日本国内では、少子高齢化に伴う人材不足が顕著になっています。その解決手段のひとつなのが、外国人労働者の雇用です。現に、外国人労働者は語学力をはじめとする各スキルを有しており、各業界・業種で活躍しています。

とはいえ、「雇用していた外国人が失踪した」や「採用した外国人労働者とのコミュニケーションが取れない」など、外国人労働者を雇用したが故にトラブルが起きている企業があるのも事実。

トラブルを未然に防ぐためにも、外国人労働者とのよくあるトラブル事例とその解決方法を把握する必要があります。そこで当記事では、外国人労働者トラブル4選とそれぞれの解決法を具体的に解説していきます。外国人労働者の雇用を検討中の方はぜひ参考にしてください。

外国人労働者トラブル1:失踪した!

失踪

日本人労働者が失踪するケースは少ないですが、外国人労働者が失踪するケースは少なくありません。法務省が2018年2月に発表した『平成29年に外国人の研修・技能実習の適正な実施を妨げる「不正行為」について』によると、2017年に失踪した外国人労働者は7千人以上、2013年からの5年間で約2万6千人が失踪していることがわかっています。

外国人労働者による失踪数は増加傾向にあり、外国人労働者を雇用している企業によって、対策すべきトラブルです。失踪するケースとしては、面接日や面接前に連絡が取れなくなるケースや雇用後に連絡取れなくなるケースなど、様々です。

解決法とは

失踪届けを提出すれば、警察なども協力して探してくれますが、基本的に、失踪後に外国人労働者が見つかるケースはほとんどないといわれています。外国人労働者による失踪後の対策よりも、失踪の原因を把握して、未然に防ぐことが重要です。

失踪の主な要因としては、文化の違いや劣悪な労働環境によるものです。失踪する外国人労働者が全て悪い訳ではありません。一部の企業は、賃金未払いや衛生面の悪い環境で労働させるなど、企業の対応が不十分な為に、外国人労働者による失踪を招いています。

まずは、外国人労働者に対する労働環境を整備する必要があるでしょう。例えば、寮の衛生面や報酬面などを充実させるなどが考えられます。

加えて、お互いの文化を理解する必要があります。面接時に自社の労働環境やビジネスに関する情報だけでなく、日本の企業文化についてもしっかり説明するべきでしょう。

外国人労働者トラブル2:残業してくれない

帰宅

残業が必要な場合でも、定時に帰る外国人労働者が多いといわれています。外国人労働者は、ただ仕事を切り上げたいのではなく、残業への理解や文化の違いによるものが大きいです。残業してくれない原因を理解して、解決策を見いだしましょう。

文化の違いが原因かも?

海外では、定時ぴったりに仕事を終えるのが基本です。日本企業のように、残業する文化がそもそもありません。仮に仕事が残っていたとしても、残業してその日中に終わらせるのではなく、後日の定時内に残りの仕事を片付けるという考え方が根付いています。

むしろ、日本企業のように残業する国は少ないといえます。日本の企業文化は特殊であり、海外と異なることを把握しておきましょう。

解決法とは

残業した分、残業代を支払うとしっかり説明しましょう。残業のない海外では、残業しても残業代が発生しないと思っている外国人労働者も少なくありません。「残業代が発生しないのではないか」という外国人労働者の認識は、残業をしない大きな要因のひとつです。

外国人労働者を雇用する際、残業についての説明を行うことで、残業に対する理解を深めてもらうと、残業してもらえるようになるでしょう。

外国人労働者トラブル3:雇用条件で訴えられた

裁判

雇用条件で訴えられるケースもあります。場合によっては、罰金や逮捕されてしまいます。そうならないためにも、要因と解決策を把握しておきましょう。

雇用契約書日本語だけで作成していない?

雇用契約書を日本語だけで作成していませんか?雇用契約書が日本語だけの場合、外国人労働者はその詳細まで理解できないでしょう。雇用条件への理解が乏しいと、後から訴えられても仕方がありません。

また日本語がある程度わかる外国人も「漢字」が分からない場合も多くあります。相手が日本語ができるからと安心してはいけません。

解決法とは

日本語に加え、外国人労働者の母国語もしくは英語で書かれたものを作成してください。外国人労働者を雇用する上での基本となります。また日本語バージョンはフリガナを振るようにしましょう。

面接時に通訳がいるとさらに良いでしょう。外国人労働者本人の疑問点を全て解消し、雇用条件を理解してもらった上で雇用することが重要です。

「相互理解」を最優先にコミュニケーションをとるよう心がけましょう!

外国人労働者トラブル4:コミュニケーションが取れない

喧嘩

外国人労働者とのコミュニケーションが取れず、作業効率が悪くなったり、業務にミスが起きたりするケースが多くなっています。

外国人労働者は日本にやってくる前にある程度日本語を学んでからきます。とはいえ、日本語を流暢に話せるレベルになるまでには時間を要するため、外国人労働者と日本語でもコミュニケーションを上手く取れない場合もあります。しかし、日本語レベルは根本的な原因ではありません。根本的な原因を理解すれば、すぐに対応できる問題なので、まずは原因を把握しておきましょう。

相手の文化は理解している?

日本語レベルの問題以前に、相手の文化への理解が大切です。日本人は「空気を読む」という言葉があるように、言葉以外の動きから相手の心情を読み取るコミュニケーションの取り方です。

とはいえ、外国人労働者には日本人流のコミュニケーションの取り方は通用しません。はっきり物事を言葉で伝えなければ、伝わらないことは多々あります。相手の文化やコミュニケーションの取り方を事前に把握しておきましょう。

解決法とは

相手の文化を理解することで、お互いの信頼性を高め、よりスムーズなコミュニケーションがとれるでしょう。外国人労働者を雇用する際、それぞれの出身国の文化などを事前に調べておくのがおすすめです。また、面接時に自社の情報に加え、日本の企業文化やコミュニケーションの取り方についての説明を行い、外国人労働者に日本での労働文化を理解してもらいましょう。

加えて、やはり日本語教育も必要になります。定期的に日本語レッスンを設けたり、日本語の教材を提供したりして、日本語を学べる環境を整備する必要があります。「文化の相互理解」と「日本語レベルの底上げ」が外国人労働者のコミュニケーション問題の解決の鍵を握っています。

外国人労働者のトラブルついて掴めましたか?

チーム

外国人労働者を雇用する際の主なトラブルについて把握できたでしょうか?外国人労働者を雇用することで、従来はなかった「失踪」や「雇用条件で訴えられる」などのトラブルが増えています。

とはいえ、問題は外国人労働者本人だけでなく、企業側にも責任があります。事前に各トラブルの原因と解決策を理解しておくことで、トラブルを未然に防げるでしょう。

基本的には、企業としての確認不足であったり、労働者とのコミュニケーション不足だったりがトラブルの元です。トラブルを起こさない為にも、外国人労働者に配慮した労働環境を整えましょう。