人手不足が深刻化している特定産業分野において、即戦力となる外国人材の受け入れが可能になるのが「特定技能制度」です。
2024年3月には「自動車運送業」「鉄道業」「林業」「木材産業」 の4つが特定産業分野に追加されることが発表されました。

取得者の増加が予想されている在留資格「特定技能」には、対象者の雇用時に企業側が受けられるサポートのひとつとして「登録支援機関の活用」があります。

本記事では、登録支援機関の概要や具体的なサポート内容について紹介します。

在留資格「特定技能」について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

在留資格「特定技能」についてぜんぶわかる|制度の概要・受け入れや支援の方法・関連機関の役割をまるっと解説

登録支援機関とは?

特定支援機関とは、企業の代わりに特定技能外国人への支援をおこなう機関のことです。
まずは登録支援機関の概要について振り返りましょう。

特定技能制度における「受入れ機関」と「登録支援機関」の関係

特定技能外国人を雇用する企業のことを「受入れ機関」といいます。
受入れ機関は、雇用する外国人が「特定技能1号」の場合、規定されている支援をおこなう義務があります。
規定されている支援とは、対象の特定技能外国人が職業生活・日常生活・社会生活上において安定的で円滑な活動をすすめるための支援をさします。※詳細は後述します

そして、この受入れ機関が支援を社内で完遂できないと判断した時に、支援計画書の作成や実施を委託できる(代行する)のが「登録支援機関」といわれる団体です。
「登録支援機関」として支援を代行できるのは、出入国在留管理庁へ登録申請をおこない許可を受けた団体のみとなっています。

登録支援機関が代行できる支援の範囲

引用:出入国在留管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

結論から言うと「支援計画書」の作成は受入れ機関へのサポートのみ可能で、それ以降の実務(書類作成や支援実施など)はすべて登録支援機関で代行が可能です。
そして、支援内容は10項目(後述します)ありますが、その一部を登録支援機関に委託することも可能です。

注意しておきたいのは「支援計画書」だけは受入れ機関が作成する必要があると言う点です。支援計画書は、受け入れ予定の外国人が在留資格の取得(変更)申請をする際に提出する書類です。
ただし、支援計画書の書き方や具体的な内容は登録支援機関の担当者と話し合いながら一緒に作成することが可能です。
支援期間中に計画を変更する場合は、登録支援機関からの申請で問題ありません。

登録支援機関に委託できる支援の内容

続いて、支援内容の10項目について具体的に紹介します。
必ず行わなければならない「義務的支援」に加えて、できるとなお良い「任意的支援」についても記載していきます。

引用:出入国在留管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

1. 事前ガイダンス

在留資格の取得申請(または変更申請)の前に、労働条件や活動内容について説明する機会をもうけます。説明は対面でも、テレビ電話などを利用しても問題ありません。

具体的な内容は以下になります。

  • 従事する業務の内容、報酬額、そのほかの労働条件についての説明
  • 対象者が日本でおこなえる活動範囲についての説明
  • 入国に至るまでの手続きについての説明
  • 本人や関係者(配偶者や親族など)が、失踪防止を目的とした契約(雇用継続が条件の保証金や不履行時の違約金徴収など)・その他金銭的な束縛を受けるような不当な契約をしていないかの確認
  • 雇用契約の段階やそれまでの準備において本人が自国の機関に費用を支払っている場合は、その額や内訳を理解して合意しているかの確認
  • 支援を受ける際に発生する費用は、直接的・間接的に本人が負担することはないという説明
  • 入国の際は、空港〜受入れ機関(または住居)間の送迎がされることの説明
  • 適切な住居を確保するために支援がされることの説明
  • 職業生活・日常生活・社会生活に関しての相談ができること、その体制についての説明

任意的支援
・受入れ機関からの支給品がある場合、その内容や用途の説明
・日本での生活上必要で、自国から持参した方が良いものの説明
・自国から持参できないものの説明 など

2. 出入国する際の送迎

入国時は空港〜受入れ機関(または住居)間の送迎をおこないます。
また、帰国時は受入れ機関(または住居)〜空港の保安検査場まで同行します。

3. 住居確保・生活に必要な契約支援

新たに住宅の確保が必要な場合は住居探しをサポートし、契約時に(保証人がいない場合は)保証人になります。
銀行口座の開設や携帯電話・ライフラインの契約など、生活上必要になるものの手続きをサポートします。

