日本では少子高齢化に伴う労働人口の減少から、外国人労働者の受け入れを積極的に行っています。
そのため街中やオフィスで外国人と顔を合わせることは珍しくなくなりました。

厚生労働省のデータによると、日本で働く外国人労働者数は2022年の時点で約182万人、このうちベトナム人は約46万人を占めています。
つまり外国人労働者の約5人に1人がベトナム人ということです。
在留資格別にみてみると、技能実習(約18万人)、専門的・技術的分野の在留資格(約12万人)、資格外活動(約11万人)、特定活動(約3万3千人)となっています。

年々、日本に在留するベトナム人は増加しており、ベトナム人とともに仕事をする可能性は非常に高いといえるでしょう。
そこでこの記事ではベトナム人を職場に迎える前に知っておきたい、彼らの性格や国民性、向き不向きについてご紹介します。

ベトナム人はこういう仕事が得意

この章では、ベトナム人に向いている仕事についてご紹介します。
どのような分野で力を発揮してくれるかを知ることで、効率的な指示出しができ、高い成果も得られることでしょう。

多い業種は?

ベトナムは第一次産業が強いため、約半数のベトナム人が農業・林業・漁業に従事しています。残りの半数は工業・建設業とサービス業が占めています。
一方で日本においてベトナム人が就く業種は、製造業が約17万人ともっとも多く、次いで建設業(約5万人)卸売・小売業(約5万人)、宿泊・飲食・サービス業(約5万人)程度です。(参考:JETRO ビジネス短信 「2022年の海外労働者派遣、日本向けが最多で約7万人」 )。

日本では業界のニーズの問題もあり、第二次産業・第三次産業に従事するベトナム人が多いことがわかります。

ベトナム人はこういうことが得意!

ベトナムは南北に長いため、北部と南部で性格に違いがあると言われています。
そのため「ベトナム人」と一括りにせず、どちらの気質があるかを気にする必要があるでしょう。

ベトナム人の性格については後述で詳しく説明します。
北部は一般的に「真面目で合理的な人」が多く、日本人に似た性格を持つといわれています。そのため管理やデータの分析など、論理的な仕事に向いているかもしれません。

一方で南部の人は、おおらかで人懐っこい反面で、いい加減なところもあります。そのためサービス業のような人と関わる仕事、コミュニケーション能力が必要とされる仕事に向いているでしょう。

ただこれは一般的な傾向ですので、そのひと自身の特徴に合わせた仕事にアサインできるとよさそうです。

ベトナム人との仕事での注意点はこれ!

ベトナム 女性

出身地によって向いている仕事が異なることはご理解いただけたと思います。
ここではベトナム人に性格について、より詳しく説明し、ベトナム人と仕事をするうえで気を付けるべきポイントをご紹介します。

ベトナム人の性格とは?

ベトナム人全体に見られる傾向として、「4K」という言葉を聞いたことがあると思います。4Kとは「器用、勤勉、近視眼的、かかあ天下」です。

「器用」については、ベトナムの伝統工芸を思い浮かべれば納得がいくかと思います。
ベトナム人は質の高い服や食器を製作する能力があります。
また機械いじりなども得意な人が多く、バイクの修理などは自分でこなしてしまうといいます。

「勤勉」はベトナム人の性格を表す際によく言われる言葉です。
ベトナムでは儒教の教えが広く浸透しているため、つねに向上心を持って知識や技術を学ぶ意欲があります。

「近視眼的」とは、先のことを考えず今の利益を優先してしまうことです。
戦争や経済・政治的不安定を経験したために「今日のうちに得られるものは得ておく」という考えが根付きました。
ですから未来での利益よりも、現在の状態でものごとを判断する傾向があるといわれています。

「かかあ天下」も歴史的な背景からいわれていることです。
戦争で男性が戦場に駆り出され、家を守るのは女性しかいませんでしたので、その結果としてベトナムでは一家の大黒柱は女性であるケースも多いです。

ベトナム人の仕事観とは?

