見立ての精度が低かった
  3. 経営管理ビザの申請を通すためだけに、ありもしないことを書いていた

このうち1と2に関しては合理的に説明が可能ですし、今後の計画も説明できるのですが、問題なのは(3)のありもしないことを書いていたケース。このケースでは合理的な説明ができず、経営管理ビザ更新が不許可になる可能性もあります。

申請を通すためだけにありもしないことを書くことだけはやめましょう。もし書いてしまっていたとしたら、正直に相談をして計画を立て直すことが必要です。

ケース③債務超過になった場合は?

債務超過になったケースでは、「今後1年以内に債務超過が解消できる見込み」という内容の公認会計士や中小企業診断士など専門家の評価書が必要になります。このケースでは在留期間が短縮される可能性も考えられるうえ、実際のビジネス上でも危険な状態ですので、改善策を考えなくてはいけません。

特にビザの申請などにくわしい行政書士や弁護士に相談すると突破口がみつかるかもしれません。しかし債務超過はスピード重視なので分かり次第すぐ相談できるように前もって準備しておきましょう。

経営管理ビザについて詳しくなりましたか?

経営管理ビザは、日本で起業する外国人には必須のビザです。それだけに申請も更新も少し複雑で難しい点も多々あります。

間違いのない申請のため、経営管理ビザの申請に詳しい日本の行政書士を頼ったり、代行業者に依頼したりするのも1つの手だと思いますので、申請の際にはぜひ検討してみましょう。