任意的支援
雇用期間の前後に空白期間がある場合、住宅確保や年金・健康保険切り替えのサポートなど

4. 生活オリエンテーション

職業生活・日常生活・社会生活上において円滑かつ安定的に暮らせるよう、日本のルール・マナーや公共機関の利用方法、緊急時の連絡先や災害時の対応などを説明します。

任意的支援
あらかじめ外国語・やさしい日本語で資料を作ったり、公的機関が発行している外国人向けの資料を渡す

5. 公的手続等への同行

必要に応じて住居地や社会保障・税金などの手続きに同行したり、各種書類の作成をサポートします。

6. 日本語学習の機会の提供

日本語教室の入学案内や手続き、日本語学習教材の情報などを提供します。

任意的支援
機関での日本語教育の実施や、日本語能力試験の受験サポートなど

7. 相談・苦情への対応

職業生活・日常生活・社会生活に関しての相談や苦情について、外国人が十分に理解することができる言語で対応したり、内容に応じて必要な助言や指導をします。

任意的支援
機関内の相談窓口のほかに、公的機関などで受けられる外国人むけ相談窓口の紹介など

8. 日本人との交流促進

自治会などの地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内、参加の補助など

任意的支援
本来の活動に支障をきたさない範囲での、本人が希望する交流機会の創出など

9. 転職支援(人員整理等の場合)

受入れ機関の都合で雇用契約を解除する場合、転職活動の支援や推薦状の作成をおこないます。
転職活動に時間を要する場合は有給休暇の付与、手続きのサポートをおこないます。

10. 定期的な面談・行政機関への通報

支援責任者は外国人本人およびその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反などがある場合は関係行政機関へ通報します。
外国人本人が発言しやすいように配慮しましょう。

登録支援機関を選ぶ際に注意するポイント

ここからは登録支援機関の利用を検討している方へむけて、機関を選ぶ際に注意するべきポイントを紹介します。

登録支援機関登録簿に掲載されているか

「出入国在留管理庁 登録支援機関登録簿」に事業者名が登録されているかを確認しましょう。

登録期間は5年間で都度更新があり、以下の条件を満たしている機関が登録支援機関として認められています。

  • 入管法や労働法などの法令を遵守している
  • 支援責任者・支援担当者を選任している
  • 以下いずれかがの条件を満たしている
    • 過去2年以内に中長期在留者(就労系の在留資格)の受入れ実績がある
    • 過去2年以内に事業として外国人に関する各種相談業務をおこなっている
    • 支援担当者が過去5年のうち2年以上、中長期在留者の生活相談業務をおこなっている
    • 上記と同じレベルで支援業務を適正に実施できると認められている
  • 外国人が十分理解できる言語で情報提供などの支援を実施する体制がある
  • 過去1年以内に、会社の不正行為によって特定技能外国人または技能実習生の行方不明者を発生させていない
  • 支援の費用を直接または間接的に外国人本人に負担させない

専門性と信頼性

特定技能外国人の支援に特化したサービスを提供している機関を選ぶことが望ましいです。
特定技能制度や労働環境に関する知識や経験が豊富な機関は専門性が高いため、効果的な支援を提供できます。
過去の実績・評判や実際に支援を受けた労働者の声を調査し、信頼性の高い機関を選びましょう。

提供するサービス内容

登録支援機関ごとに提供するサービス内容が異なります。
自社がどの範囲まで支援を必要としているか把握し、適切なサービスを提供している登録支援機関を選びましょう。
サービス内容と価格のバランス取れているか、問い合わせや相談に対する迅速な対応やサポート体制が整っているかなどを確認しましょう。

また、登録支援機関が企業に対して定期的なフィードバックや改善をおこなっているかも重要です。
労働者や企業の声を受け入れ、サービス品質の向上に努めている機関を選ぶようにしましょう。

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さいごに

特定技能1号の外国人を採用した際に必須となる支援内容と、その業務委託について解説しました。
この支援は書類作成や実施における各種申請などに専門的な知識が必要で、特定技能外国人を受け入れる際にいちばん手のかかる作業になります。

特定技能外国人の採用を予定している企業は、しっかりとした支援体制を整えるためにも登録支援機関の活用を検討してみてはいかがでしょうか。