少子高齢化によって「売り手市場」が続く中、新たな採用の切り札になリつつあるのが外国人労働者の存在です。厚生労働省が発表している外国人雇用状況では、2008では約40万人であった外国人労働者は2018年では約140万人と言われており、海外人材を採用するケースが増えています。今回はこうした外国人採用のメリットから採用方法までをご紹介していきます。

海外人材のイロハ:メリットとは?

海外人女性

 海外人材とはなに?

海外人材とは、単に海外出身の人、外国人という訳ではありません。語学はもちろんのこと、日本や日本以外の文化に対する理解と、多様な価値観をまとめ上げられる人材のことです。では、具体的に海外人材を採用することによるメリットにはどんなものがあるでしょうか。

 海外人材のメリットって?

海外人材を採用するメリットは、大きく3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 コミュニケーション能力が高い

ビジネスにおいて、大切な能力の一つとも言えるコミュニケーション能力。海外人材と聞くと、バイリンガルやトリリンガルといった語学が堪能なイメージが先行します。しかし、それだけではコミュニケーションはできません。自分と相手のバックグラウンドの違いに配慮してきちんと伝わる言葉を投げかけられる人こそ、真にコミュニケーション能力が高い人といえるでしょう。複数言語を扱える人ほど、異文化にも配慮して、相手に伝わりやすい言葉を選びコミュニケーションを取れる人材といえます。

 異文化に対する理解とアイデンティティを持つ

多様性の大切さが訴えられる昨今、ビジネスも日本だけでなく海外に向けたものが多くなってきています。こうした時流の中で、異文化に対する理解がある人材や、アイデンティティを持つ人材がいるのは大きく貢献できるといえるでしょう。海外人材であれば、日本人よりもこの理解を持つ傾向が多く、ゼロから日本人を育てるよりも即戦力になります。

 思考が柔軟である

グローバルにビジネスを展開する上で欠かせないのは、物事を柔軟に考えることができる人です。一般的な人は何かを考える際に、まず自分の経験と照らし合わせます。この方法自体が悪いことではないですが、グローバルビジネスを考えるのであれば、文化や風習が違う人達に対して、必ずしも既存のやり方が通じるとは限りません。こうした点から海外人材には、日本にはない考え方や、文化がベースとしてあるので大きな武器になり得るでしょう。

 海外人材の採用ってどうするの?

外国人シェフ

では具体的に海外人材はどのような方法で採用するのが良いのでしょうか。いくつか方法はありますが、それぞれのメリット、デメリットを比較していきましょう。

 採用方法は様々あります

 海外人材に特化したエージェントを利用「人材紹介のエージェント」は、企業と求職者の仲介を行うサービスです。こちらの要望・条件を伝えることで、希望にマッチした人材を紹介してくれます。仲介してもらう際の手数料は掛かってしまいますが、登録は無料のことも多く、一度は登録してみてください。

海外人材に特化した転職サイトを利用

エージェントと同様に、仲介を行ってくれるサービスです。簡単に密度の濃い情報を得られることから、多くの求職者が情報収集に使っています。登録コストは、無料の場合から数十万程度掛かるサイトまでピンキリです。

海外人材に特化したイベント・セミナーに参加

国内外で行われている求職者向けのイベントに参加することで、自社の認知度を広げることができます。直接的な人材獲得にはなりませんが、自社のサービスやブランドを理解をしてから選考に入るので、ミスマッチが起きづらいです。

留学生・海外大学向けの求人サイトを利用

新卒をターゲットにするのであれば、日本でも馴染み深い「学生向けの就職サイト」を利用しましょう。比較的業種を絞っている学生も多く、こちらも採用後のズレが起きづらいです。

採用に特化したSNSを活用

日本ではあまり馴染みがありませんが、SNSを用いて採用活動を行う「ソーシャルリクルーティング」が主流になっている国もあります。SNS運用の知識が必要になりますが、事前に求職者がどんな人なのかを詳しく知ることが可能、広告コストの削減などのメリットがあります。

