不法労働の外国人を雇ってしまうと、不法労働を助けたとして、雇用した企業側も法律で罰せられることはもちろんのこと、企業としての信用を大きく失ってしまいます。

雇用した外国人が不法就労とならないためにも、事前の確認が重要です。当記事では、不法就労の外国人を雇わないために知っておくべきポイントをまとめました。外国人を積極的に採用している企業やこれから採用を検討している企業はぜひ参考にしてください。

不法労働の外国人を雇うとどうなるの?

外国の雇用

そもそも不法就労ってなに?

不法労働は「知らなかった。」では済まされません。企業側が不法労働だと気付かずに雇用してしまうケースはそう少なくありません。まずは不法労働の事例を紹介します。

有名な事例では、2013年12月に名古屋で起きた事件があります。名古屋のある焼肉店で不法滞在していた外国人2人を働かせたとして、同店経営者と店長が起訴されました。経営者らは「知らなかった。」と容疑を否認したものの、過失責任を問われ、名古屋簡易際裁判所から罰金50万円の支払い命令が下されました。

上記の事例のように雇用した企業が不法労働を認識しているか否かに関わらず、法律で罰っせられてしまいます。この事例のみならず、知らずのうちに不法労働となっているケースは多いです。とはいえ、知らなかったからだとはいえ、就労不可な外国人を雇用し、違法行為を行なっていることに変わりはありません。

なお、不法労働には以下の3つのパターンがあります。

  1. 不法滞在者(ビザの有効期限切れ、不法入国など)による就労
  2. 就労許可のない外国人(留学、短期滞在など)による就労
  3. 在留資格の範囲外の活動となる就労

日本に中長期にわたって滞在する外国人は、在留カードをもっているので、在留カードを確認すれば不法労働となるのかチェック可能です。具体的な不法就労の見極め方については後ほど詳しく解説します。

不法就労の外国人を雇ったら逮捕される

手錠と鍵

外国人を就労する際のルールは「出入国管理及び難民認定法」に定められており、不法就労の外国人を雇ってしまうと「不法就労助長罪」の罪で三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金あるいはその両方が課せられます。なお、不法労働助長とは、不法労働を助けたという意味です。場合によっては逮捕される可能性もあるのです。

不法労働の外国人を見極めるには?

はてな

不法就労の外国人を見極めるのは、在留カードを確認する必要があります。在留カードを確認する上で重要なポイントがいくつかあるので、解説します。また、在留カードの確認の仕方によっては見抜けない場合もあるため、具体的に解説していきます。

ビザを確認するタイミングが重要

雇用する前に、必ずビザを確認してください。ビザとは、在留カードのことです。コピーではなく、必ず原本を確認するようにしましょう。不正で在留カードのコピーを作成している場合もあるためです。また、在留カードがあるからといって、油断してはいけません。

偽の在留カードの可能性もあるからです。2018年には、福岡県のある加工工場においてベトナム出身の労働者が偽の在留カードを使って働いていたことが発覚し、不法労働させたとして企業は書類送検された事件もあります。

カード自体に何か不審な点はないかも含め、確認が必要です。また、確認するタイミングが重要です。面接前のあらかじめ決められたタイミングではなく、事前連絡なしにいきなりチェックするようにしましょう。その際、「在留カードを忘れた。」「無くしてしまった。」などと不審な発言をする場合は不法滞している可能性があるため、採用を見送るのが賢明な判断です。

在留カードのどこ見ればいいの?

悩む絵

在留カードのいくつかのポイントを抑えておくだけで外国人の不法就労は未然に防げます。在留カードを確認する際、みるべきポイントは以下の3つです。

在留カードの有効期限

在留カードの表面に在留期間が記載されているので、確認してください。もし在留カードの有効期限が過ぎていた場合、その在留カードは無効となります。そもそも不法滞在となるので、日本での就労以前の問題です。万が一、確認した在留カードの有効期限が切れていた場合、ただちに入国管理局に連絡してください。

在留資格の就労可否

在留カードに現在の在留資格が就労可能かのか記載されているので確認してください。就労可能な場合は、「就労可」と記載されています。就労可能な在留資格は様々ですが、在留カードの表面をみるだけでその外国人は就労可能なのか一発で確認可能です。

在留資格の活動範囲

在留資格には、日本での活動範囲が定められています。冒頭の方でも説明しましたが、通訳や語学学校の教師は「人文知識・国際業務」、海外料理屋のコックであれば「技能」など、それぞれの活動に対しての在留資格です。そのため、就労可能な在留資格であっても活動範囲外の活動による就労は不法労働となります。

たとえば、「人文知識・国際業務」の在留資格をもっている通訳の外国人は海外料理屋のコックとして働くことはできません。別途、在留資格の申請が必要となります。就労可能な在留カードをもっているとはいえ、「不法労働」となる場合があるので注意してください。

資格活動許可欄

原則として、留学生は就労が不可となります。ただし、「資格外活動」としてアルバイトが可能です。在留カードの裏面の資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれている場合はアルバイトができます。書かれていない場合は、就労不可となります。入国管理局で資格外活動許可申請を行う必要があります。

繰り返しになりますが、偽造された在留カードの場合があります。在留カードの色あえや印刷された文字に不審な点はないか確認してください。最近では、偽の在留カードをつくって日本で働こうとする外国人が増えています。

在留カードが有効なのかについての確認は、在留カードの番号で確認可能です。在留カード表面の右上に番号がかかれているので、「在留カード等番号失効照会ページ」にて確認できます。ただし、在留カードの番号を悪用して偽の在留カードをつくってるケースもあります。不審な点を感じた場合、入国管理局に電話してください。

不法労働の外国人は通報するべき?

電話

雇用している外国人労働者に異変を感じ、不法労働と思った場合はすぐに通報するべきです。後から不法労働が発覚した場合、逮捕される可能性もあります。早急な対応をとりましょう。

おかしいと思ったら…?

偽の在留カードのような場合や在留カード確認時に「今日は持っていない」「失くしてしまった」などの発言によって不信感を抱いた場合は入国管理局に連絡してください。在留カードをもっていない可能性が考えられます。

当然ですが、そのまま放っておくのは厳禁です。万が一不法労働者だった場合、「不法就労助長罪」が課せられ、企業として大きな損失となります。

不法労働の外国人は見極められるようになりましか?

疑問

不法就労の外国人を雇用すると、雇用した企業側も法律により罰せられます。企業側が不法就労を認識していたか否かは関係ありません。採用した外国人が不法就労とならないためにも、見極め方を把握しておきましょう。

在留カードをしっかり確認した上で外国人を雇用してください。雇用後も定期的に確認することで、不法就労は防げます。今回取り上げた不法就労の事例を参考に、不法就労対策をしましょう。