「在留カード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?実はこの在留カード、外国人を雇用する上で理解しておかなければならない大きな事柄の1つなのです。そもそも、在留カードを所持していない外国人は違法となり罰せられてしまいます。

企業側もその在留カードについて知識不足のまま雇用してしまうと、いざ外国人が適した手続きをしていなかった場合「違法者」を雇用していることになり企業イメージの低下にも繋がってしまいます。また、有力な外国人を手放さなければならない場合もあるでしょう。

そんな事態を免れるためにも、本記事ではそもそも在留カードとは何なのか、有効期限はいつなのか、詳しく説明します。

在留カードとはなに?

在留カード表裏

画像引用:出入国在留管理庁ホームページ

在留カードとは、法務大臣による「証明書」であり、「許可証」です。では、何を証明していて何を許可しているのかをご説明します。

・証明書としての役割

出入国在留管理庁では “法務大臣が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する『証明書』” と説明されています。

簡潔に説明すると、「法や秩序を守った上で一定期間日本に滞在する人であることを証明しているもの」が在留カードです。

・許可証としての役割

出入国在留管理庁では “従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要式行為となるため『許可証』としての性格を有している” と説明されています。

非常に簡潔にまとめると、「諸々の処理や手続きをパスポートの代わりに許可するもの」が在留カードです。

在留カードはとても重要!

上記の通り、非常に重要な役割を担っている在留カードは外国人が日本にいる間は肌身離さず持っていなければなりません。また、上記のような役割を担うためにも、在留カードには「氏名/生年月日/性別/国籍・地域/住居地/在留資格/在留期間/就労の可否など」法務大臣が把握している情報の中でも、特に重要な部分が記載されています。

また、在留カードは日本にきた外国人が、「在留期間更新」や「在留資格変更」などの在留に係る許可を受けた際に交付されます。観光目的などで日本への滞在期間が短い期間(3ヶ月以内)の方には発行されません。

中長期日本に滞在する外国人にとって在留カードは財布と同じかそれ以上に大事なものになります。

いつも持っていないと罰則になる?!

逮捕

在留カードはそれだけ重要な役割を担っている為、日本にいる間は在留カードを常時携帯することを法律で義務付けられています。

出入国管理及び難民認定法 (旅券等の携帯及び提示) 第23条 第2項

「中長期在留者は、出入国在留管理庁長官が交付し、又は市町村の長が返還する在留カードを受領し、常にこれを携帯していなければならない。」

日本では在留カードを持っていない事は違法になります。ちなみに、もしこの法律を犯してしまった場合の罰金は20万円です。

出入国管理及び難民認定法 第75条の3

「第23条第2項の規定に違反して在留カードを携帯しなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。」

在留カードも切れる?

時計

外国人が日本にいる間は必需品である在留カードですが、これらには有効期限があります。この期限を知らずにカードの更新をせず日本で暮らしていた場合、違法として捉えられかねないため気をつけましょう。

また、在留カードの期限は資格等により様々である為、それぞれの在留カードがいつまでの期間になるのか把握しておくことも重要です。その他、住所などの在留カードに記載されている項目に変更があった場合は都度申請が必要になります。

外国人を雇用する上ではこれら在留カードの基本的なルールもしっかり理解しておく必要があるでしょう。

有効期限をチェック

在留カードの有効期限は永住者の方は7年間、永住者以外の方は在留期間により異なります。また、在留期間は在留資格により様々です。詳細は以下の表をご覧ください。

在留資格 在留期間
短期滞在 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間
研修 1年,6月又は3 月
興行 3年,1年,6月,3月又は15日
留学 4年3月,4年, 3年3月,3年, 2年3月,2年, 1年3月,1年, 6月又は3月
公用 5年,3年,1 年,3月,30日 又は15日
教授 5年,3年,1年 又は3月
芸術
宗教
報道
法律・会計業務
医療
研究
教育
技術・人 文知識・ 国際業務
企業内転勤
介護
技能
文化活動
経営・管理 5年,3年,1 年,4月又は3月
日本人の配偶者等 5年,3年,1年 又は6月
永住者の 配偶者等
定住者 5年,3年,1 年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間 (5年を超えない範囲)
特定活動
家族滞在 5年,4年3月, 4年,3年3月, 3年,2年3月, 2年,1年3月, 1年,6月又は3 月
技能実習 (※1号) 法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
技能実習 (※2号) 法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)
技能実習 (※3号)
高度専門職 (※1号) 5年
外交 外交活動の期間
高度専門職 (※2号) 無期限

その他、16歳未満の永住者は16歳の誕生日が有効期間になり、16歳未満の永住者以外の方は上記の有効期間か16歳の誕生日のいずれか早い方の日が有効期間となります。

在留カードの更新は?

更新

有効期間が過ぎた在留カードは、更新の手続きが必要です。

申請は、疾病などの例外を除いて原則本人でなければ認められません。申請をする際には、申請書・写真・パスポート(もしくは在留資格証明書)・更新前の在留カードが必要になります。代理人や取次者が申請を行う場合は別途身分を証する文書なども必要です。

申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署になりますが、ほぼ全ての都道府県に出張所があります。もし出張所へ向かうのも厳しい場合は、電話や訪問も対応している外国人在留総合インフォメーションセンターでも申請は可能です。

また、手数料はかかりませんので有効期間が近づいてきたらなるべく早く更新しましょう。

住所変更したら?

在留カードには住所も記載されていますので、住所を変更した際には別途法務大臣へ届け出が必要になります。

期日は、引っ越した日から14日以内です。14日以内に引越し先の市区町村の窓口で、新しい住所を法務大臣に届け出なければなりません。また、届け出る際は在留カード等も必要になるので事前に確認を行いましょう。なお、在留カード等を提出した上で住民基本台帳制度における転入届、または転居届をしていた場合は、これらの届出が住居地の届出とみなされる為他の手続きは必要ありません。

在留カードの手続きが不完全のままであると違法にもなりかねない為、手続きをしっかり把握し適切な処理を行いましょう。

特別永住者証明書とは?

特別永住者証明書は、「特別永住者の法的地位等を証明するもの」です。特別永住証明書を持つ方は日本で永住することを法律で認められています。

また、「永住者」と「特別永住者」では適用される法律に違いがあり、永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づき、特別永住者は「出入国管理及び難民認定法」と「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱したもの等の出入国管理に関する特例法」に基づきます。永住者は「素行」や「技能」などを考慮されて権利を得られますが、特別永住者の配偶者や子の場合はそれらに当てはまらなくとも権利を得られます。

また、「永住」とはいえこちらも有効期限がある為期限が切れる前に更新が必要です。

在留カードについて詳しくなりましか?

日本で外国人が暮らす上で必要不可欠である在留カード。これについて理解することは、日本で暮らす外国人のみならず、日本で外国人を雇用する企業側としても重要なことになります。企業側が在留カードについての期限やルールを事前に知っておくことで、外国人にその都度適した助言やお手伝いが可能になるでしょう。

また、外国人を雇用する際は必ずこの在留カードを所持しているか確認しましょう。雇用する外国人のスキルや人柄に関係なく、在留カードを所持していないだけで日本では違法となってしまいます。

在留カードについて正しい知識を身につけ、よりスムーズな外国人雇用を実現しましょう。

引用・参考URL

「在留カードとは?」出入国管理庁ホームページ