人手不足から外国人採用の必要性が現実味を増し、国内在住のインドネシア人に目を向けている採用担当者も少なくありません。しかし、初めての外国人採用では、インドネシア人に関しても何から把握すべきか定まらない方もいることでしょう。

そこで今回は、インドネシア人について国内の動向や特徴について共有するとともに、採用のポイントをご紹介します。インドネシア人の採用を検討する際にぜひ参考にしてください。

【インドネシア人採用】日本で就職するインドネシア人の特徴

インドネシア 旗

日本にはさまざまな国籍の外国人が在住していますが、その中でもインドネシア人の労働者が増加傾向です。それにともないインドネシア人の雇用も増加する可能性があります。インドネシア人の採用で戸惑わないようにあらかじめ、インドネシア人の動向や特徴を把握しておくことが大切です。ここからは国内在住のインドネシア人の数をはじめ、インドネシア人の労働者が増えている背景、語学力や国民性などについてご説明します。

日本に住むインドネシア人の数について

法務省の調査(「平成29年度 法務省による在留カード等上の国籍・地域別」)によって、日本に在住しているインドネシア人の数は49,982人であることが判明しました。この数字は在日外国人総数の2%にあたり、インドネシア人が日本で10番目に多い外国人であることを示しています。

また、この調査結果では、前年度と比べたインドネシア人の増加数がベトナム、フィリピンに続いて3番目に多かったことも明かされました。インドネシア人が増加傾向であることをふまえると、今後、インドネシア人の労働者の増加も見込まれ、インドネシア人の雇用を視野に入れた採用活動の必要性が生じると考えられます。

インドネシア人労働者はなぜ増加している?

アップのグラフ

採用活動でインドネシア人が注目されているのには理由があります。外国人労働者全体に占める割合は低いにも関わらず、日本で働くインドネシア人が増加傾向だからです。ではなぜ、国内でインドネシア人の労働者が増加しているのでしょうか。その理由として、日本政府が外国人技能実習制度を実施していることが挙げられます。

外国人技能実習制度は、外国人が日本の技術や知識を習得できるようにするために整備されました。厚生労働省の調査(外国人雇用状況の届け出状況 平成30年10月時点)では、日本で就労するインドネシア人の約6割が技能実習に該当しているのです。インドネシアと日本の間で、技能実習の取り決めが作成されたことにより、割合が高くなったと考えられます。

インドネシア人の語学力は?

インドネシア人に語学力があるかどうかも採用では重要な指標となります。インドネシアにおける日本語の学習者数は世界的に多い傾向です。インドネシアが親日国家であるという理由もありますが、日本の植民地であった時期に日本語教育が行われていた事実も関係しています。そのほか、近年インドネシアで日本のアニメや漫画が広まり、日本語への興味を持つ人が増えたことも理由の一つです。

また、外国人の多い首都のジャカルタや観光地のバリ島では、小学校一年生から英語が必須科目と定められているため、英語力の高さも期待できます。大学を卒業したインドネシア人であれば日常的な事柄について問題なくやり取りできるでしょう。ただし、ネイティブではないことから訛りがある点には注意が必要です。

インドネシア人の国民性

インドネシア人は親切であることが知られています。一般人が交差点の中央で交通整備を始めたり、階段で転んだ人の周りに多くの人が駆け寄ったりするなど、その親切さを示す出来事は数え切れません。中国人は一度関係を気づくとその後の関係を大切にしますが、インドネシア人は関係のない人にも温かく接するようです。

この国民性は採用の際にメリットとして働くことが期待できます。また、性別によって性格が異なるのも特徴的です。女性はとても明るい性格の人が多く、年上でも子供のように感じられる場面もあるほどです。歌を好む点にも特徴が見られ、日本のカラオケに通う人も少なくありません。

一方、男性には少し厄介な一面があるので見過ごさないようにしましょう。フードコートで食事を終えた後に片づけをしなかったり、ゴミを道や川に捨てたりすることがあるのです。

ただ、似た様なルーズな国民性はフィリピン人にも見られます。従業員が、お客を無視してスマホをいじったり雑談したりするなど日常茶飯事です。ただし、日本の職場ではそのような国民性があだとなるケースがあるので、インドネシア人の男性を採用する際には留意しておきましょう。

【インドネシア人採用】採用のポイントとは?

