2023年6月の訪日外客数は、2019年同月比72%の2,073,300人で、新型コロナ感染症拡大以降で、初めて200万人を突破しました。
近年ではグローバル化にともない、外国人労働者数も増加傾向です。
厚生労働省の調査によると、令和4年10月末時点での外国人を雇用する事業所は298,790所で外国人労働者数は約182万人となっています。令和3年10月末では外国人を雇用する事業所は285,080所、労働者数は約172万人でしたので、どちらも大きく伸びていることがわかります。(出典:訪日外客数(2023年6月推計値)

このデータからも言えるように、「自社でも外国人労働者を採用したい!」と考え始めている企業さまも増えているのではないでしょうか。
今回は外国人の方が日本で働きたいと考える理由、働きたくないと考える理由をについてご紹介いたします。

【地域別】外国人が日本で働きたい理由は?

外国人にとっては、日本の何が魅力的なのでしょうか?
多くの外国人に共通している理由としては、「日本が好き」「治安がいい」「スキルアップのため」などが多いです。
さらにくわしく「アジア」「ヨーロッパ、アメリカ」など世界の地域別にみてみると、彼らが日本で働きたい理由も解像度高く見えてくるでしょう。

多くの外国人に共通して見られる理由は?

日本で働きたい理由としては、以下のことが挙げられます。

  • 日本の文化、コンテンツが好き
  • 日本は治安が良く、人のマナーがいい
  • 日本企業のイメージがいい
  • 保険や福利厚生が充実している など

外国人が挙げる日本で働きたい理由で多いのは、「日本が好きだから」です。
日本アニメは世界でも人気で、コスプレをする人や日本の文化にも興味を持つ人が多くなりました。
日本のテレビゲームの人気も世界的で、「アニメーションやゲームの制作に関わりたい」という理由で来日する外国人もいます。

それ以外にも留学生として日本に来て、日本の友だちができたり、生活が気に入ったりして、そのまま日本で就職活動をする人も多くいます。

また日本の治安の良さは世界一といわれるほど、日本は安全で住みやすい国です。
日本人はレストランやショッピングモールでもマナーはよく、電車やバスなど公共の場所でルールや順番を守ります。
その姿勢は外国人からみると珍しく、好ましいことだと感じるようです。

そして日本企業のイメージは世界でもいいことはご存知でしょう。
そのイメージの良さが、多くの外国人が日本で働きたい理由のひとつです。
世界中に日本の製品は流通し、その技術の高さや品質の良さには定評があります。そのため日本のテクノロジーや技術を学びたい、と考える人も多いです。

アジアの人々が日本で働きたい理由は?

では、今度は地域別に外国人労働者が日本で働きたい理由を見てみましょう。
アジアの人々は小さい頃から、日本のアニメや漫画に日常的に触れていて、自然と日本に興味を持つ人が多いです。
まだまだ日本よりも生活基準が低い国が多いので、日本で働けば母国で働くよりも給料が高くなります。

・母国よりも給与が高い

先述の「多くの外国人が日本で働きたい理由」に加えて、アジアの国々からの外国人労働者は、「母国で働くよりも日本で働く方が給与が高い」という理由が目立ちます。
「日本で働いて、家族のために母国に送金をしたい」ということです。
給与を理由とするのは、特にフィリピンやベトナムなど東南アジアの人々が多いです。

・母国よりも就活しやすい

韓国などでは、日本よりも学歴重視な傾向があり、就職先も大企業に人気が集中しています。

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就職のハードルや競争率も非常に高いので、求職者は語学力や知識がハイレベルになります。
そのような背景で、母国で就職するより「日本の方が就職活動しやすい」という側面もあるようです。

ヨーロッパ、アメリカの人々が日本で働きたい理由は?

ヨーロッパ、アメリカの人々の場合、日本のものづくりの技術や、文化に惹かれて日本に興味を持つことが多いようです。
母国とはまったく違う文化の日本は、彼らの目にはミステリアスに映ることもあります。

・キャリアアップ

キャリアアップのために日本で働きたいと思っている人も中にはいます。
日本企業の各国支社に勤めていて、日本の文化に興味を持ったり、会社のビジョンに共感したりすることが、日本で働きたい理由となるようです。
アメリカ人はとくに明確なビジョンを持って、キャリアアップをする方が多い印象です。

今の仕事よりやりがいがあり、給料がいいならば転職を考えるのは極めて普通です。
転職回数が多くてもマイナスな印象にはならないため、転職までの期間が日本よりさらに早いです。

・福利厚生や医療制度が整っている

アメリカやヨーロッパからの外国人労働者では、福利厚生や保険が整っていることがメリットです。
日本の医療制度は技術水準が高いので、もしものときも安心して治療を受けることができます。

【地域別】外国人が日本で働きたくない理由は?

外国人労働者が増える一方で、一部の優秀な留学生などにとっては日本企業への就職は魅力的ではなくなっています。
日本では外国人労働者が働ける職種が少ないこと、長時間の労働環境、低賃金、同調圧力が強いなどが「日本で働きたくない理由」に挙げられるでしょう。

またコミュニケーションの壁も大きな問題です。
日本語は習得が難しい言語であるうえ、日本でしか話されていないため、他国では使えないというデメリットがあります。

しかし日本企業が外国人労働者に求める日本語能力はとても高く、日本での就職には高いハードルがあります。

アジアの人々が日本で働きたくない理由は?

日本の労働環境の劣悪さが問題になってきています。
「外国人技能実習制度」を利用して、日本に働きに来た中国人やベトナム人が低賃金で長時間労働を強いられ、いじめや嫌がらせに会うという報道もされました。

この時代遅れの制度は現在見直されており、廃止される方向で話し合いが行われているようです。

ヨーロッパ、アメリカの人々が日本で働きたくない理由は?

ヨーロッパ、アメリカの人々は、日本では能力に応じた給料が払われないことや、日本の企業体質に対して不満を持っています。

日本人の目線でしか物事を考えられず、グローバルな視点がない点に違和感を持つ人も多いです。アメリカは実力主義のため、能力が高ければどんどん出世をして給料も上がります。
しかし日本ではまだ年功序列が強く、個人の能力に見合った給料が与えられない現実があります。

ヨーロッパの人々は、プライベートをとても尊重します。
また夏に1ヶ月単位のバケーションを取ることは母国では当然のことで、日本のライフワークバランスの悪さは気になるでしょう。

日本で働きたい外国人とうまくマッチングするには

日本は諸外国に比べて、治安が良く住みやすい国です。
世界に誇れる独自の文化や伝統があり、アニメや漫画などのコンテンツ、自然豊かな風土は人気です。
そのため日本が好きで、日本で働きたいと思う外国人はいます。

日本は少子高齢化により、すでに日本人労働者だけでは人手が足りなくなっています。
インフラに関わるような仕事、とくに肉体労働で若いひとが求められるような仕事で人手が足りなくなると、これまでは当たり前と思っていたサービスも機能不全のような状態になってしまい、多くの人の生活に影響がでます。

日本では海外の人に日本人と同じような接客や、高い日本語力などをもとめることが多いですが、今後は考え方を変えていくことが必要となるかもしれません。