近頃、増加する訪日外国人ですが、共に生活したり、働くうえでそのマナーについて理解を深めたりすることは重要です。日本では当たり前のことが外国人にとっては失礼に当たったり奇妙な行動と捉えられてしまったりすることも少なくありません。
そこで今回は、外国人の食事・仕事上マナーや習慣、NGなしぐさなどを地域別で紹介します。
目次
【地域別】外国人食事のマナー

国によってテーブルマナーや食べる物は様々。中には宗教上、食べてはいけない食材がある事も少なくありません。以下では、地域別のテーブルマナーや宗教上の違い、最近話題のヴィ―ガンについてなど、詳しく説明致します。
テーブルマナーはどう違う?
テーブルマナーは国や地域によって何を重視するかによって異なります。
・韓国
韓国では、目上の人の前での飲酒が厳禁です。お酒を注ぐときにも注意が必要で、目上の人から順にお酒を注ぎます。瓶を右手で持ち、左手は瓶か右肘、胸のどこかに軽く添えてお酒を注ぎます。日本ではお酒がなくなる前に再び注ぐのがマナーですが、韓国の場合は完全に飲み干してから注ぐのが基本です。
また、目上の人からお酒を入れてもいらう時には、両手でグラスを押さえます。そして、勧められたお酒は全て飲み干すのが韓国のマナーです。
・中国・香港
中国や香港の人々にとって「美食」は最大のおもてなし。箸とレンゲを使い、食器を持ち上げずテーブルに置いて食べるのがマナーです。スープを飲む際はズズッと音をたて足り、茶碗に口を付けずに、レンゲを使って飲みます。
日本人と比較すると約1.5倍の量を食べるため、大盛サービスや、量の多いメニューが大好き。料理を完食することよりも、「もう十分いただいた」という意味合いで少し残すことが礼儀です。
・台湾
台湾では、「食べて飲んで遊んで楽しむ(吃喝玩樂)」事を好みます。食べるものによって体温の上がり下がりが起きるとい考えており、温かい食事が好きです。そのため食事中にお冷や冷たいお茶は飲みません。冷たいものを出すと嫌がる方もいるかもしれませんので、温かいスープなどを勧めてみると良いです。
・インド
インドの人々は宗教に基づいて生活を送っています。料理の材料だけでなく、一緒に食事を共にする相手や、食事をする時間・時期など、厳格なルールが特徴。床に座って食事をするのが伝統で、左手は避けられ、右手もしくはスプーンで食べる人が多いです。配膳人によって料理がよそわれます。
・イギリス
イギリス人はテーブルマナーを教育の一環だと考えており、食事も形式を重視しています。右手にナイフ、左手にフォークが基本、これらは持ち替え厳禁。食事中は肘をつかない、音を立てて食べないことも基本中の基本です。
・アメリカ
アメリカ人はカジュアルに食事を楽しみます。イギリスのテーブルマナーが基本ですが、アメリカでは少し砕けた雰囲気です。右手のナイフと左手のフォークは持ち替え可能。形式はそれほど重要視せず、簡単に食事を楽しむ傾向があります。
宗教上気を付けること

宗教にはそれぞれ禁忌(タブー)があります。禁忌の中には食べ物も含まれており、中でも一番多いのが肉類です。
例えばインドでは牛肉は食べません。牛は神聖な動物と崇拝されており、食べられません。他にもイスラムでは、豚肉がハラーム(禁じられていつもの)とされ、豚肉を食べることが禁じられています。豚肉以外の鶏肉や牛肉はハラールと呼ばれ、戒律の中で決められた処理をしているものは食べることができるのです。
また、イスラム教やヒンドゥー教では「左手は不浄なもの」とされており、食事や飲み物を左渡すことは失礼にあたります。宗教によって、食べる物に禁忌があるということ、左手が不浄だとされているなどその他にもいくつかの禁忌があるのです。
現在ではハラームかハラールかの違いが分かるよう、認証マークを貼っている飲食店も増えてきています。
ベジタリアンとヴィーガンって何が違う?
ベジタリアンが肉類と魚を食べないのに対しヴィーガンは、卵・乳製品、はちみつも食べません。ベジタリアンという言葉は「vegetus」というラテン語が語源で、「健全な」「新鮮な」「活力のある」という意味があります。
ベジタリアンには大きく4つの種類に分けられる、その中の一つがヴィーガンです。ヴィーガンは、1944年にヴィーガン協会がイギリスで設立されたのに際して命名されました。
ヴィーガンは、肉・魚類はもちろん、卵や乳製品、はちみつなどの動物性食品を一切食べません。ヴィーガンの中には、革製品わ毛皮製品など、食べ物にとどまらず、身の回りからとことん動物製品を排除する人もいます。
ベジタリアンは、様々な種類の菜食主義者たちの総称であり、ヴィーガンはそのベジタリアンの中の1種、完全菜食主義者なのです。
【地域別】外国人のしぐさや所作のマナー

