外国人が日本に滞在するためには「ビザ」の取得が必要ですが、種類が多くあり少しややこしいと思われる方も多いのではないでしょうか。実際、日本には27種類のビザがあります。
今回はその中でも特に聞き馴染みがないにも関わらず実は結構重要な「特定活動ビザ」について紹介していきます。日本には特定活動ビザで滞在している外国人も多いため、あらかじめ特定活動ビザの内容をしっかり確認しておくと良いでしょう。
目次
特定活動ビザとは:そもそもなに?

「特定活動ビザ」について、あなたはどれだけ知ってますか?外国人が日本に在留するためには必ず「ビザ」の取得が必要ですが、特定活動ビザも在留資格の一つです。
特定活動ビザは在留資格の中でも「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とされています。では、特定活動ビザとは具体的にどのようなビザなのか、一緒に見ていきましょう。
他にはどのようなビザがあるのか?
入管法で定められている27種類のビザは各々在留資格が定められており、在留資格ごとに要件や付与される在留期間が異なっています。
例えば、「短期滞在」は外国人が観光や休養等で日本に短期間滞在するときに取得できるビザです。また、外国人が日本の中学・高校・大学等で学習する際は「留学」ビザを使用することができます。
さらに、外国人が日本で働くためには就労可能な在留資格が必要となり、「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」などの在留資格が用意されているのです。しかし、在留目的が必ずしもこれらのカテゴリに含まれるとは限りません。
今回紹介する特定活動ビザは「法定特定活動」・「告示特定活動」・「告示外特定活動」の3種類です。では早速それぞれどのような資格なのか、見ていきましょう。
法定特定活動って?

特定活動の中でも、入管法で特定されている活動が「法定特別活動」です。法定特別活動に該当する活動について、見ていきましょう。
◆【特定研究活動】
特定研究活動の要件は、入管法で下記のように定められています。例えば外国人が日本の施設で研究や研究主導を行うときは、特定研究活動が該当するのです。
- 高度な専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究(以下「特定研究」といいます。)を目的とするものであること。
- 特定研究を行う本邦の公私の機関(以下「特定研究機関」といいます。)が,当該特定研究に必要な施設,設備その他の研究体制を整備して行うものであること。
- 特定研究の成果が,当該特定研究機関若しくはそれと連携する他の機関の行う特定研究若しくはこれに関連する産業に係る事業活動に現に利用され,又は当該利用が相当程度見込まれるものであること。
- 特定研究を目的とした活動を行う外国人の在留に係る十分な管理体制を整備して行うものであること。
(参考「在留資格「特定活動」(特定研究等活動)について」:法務省ホームページ)
◆【特定情報処理活動】
次に、特定情報処理活動という下記のような活動が定められています。これは、外国人の方が,本邦の公私の機関との契約に基づいて当該機関の事業所において自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する情報処理に係る業務に従事する活動を希望する場合です。
例えば、外国人が日本の施設で自然科学や人文科学等の分野に関する情報処理活動にかかわる業務で働く場合は、こちらの特定情報処理活動が当てはまります。
◆【特定研究等家族滞在活動】及び【特定情報処理家族滞在活動】
上記の「特定研究活動」と「特定情報処理活動」の活動を踏まえて、入管法ではその家族について次のように定めています。
「特定研究等活動」又は「特定情報処理活動」を行う外国人の方(以下「扶養者」という。)の扶養を受ける配偶者又は子である場合
このように、上記で解説した特定研究活動や特定情報処理活動を行う外国人の方の配偶者や子供は、こちらの活動が適用されます。
告示特定活動って?

