「タイ人の英語は特徴的」という話を聞いたことはありませんか? タイでは英語の教育が熱心に行われている一方、母国語の影響で英語に独特な訛りが生じてしまい、コミュニケーションが円滑に取りづらいこともあります。
また、タイ人の英語能力は世界的にみてもそれほど高くない現状です。

それではタイではどのような英語の教育がなされているのか、またどのような訛りが生じてしまうのか、そもそもタイ人はどんな性格でどのような特徴があるのか。この記事では実際の数字を基にくわしくご説明します。

タイ人は小さい頃から英語が話せる?

外国人採用 タイ人 女の子

タイでは2011年から小学校での英語教育が完全義務化されています。
小学校1年生から英語の勉強を始めるのですが、幼稚園ですでにアルファベットを教えるとこもあるようです。

日本と比較してもかなり早めに英語教育を受けていますが、じつは英語能力が高いわけではありません。2023年のEF英語能力指数(EF EPI)でタイは全113か国中101位という低い成績になっています。

それではタイ人はいったいどうして英語能力が世界的にみても低い水準なのでしょうか? また、そもそもタイ人はどういった特徴があるのでしょうか。

タイをまずはおさらい

地続きで隣国と接しているタイでは、長い歴史の中で宗教や料理などさまざまな文化が伝わっていきました。
またタイは年間を通して温暖な地域で、古くから農業が盛んです。

そんなタイ人を表す2つの言葉があります。
それは「マイペンライ(大丈夫)」と「サバイ(気持ちいい)」というものです。タイ人は優しく大らかな性格で、他者を受け入れる寛容さがありますが、飽きっぽく少し苦しい思いをするとすぐにあきらめてしまうという特徴もあります。

またタイの主要言語はタイ語なのですが、このタイ語はタイ人でもなかなか習得が難しいともいわれています。

タイの英語教育とは?

タイでは2011年から英語が義務教育化されて以来、英語教育には力を入れております。近年ではインターナショナルスクールなども注目を集めており、首都バンコクはインターナショナルスクールの激戦区とも言われるほどです。また、学校によっては授業を英語のみで行う科目もあります。

ただ、母国語習得の難易度の高さやタイ人の特有の訛りなども相まって、現在でもタイ人の英語能力は世界的に見て低い水準になっています。
タイの英語教師の中には日本の英語検定能力で3級程度の英語能力の人もいるという話もあるようで、英語能力については大きな課題がある現状です。

タイ人の英語は訛りがあるの?

タイの女性ら

「タイ人の英語は訛りが特徴的だ」、なんて話を聞いたことはありませんか? タイ人の英語はほかにはない独特の訛りがあります。
何も知らずに話をすると、人によってはまったく違う言語に聞こえてしまうほど特徴的なのです。

ただ、訛りの特徴を理解しておくことで頭の中である程度は変換することができます。

タイ人は英語能力が世界的に低い方とはいえ、小学校の頃から英語を学んでおり、基礎知識は持ち合わせています。
また日本人と比較してもタイ人は「英語で話そう」という意思は強く持っているため、こちらが理解できるようになればおおよそコミュニケーションを円滑に図ることができるでしょう。

一般的には…

タイ人の英語の訛りの特徴として、以下2つがあげられます。

イントネーションが独特

普通の会話で語尾を上げ調子で発音したり、逆に疑問文を話しているのにただ語気を強くするだけの発音をしたりなど、イントネーションが独特です。
そもそもタイ語には5つの声調があり、音の高低で意味が変わるため、そのことに慣れているタイ人は英語でも独特の発音をしてしまいます。

語尾に「ナ」や「カ」がつく

タイ語では語尾の「ナ」や「カ」は丁寧語にあたります。日本でいう「です」や「ます」に近い感覚でしょう。
タイ人はこれを英語にもつけてしまうのです。その他「L」や「S」がうまく発音できない、過去形や未来形の文法をうまく使えない、などタイ語の特徴が英語で話す際にも顕著に現れてしまいます。

留学生も多い?

タイ人は英語教育の一環で留学も行っています。とくに英語圏であるイギリスやアメリカへの留学は非常に人気です。イギリスはカリキュラムの内容がよく、1年という短い期間で修士課程も取れるため、質が高い勉強ができるだけでなく留学費用も抑えられるという面からも人気です。

また、アメリカへは2017〜2018年の期間で6,636人のタイ人が留学に行っています。これは国籍別でいうと27番目に多い数であり、ほぼすべての国から留学生が来ているアメリカの中では、比較的多い方であることがわかるでしょう。

日本で働くタイ人は英語ペラペラ?

では、実際に日本で働くタイ人の英語スキルはどんなものなのでしょうか。
まず前述の通り、英語の発音や文法に難がある方が比較的多いでしょう。しかし日本よりも早くから英語の教育を受けているタイ人の中には、当然ながらネイティブレベルの英語を話せる人もいます。

日本で働くほど外国への興味があるタイ人は、英語の勉強にも力を入れている人が多いです。ただその一方、日本で働くために日本語の勉強に力を入れた結果、英語などのほかの言語についてはそこまで勉強ができていないタイ人もいます。
タイ人の勤務先や在留目的により、英語能力には偏りがあるでしょう。

タイ人が多い業種は?

2023年6月時点で、約5万9,000人のタイ人が日本に住んでいます。

そのうちでもっとも多いのが永住者で2万1,000人程度。日本人の配偶者が7,000人、定住者が4,200人ほどです。

技能実習は4,000人程度です。技能実習を受け入れている職種は「農業」や「漁業」や「製造業」、その他近年では人手不足が深刻な「介護」などです。これらの業種は現場間で仕事が完結するものが大半であり英語を使う機会は少ないでしょう。

とはいえ、「技術・人文知識・国際業務」を目的として日本に住んでいるタイ人は約2,500人おり、その中には外資系などの英語能力を必要とする職種や仕事もあります。自身の英語スキルを生かして、日本で働いているタイ人も少なからずいます。

 

タイ人の英語については掴めましたか?

タイ人の英語には独特の訛りや誤った文法の使い方などの特徴があります。しかし、「タイ人だからみんな特徴がある」というわけではなく、あくまで個人の能力を見極める必要があるでしょう。

タイ人の中には学生の頃から留学などで英語の勉強をしており、英語圏の人も驚くほどにネイティブレベルで流暢な英会話ができる方もいます。

また日本などの外国で仕事をしようとしているタイ人は、比較的勤勉な姿勢を持ち合わせており、英語の必要性を教えられれば英語の勉強も熱心に取り組んでくれるでしょう。
タイ人の特徴、タイ人の英語の特徴をしっかり抑え、よりスムーズな雇用を実現しましょう。