ここではベトナム人の仕事観を2つ紹介します。

ひとつめはベトナム人は勤勉であることから、仕事に対しても「新しいスキルを身に着けられるかどうか」を重要視しています。
その仕事が自分のスキルアップにつながると分かれば、ベトナム人は日本人よりも熱心に学ぼうとするでしょう。

日本においてもスキルアップの転職は受け入れられるようになってきました。
ベトナム人は日本人以上にその傾向が強く、この仕事がプラスにならないと感じたら、その場合はすぐに別の職場を探すという国民性です。

2つめはベトナム人はとても家族思いであるため、家族との時間を犠牲にしてでも働きたいとは考えていません。
そのため長時間の労働や休日出勤は好まない傾向があります。
日本人は上司や同僚との付き合いを仕事上必要なものと考え大切にしますが(近年は日本もあまりそうともいいがたくなっていますが)、ベトナム人にとって最優先は家族なので、飲み会や休日の集まりなどはそれほど大切にしません。

ベトナム人と働く際には、特にここに注意!

ベトナム人と仕事をするうえで気を付けたいポイントを、以下に3つご紹介します。

ひとつめは彼らはプライドをちゃんと持っているため、指導の際には配慮が必要です。
他人と比較されることを好まず、失敗したくないという気持ちが強い人が多いともいわれています。その点を心得ておきましょう。
ミスを指摘するのは1対1で、注意の仕方も「他人を例に挙げる」などしないように気を付けなければなりません。

2つめは時間にルーズな人が多いことです。
先述した通りとくに南部出身の場合には大雑把だったり、ゆったりとした考えをする人が多く、先のことをあまり考えません。
そのため納期に間に合わなかったり、ミーティングの時間に遅れて来たりする可能性もあります。

ベトナム人と働く際は進捗の確認を怠らないこと、スケジュール管理について面倒を見る必要があるかもしれません。

3つめは転職についてです。
勤勉で向上心の強いベトナム人は、自分が就労している仕事がスキルアップにつながらないと感じると、すぐに他の仕事を探します。給与が上がらない場合なども同様であることを知っておきましょう。

長く働いてほしい場合は、「目標を達成している」と感じられるような環境をつくり、スキルと共に給与が上がる仕組みを整えることも大切です。
日本人よりも丁寧にコミュニケーションを取り、彼らが何を考えて働いているのか、何か不満がないか、などに気配りをしながら働きましょう。

メリットはこれ!

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ベトナム人と働くメリットを2点、ご紹介いたします。

ひとつめとしては、ベトナム人は協調性があるため、日本人にとっては一緒に仕事がしやすいということがメリットです。
ベトナム人は人と一緒にいることが好きな方が多いですので、外国人だからと言って壁を作るようなことはせずに、積極的に関わろうとしてくれます。

向こうからコミュニケーションを取る努力をしてくれることは、思っている以上に大きなメリットです。

2つめはベトナム人には忍耐力があることです。
ベトナムでは過去にさまざまな問題が起こりました。

しかし戦争の被害や政経の不安に負けずに国を再建できたのは、彼らの粘り強さがあったからです。
仕事において問題があっても、すぐに投げ出すことはしません。
精神的にとても強い国民なので、強い忍耐力を発揮してくれることでしょう。

ベトナム人と仕事をする上での注意点はおさえましたか?

この記事ではベトナム人と仕事をするうえで知っておきたい国民性や、彼らと仕事をするメリット・デメリットについて説明しました。
ひとことで「ベトナム人」といっても、いろいろな性格の人がいます。

この記事で説明したことは、あくまでもこうした傾向が強い、という意味です。
すべてのベトナム人に当てはまるわけではありません。大切なことは出身を問題とするのではなく、ひとりの人間として関わることでしょう。

日本国内では年々人手が不足していますが、毎年日本で働くベトナム人は増えつづけています。

ぜひベトナムの方など、仕事を手伝ってくれる方を探しているという企業さまは、ご連絡いただければと思います。
まだ検討している段階、少しだけ話を聞きたい程度という場合でも、ぜひお気軽にご連絡ください。