外国人と日本人とでは生活習慣やマナーが異なります。それによって誤解が生じたりすることはよくあります。場合によっては事件にまで発展することもあるのです。
では実際に外国人にはどのような習慣やマナーがあるのか?気をつける事はないのか?以下では、外国人の生活習慣や外国人に対してしてはいけないしぐさ、ビジネスマナーを詳しく説明していきます。
このしぐさはNG?
・アメリカ
アメリカではハグや握手以外で他人の身体に触れる事はありません。そのため、日本人が相手を呼ぶときなどに使う肩をトントンすることはアメリカ人にとって不快な行為なのです。
・南米(ブラジル)
日本人が頼みを了承するときなどによく使う、親指と人差し指を丸めて作るOKサイン。ブラジルではこのOKサインを「tomo no Qoo」といって使うことがあります。これはスラング用語であり、「Qoo」は「肛門」という意味があり、相手にとって失礼極まりありません。
・ヨーロッパ
日本人が写真を撮るときなどによくするピースサイン。ピースサインを裏にして下から突き上げるサインはイギリス人にとって最大の侮辱行為です。また、ギリシャでは裏ではなく普通のピースでも侮辱を意味します。ヨーロッパの人がいる前ではピースサインは控えましょう。
また、鼻をすする行為もNG行為!!日本では、風邪をひいたときなど鼻水が止まらないときに鼻をすすることはよくあります。しかし、鼻をすすることはヨーロッパ方面の人にとってはかなり不快に感じる行為です。
万が一鼻水が止まらない時はティッシュではなくハンカチで拭いましょう。もちろん鼻をかむ行為も失礼に当たります。
生活習慣のマナー
日本ではトイレにトイレットペーパーを流すのは普通ですが、韓国や台湾、ベトナム、マレーシア、インドなどのアジア圏ではトイレットペーパーは流しません。トイレの配水管が細いため、流せないという施設が多いためトイレットぺーパーは流さずにゴミ箱に捨てます。
また、お風呂に入る際、日本では湯船に浸かることは普通ですが、多くの国では湯船に浸かりません。シャワーだけで済ませる人が多く、バスタブすらない家も中にはあります。
日本の銭湯や温泉のように、大勢の人がいる中で裸になるのは外国人にとって抵抗に感じる事が多いです。温泉や銭湯のオーナーさんは水着を着用して入浴が可能かあらかじめ分かるようにすることがトラブル防止になりますね。
仕事に関するマナー

ビジネスシーンにおいて、日本人が普段当たり前のようにやっていることも外国人からみたら奇妙または失礼に思われる事がしばしばあります。
・腕組み
会議や打ち合わせの時など多くの人がやってしまいがち。しかし、外国人から見たら「敵対意識を持っている」と捉えられてしまいます。
・名刺よりも握手が先
海外では、名刺はそこまで重要視されていません。海外ビジネスは握手から始まり、全て終了した後に名刺を交換します。
・レディーファースト
海外では上下関係関わらず、レディーファーストが徹底されます。例えば、エレベーターは奥の席が上座とされており、目下のものは操作盤の前で操作するのが基本です。海外ではビジネスシーンにおいても女性を先に通し、男性が操作盤を操作します。
外国人のマナーについて詳しくなれましたか?

いかがでしたでしょうか?日本では当たり前だと思っていた行為が、国や宗教の違いで外国人にとっては失礼に当たる事があります。
テーブルマナーでは、マナーは教育の一環というイギリスやただ食事を楽しむアメリカなど、地方によって様々。また、テーブルマナーに留まらない宗教による禁忌や習慣の違いも気をつけなければいけません。
今後在留外国人が増えていく中で、それぞれの国や宗教におけるマナーや禁忌などをしっかりと勉強し理解する事が大切です。お互いがお互いを理解し合い、より良い関係を築いていきましょう。