次に挙げるのは「特定活動」告示に掲げられている活動、つまり告示された指定活動です。
特定活動は「特定活動告示であらかじめ定められているもの」とそうでないものに分けられますが、ここで確認するのは「特定活動に掲げられている」活動です。
まず、「特定活動」告示に掲げられている活動は近年増加していて、約40種類の活動が存在しているのです。例えば、下記のような活動が挙げられます。
1.ワーキングホリデー
ワーキングホリデーとは、日本で一定期間の休暇を過ごし、その間の生活費を補うために就労する制度です。
また、外務省はワーキングホリデーの趣旨を下記のように説明しています。
ワーキング・ホリデー制度とは,二国・地域間の取決め等に基づき,各々が,相手国・地域の青少年に対し,休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。各々の国・地域が,その文化や一般的な生活様式を理解する機会を相手国・地域の青少年に対して提供し,二国・地域間の相互理解を深めることを趣旨とします。
(参考「ワーキングホリデー制度」:法務省ホームページ)
2.インターンシップ
インターンシップは、下記のように定義されています。
外国の大学の学生が、当該教育課程の一部として、当該大学と本邦の公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、1年を超えない期間で、かつ、通算して当該大学の修業年限の2分の1を超えない期間内、当該機関の業務に従事する活動
つまり、インターンシップとは外国人の学生が就労の経験をするために、日本の企業から報酬を受けながら働くことができる制度なのです。
告知外特定活動って?

特定活動には「特定活動告示に掲げられていない」活動もありますので、具体例を見ていきましょう。
1.就職内定者及びその家族の継続在留活動
外国人が大学等を卒業し、引き続き就職活動を継続して翌年の春入社の内定を決めた場合は、その入社までの期間は「特定活動」の在留資格が付与されます。
つまり、就職活動後に「次の春の入社」予定であれば、その間の在留は「就職内定者及びその家族の継続在留期間」で認められるのです。
2.技能実習活動
「研修」の在留資格を持つ研修生が「技能実習生」になった場合です。
なお、「研修」の在留資格では外国人が日本で技術・技能・知識を習得し、それらを彼らの本国に持ち帰ることを目的としています。
3.出国準備のための活動
例えば、在留資格変更許可申請を出した後、変更前に在留資格の在留期限が超過してしまうことがあります。このとき、変更許可申請の「見込み」が不許可である旨を地方入国管理局より通知されると、外国人は超過滞在とされないために「出国準備のための活動を行うため」の特定活動への変更を促されます。
指定書とは?
ここまで、特定活動の詳細について確認してきました。さて、いざ外国人に特定活動の在留資格が許可されると在留カードと「指定書」が発行されます。
指定書はパスポートに添付され、特定活動の内容が具体的に記載されている書類です。外国人を雇用するときは、この指定書を必ず確認して、その外国人が行える活動の範囲を必ず確認しましょう。
特定活動ビザとは:就労できるの?

ところで、特定活動ビザが付与されている外国人は本当に就労が可能なのでしょうか。特定活動は基本的には就労を前提としていないため、特定活動の指定書に就労できることが示されていない場合は外国人を就労させることができません。
外国人が特定活動の在留資格を持っていたとしても、必ず就労できるわけではないので注意が必要です。ここから、就労できない特定活動について詳しく見ていきましょう!
就労できない特定活動も!!
就労できない特定活動ビザには、どのような場合があるのでしょうか。例えば、大学を卒業後に就職活動を行う留学生には就労は認められていないため、就労するためには資格外活動許可の取得が必要です。
この許可がないまま就労させると不法就労となってしまいますのでよく注意するようにしましょう。
特定活動ビザについては掴めましたか?

この記事では「特定活動ビザ」の種類や内容、就労の可否について確認してきました。
特定活動ビザば法定特定活動・告示特定活動・告示外特定活動の3種類があり、それぞれ様々な要件が定められています。
また、外国人は特定活動ビザが許可されると、パスポートに「指定書」と呼ばれる活動の詳細が明記された書類が添付されます。外国人を雇用するときは、必ず指定書を確認するようにしましょう。
そして、特定活動ビザには就労可能なものと、就労ができないものがあります。採用しようとしている外国人が本当に就労できる資格であるかを事前によく確認し、外国人に不法就労をさせないように注意してください。