「日本で永住権を取得するためにはどうしたらいい?」「どのくらい期間がかかるの?」など、日本での永住権取得について考える方は疑問が尽きないでしょう。

永住権審査期間は2021年の頃は約4か月程でしたが、現在では約6~7か月かかるようです。
この記事の中では、日本で永住権を取得するための「各種申請書類」「審査にかかりそうな日数」「申請する上での注意点」を紹介いたします。

永住権審査期間って長い?

永住権審査期間は、法務省のホームページによると「標準処理期間は4か月」と発表されています。
しかしながら、具体的な永住権審査期間は発表されていませんので、申請する場合には時間に余裕をもって行う必要があります。

そもそも永住権とは?

法務省は永住権の具体的ガイドラインを作成しています。
永住権申請の要件は以下のものです。

1、素行が善良であること

2、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

3、その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

とされています。

1については、日常生活だけでなく住民としてふさわしい生活をしているかが大切です。
法律的に罰せられる行為をくり返している場合は、永住権の認可は難しいでしょう。

2については、自分で生活の生計を立てられず、生活保護の対象になる方は永住権は認められないでしょう。

3について、細かくは以下のA~Dの項目があります。

A)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること
ただしこの期間のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上も在留していること

この文言は日本に10年以上住んでいて、そのうち5年は「就労ビザ」などのビザを持っていることが必要であることを意味しています。
ビザの中でも「留学ビザ」は含まれませんので注意しましょう。

B) 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと、公的義務を適正に履行していること

法的な罰則を受けていないことはもちろん、公的義務を果たしているかも審査の対象です。
所得税や住民税など、税金や年金、健康保険料を「期限を守って支払っていること」が重要です。
もし支払っていても期限が守られていないと、許可が出ないケースが多いことも念頭に置きましょう。

C) 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること

申請時点で持っている在留資格が、「最長(現在は3年)である必要」があります。

D) 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
  有害な感染症(エボラ出血熱など)に感染していないこと
  麻薬や大麻などの中毒者でないこと

これらの公衆衛生上の観点も重要です。

永住権の申請方法

書類申請

まずは各種申請書類を集めましょう。それに加えて上記事項を満たしている証拠書類を提出する必要があります。

ここでは必要な書類についてご紹介します。

1.指定書式の申請書類

  • 永住許可申請書
  • 申請理由書
  • 身元保証書

2.各種証明書

  • 住民票の写し
  • 住民税の課税証明書と納税証明書
  • 国民健康保険の納税証明書(社会保険加入時は不要)
  • 勤務先が発行した在職証明書

3.審査に通りやすくするための資料

  • 預貯金通帳のコピー
  • 賃貸契約書などのコピーや不動産登記事項証明書
  • 申請者の在留歴や学歴、職歴などの経歴を書いた年表
  • 卒業証明書や表彰状など
  • 給与明細書
  • 源泉徴収票

4.身分証明書

  • パスポート
  • 在留カード
  • 健康保険証

5.その他

  • 申請用の写真
  • 身元保証人の住民票など各種証明書

などの書類を用意しましょう。

書類を用意したら、住居地を管轄する「地方出入国在留管理官署」または「外国人在留総合インフォメーション」に申請します。

申請が通った場合には、手数料8,000円を支払います。

永住権審査期間を長引かせないために

永住権審査期間を長引かせず通過するには、審査する人が判断しやすい書類をそろえ、懸念材料がないように準備することが大切。永住権が不許可になっても不服申し立てはできません。
再度の申請が必要となります。

許可率も公式には発表されていませんが、法律事務所などの発表では60%~90%と幅があります
これは申請する地方や専門家の知識、経験によって差が出るところです。

しかし申請が通るためのポイントはいくつか明らかになっています。

ポイント①:社会保険料を滞納しない!

永住権の申請において社会保険料を滞納していると、審査が通らない可能性が高いです。
これは永住権のガイドラインにある「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」の「公的義務を適正に履行している」という条件に当てはまらなくなるためです。

永住権審査期間を長引かさないためにも、社会保険料、年金、住民税などを滞納せずに支払っていなければなりません。

ポイント②:申請書は確実にそろえる!

申請書に不備があると、永住権の許可が下りることはないと考えましょう。
日本の永住権は、世界的に見ても厳しい条件と言われています。

就労ビザは取りやすくなっている一方で、近年は永住権の取得は難しくなっています。

指定された書類をそろえることが基本です。
プラスαの証拠書類や説得書類をそろえると、審査を有利に通過でき、永住権審査期間も短く終わるでしょう。

ポイント③:海外への出張・駐在には気を付ける!

海外への出張や駐在が1回に3ヵ月以内、かつ年間に100~150日以内であることが、ひとつの大きな目安です。
それ以上の期間の出国は審査が通りづらくなり、永住権審査期間が長引く原因となります。

在籍会社の業務で上記期間を超えて海外出張している場合、永住権の取得は難しくなります。
日本での永住権取得を目指している方は、会社と相談して勤務地などを考慮してもらいましょう。

永住審査期間について知りたいことを知ることができましたか?

今回は永住権審査期間について紹介しました。
少子高齢化社会に伴い、また就労ビザなどの審査は通りやすくなっているため、日本で働く外国人は増加傾向です。
くり返しになりますが、永住権の条件や審査は厳しくなっています。

日本で永住権の取得を考えている外国人は、

  • 普段からの素行を正すことや年金や税金、健康保険などの支払い期限を確実に守る
  • 海外出張が多い場合は、勤めている会社に勤務地などを配慮してもらう

ことが必要になるかもしれません。

審査に通るための実績が最低でも5年あると安心ですので、早めに関係者には相談しておきましょう。
また永住者の方は職種に関係なく、日本の方と同様に働くことができます。

外国人採用の大きなメリットとして、海外から直接就労してもらうのに比べて、コストや手間を減らすことができる点が挙げられます。