インドネシアン女

インドネシア人は明るく優しいとお伝えしましたが、国民性の良い部分だけに目を向けてインドネシア人を採用すると、思わぬところで後悔するケースがあります。インドネシア人の仕事に対しての考え方や、日本の文化にそぐわない性格・習慣などにも目を向けることが重要です。

それらをふまえながら、インドネシア人を採用するために大切なポイントをはじめ、インドネシア人に向いている職種や、面接時・採用後に注意したいことについてご説明していきます。

日本で採用するためには?

インドネシアでは転職を重ねてキャリアアップする考え方が一般的です。非正規雇用であればデメリットになりづらいですが、正社員として採用する場合は試用期間中に目的を見極めることが大切といえます。また、インドネシアの法律では、会社が規定する試用期間が過ぎた場合、正社員にするかどうかを判断しなければなりません。

しかし、一般的に同じ日本人ですら相互理解が容易ではないことから、短期間で外国人の本音を引き出すことはさらに難しいといえるでしょう。そこで、日本でインドネシア人を採用する際には、同じ国籍の社員を面接に同席させることが望ましいといえます。

インドネシア人の習慣を知る

日本人がインドネシア人と接する際に、困惑する要因の一つが習慣です。事前に把握しておかないと、面接時にもトラブルが生じる可能性があります。インドネシアでは人口の約9割がイスラム教徒で、食事に制限があるのが特徴的です。たとえば、豚肉やアルコールの摂取が禁止されています。食事以外にも禁止事項があり、採用の際に知っておくべきなのが、異性との握手が禁止されていることです。採用面接でうっかり握手をして、インドネシア人の怒りを買い、せっかく見つけた優秀な人材を失うことがないように気を付けましょう。

どんな職種が向いているのか?

インドネシア人は歌が好きで陽気な性格をしていることから、イベントなどでお客さんを楽しませる職種がうってつけです。そのほか、親切である点をふまえると、人を介抱する職種である看護師や介護ヘルパーなどの仕事も適していると考えられます。

また、これらの性格から明るさや気遣いが要求される飲食店やホテルなどにおける接客業もあっているといえますが、片付けをしない人が多い点で、お客さんを不快にさせてしまうケースもあるかもしれません。また、インドネシア人の社員教育事例から、時間にルーズな一面があることも知られています。

その点も踏まえると、時間通りに稼働が求められる公共機関に関わる職種は向いていなさそうです。インドネシア人を採用する際には、ポジティブな性格と大雑把な性格の両方を考慮するようにしましょう。

面接時、採用後に注意すること

インドネシア人には親切で明るい性格の人が多い一方で、自分を大きく見せてしまう性格の人も見られます。そのため、ネガティブな経歴を隠して面接に臨んでくるケースがあるので注意が必要です。

面接の際は退職の理由を深掘りするようにしましょう。採用後に関しては、インドネシア人は一社で働く期間が短い傾向があることをふまえ、短期間での退職を防ぐ取り組みが重要です。インドネシア人の中には、他の企業で高い給与を提示されて退職に至るケースが多いことをふまえると、段階的に報酬を高める仕組みを整える必要があります。

インドネシア人の採用については掴めましたか?

インドネシア人女性

インドネシア人の国内動向や特徴をはじめ、採用のポイントについてお伝えしました。インドネシア人の性格や適した職種などを知り、採用を前向きに検討したいと思えた方もいるのではないでしょうか。

ただし、インドネシア人の採用では、働き方の価値観や習慣などがデメリットに作用するケースもあります。今回紹介した注意事項を最低限心に留めながら、インドネシア人の採用に臨んでみてください。