近年、少子高齢化が進み、労働人口の減少が大きな問題となっています。
そこで日本政府は外国人労働者の受け入れを拡大するため、在留資格「特定技能」1号と2号を新設しました。

即戦力が要求される特定技能1号は、介護など14業種で5年間に最大34万5150人ほど受け入れることが見込まれています。
しかし実際人手不足に困っている、もしくは海外進出を考えているけど外国人の受け入れは不安という方は、沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそんな方に向けて、「タイ人を雇用する際に気をつけるべきこと」をお伝えしていきましょう。

タイ人は日本にどのくらい住んでるの?

2022年12月の政府統計によると、総在留タイ人は56,701人です。この数は日本に住む外国人の中では第9位になっています。

タイ人に多い在留資格

在留資格としては、以下のような内訳になっています。

  1. 永住者  21,459人
  2. 日本人の配偶者  7,171人
  3. 定住者  4,214人
  4. 技能実習1号ロ  4,130人
  5. 留学  3,919人
  6. 技術・人文知識・国際業務 2,538人

永住者や日本人の配偶者が多いですが、「留学」や「技人国(ぎじんこく)」といわれるビザを取得している方も増えています。
日本国内でもよりホワイトカラーとして働いているタイ人が増えているといえるのではないでしょうか。

ちなみに日本以外の国では、タイ人が多く居住しているのはアメリカ(23万人程度)、ラオス(18万人程度)、台湾、マレーシアなどです。

タイ人が働いている業種

2022年12月の政府統計によれば、タイ人が働く業種は以下の通りです。

  • 技能実習第1号ロ  4,130人
  • 技能実習第2号ロ  2,456人
  • 技能実習第3号ロ  2,366人
  • 技術・人文知識・国際業務  2,538人

「技能実習第1号ロ」というのは、あまりなじみのない言葉でしょう。
そもそも技能実習制度とは、「外国人の技能実習生が日本において企業や個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結んで、最長5年の中で出身国において修得が困難な技能などの修得・習熟・熟達を図る」というものでした。

技能実習生の受け入れには「企業単独型」と「団体管理型」の2つがあり、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れて傘下の企業などで技能実習を実施する方式である団体管理型が基本的に採用されていました。

「技能実習第1号~3号イ」は企業単独型
「技能実習第1号~3号ロ」は団体管理型

を意味しています。

また、

「1号」は入国1年目の技能などを習得中
「2号」は入国2~3年目で技能などに習熟中
「3号」は入国4~5年目で技能などに習熟中

というレベル別に分けるための呼称です。

「技術・人文知識・国際業務」とは技人国ビザと呼ばれるもので、企業や団体などと契約して、マーケティングやエンジニアリングなど、専門的・技術的な素養を必要とするホワイトカラー向けのビザです。

タイから日本へ留学している方は、大学卒業後に技人国ビザを取得してそのまま日本企業で働くという方も一定数います。

タイ人を日本で雇うときの注意点3選とは

アジアの中でも来日人数が多いタイ人は、雇用のポテンシャルが大きいです。
しかし実際にタイ人を雇う際には、育ってきた文化などが違うことを知った上で、彼らが働きやすい環境を整えたり、彼らの文化を尊重する必要があります。

また外国人ならではのビザの問題も、継続的かつ安定的な雇用をするには重要です。次の章ではタイ人を日本で雇う際の注意点を紹介したいと思います。

注意点➀:性格は温厚すぎる?

タイでは仏教徒が国民の9割を超えており、日常生活に仏教の精神が根付いています。
頻繁にお寺に行ってお祈りをしたり、捕まってしまった動物を逃してあげたり、出家をすること、などがよいとされています。

このように日頃から「タンブン」(※日本語でいうと「善行」を行い徳を積み重ねること)を大切にすることで、自分や自分の家族が幸せになると信じられています。
そのためタイ人は親切で温厚な人が多く、争いごとやケンカを嫌います。たとえば会社で部下などを人前で叱責すると、タイ人の信用を失うこともあるため要注意です。

注意点②:在留カード・ビザはかならず確認

日本に入国を認められて交付された「在留カード」を確認しなければいけません。
在留カードは「中長期在留者に対して上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるもの」です。

カードには顔写真・居住地・在留カード番号・在留期間・就労制限の有無・在留カードの有効期限・在留資格などが記載されています。
カード自体を持っていない、在留カード番号が無効、在留期間が過ぎている場合、該当する在日外国人は不当に入国・滞在している可能性があるため、雇うにはリスクが高いです。

つぎに、在留カードの在留資格の部分に記載されている在留資格・就労制限の有無もチェックが必要。
確認が必要な理由として、就労・特定活動・永住者・定住者・配偶者などのビザ以外のビザを持っている人は、働くことが基本的に認められていないためです。
ビザの確認とともに、就労制限の有無の欄も確認しましょう。

しかし留学ビザを持っている学生は、資格外活動許可を取得することで1週間で28時間以内(風俗営業等の従事を除く)でアルバイトができます。
こちらはカード裏面の資格外活動許可欄に記載がなされています。

どんな人にどのくらいの期間働いて欲しいか考えた上で、ビザと照らし合わせて採用しましょう。

注意点③:タイ人は楽観的?

日本語で「大丈夫・問題ない・なんとかなる」を意味する「マイ・ペンライ」と、日本語で「快適」を意味する「サバーイ」、日常的によく使われるこの2つの言葉がタイ人をよく表しています。

難しいことは考えず、自分が快適な状態が好きで、気楽に生きたい、自然な状態を大切にする、といった国民性を表しています。

ルールや時間に厳しい日本だと、「マイペンライ」が口癖のタイ人の行動は少しズレが生じることもあるでしょう。
時間を厳格に守るよりも、成果を大切にするフルフレックスなどを利用して仕事をする方が、タイ人にはあっているのかもしれませんね。

まとめ

タイ人を日本で雇う時に気をつけるべきこと3選はいかがだったでしょうか? 
タイ人がどのような性格で、日本で何をして働いているかなどはわかりましたか? 人手不足や海外進出のために、外国人を雇いたいという会社の方は、タイ人が日本で働くための手続き等ももちろん大切ですが、一番気をつけるべきはタイ人が育ってきた環境や文化が違うということを理解すること、彼らが安定して働き続ける環境を作る努力をすることでしょう。
ぜひ、今回の記事を参考にしていただきたければと思います。