海外人材の採用の注意点

注意 表記

ここまで海外人材のメリット、デメリットを確認してきました。最後に、実際に採用する際にはどんな流れを踏むのか、またどんな点に注意すれば良いのかを紹介します。具体的には、面接から採用、その後のサポートまでのステップごとの流れと注意点を見ていきます。

面接時:業績と在留資格をチェック

まず海外人材の面接を行う際の前提は、「法律上就労可能な人間か」を確認することです。具体的には、在留資格と本人確認です。万が一、在留資格のない人物を採用してしまった場合および、在留資格外の業務させてしまった場合は、企業側が罪に問われる可能性もあるので、必ず確認しましょう。

また次にチェックしたいのは、過去の経歴や、業績です。日本人でもあることかもしれませんが、海外人材は特に自分の業績を大げさに表現することが多いです。そのため、話の信憑性を確かめるような質問を入れてみると良いでしょう。同じ業界からの転職者であれば、専門知識の質問や、突っ込んだ質問をぶつけるのも有効です。こうした質問で動揺するような人は、履歴書や、面接での言葉を鵜呑みにしすぎないようにしましょう。

採用時:雇用契約書は必須

採用の際は、雇用契約書が必要になります。企業側は、雇用契約書の作成と本人へ配布する必要があります。この時の注意点は主に3つあります。

本人が理解できる言葉で作成されたものか

本人が理解できる契約書を作成するためには、できるだけ海外人材の母国語を採用するべきでしょう。もしそれが難しいのであれば、英語になります。しかし、英語が本人たちにとっても外国語である場合はできるだけシンプルな英文で作成するのが望ましいです。

日本法に沿って作成され、内容に過不足のない契約書か

日本での雇用契約になるため、契約書は日本の「労働基準法・労働契約法」に基づいて作成される必要があります。そして最も重要なのは、盛り込んだ内容をきちんと本人に理解してもらうことです。

そのために、日本の制度や法律についての補足資料なども添付し、採用担当者から本人にしてわかりやすい説明を十分にする子も大切になります。

労働条件に本人の納得を得た後に、労働ビザの発行をする

失敗例として、事前に労働契約の確認をする前に、労働ビザの発行申請をしてしまうケースがあります。このケースでは、仮に労働ビザが発行されたとしてもいざ入社となった時点で「こんな内容だなんて聞いてなかった!」とトラブルになってしまうこともあります。

 採用後:厚いサポートが必要!

手を合わせている

海外人材の採用が決まったら、それで一件落着ではありません。彼らが思う存分働けるような受け入れ環境を整えていきましょう。

文化や風習の違いを理解する

海外人材の母国での慣習や文化を、あらかじめ理解しておく必要があります。日本で当たり前でないことが当たり前だったりするため、思わぬトラブルになりかねません。文化の違いをあらかじめきちんと勉強して、受け入れの準備をしていきましょう。

コミュニケーションをきちんと取れる体制を作る

海外人材は、必ずしも日本語が堪能とは限りませんし、外国語しか話せない確率もあります。企業側がきちんと教育する制度を作る、もしくは社内に語学の障壁なく対応できる人材を用意しておく必要があります。

精神面の不安を考慮する

特に、日本に来て間もない海外人材は不安も多いです。異国の地で初めて出会う人達だけに囲まれる環境は、想像以上に疲れることもあります。近くに相談役を付けたり、1on1ミーティングの時間を多くして、ケアできる体制を作りしょう。

 海外人材については掴めましたか?

外国人 男性

いかがでしたでしょうか。海外人事の採用ニーズはますます高くなり、今後は外国人と共に働くことがスタンダートになっていく可能性が高いです。上記以外にも、注意点等はありますが、事前に専門家などに相談しながら配慮を持って受け入れ準備を進めていく必要があるでしょう。