日本に住む外国人も、日本人同様「マイナンバー」を持っていることはご存知でしたか?入社時期、年末調整、確定申告の時期などに必要となる「マイナンバー」ですが、日本人従業員への対応はしていて、外国人従業員への対応はしていない…なんてことはないでしょうか。
そこで今回は、外国人のマイナンバーに関する疑問を元・総務担当の筆者が解説します。
- マイナンバーは外国人にも必要なのか
- マイナンバーを持つ外国人を雇用したら、どんな注意点があるか
など、「外国人とマイナンバー」に関するポイントをご紹介します。分かりやすい言葉で説明をしているので、ぜひご一読ください!
目次
外国人が持っているマイナンバーとは?

画像引用:総務省ホームページ
「マイナンバーは持ってるけど、何に利用されているか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際マイナンバーは配布されたものの、マイナンバーカードを発行していない方も多く、実際の普及率は2割にも満たないといわれています。
しかし、外国人のマイナンバーを知る上では、マイナンバー制度をよく理解することが必要です。はじめにマイナンバーの基礎知識を復習し、外国人にマイナンバーが必要な理由を見ていきましょう。
また、もっとマイナンバーに詳しくなるため、海外の個人番号制度もあわせてご紹介していきます。
なにに使えるのか
マイナンバーは、日本に住民票を持つ各自が持つ12ケタの番号です。
現在、国の行政機関や地方公共団体は、住民票コード・基礎年金番号・健康保険被保険者番号など、それぞれ独自の番号で個人情報を管理しています。しかし、マイナンバーの導入により、複数の機関に存在する個人のデータを一つに紐づけることが可能となったのです。
マイナンバーは、行政の効率化を図るとともに国民の利便性を高めて、公平公正な社会を実現すると言われています。
その理由は、以下のとおりです。
1.行政が効率化する理由
行政機関や地方公共団体で、複数の情報を照合、管理、入力する作業時間が短縮されます。個人データの連携が進み、事務処理のムダが削減されるのです。
2.国民の利便性が高まる理由
各種申請に必要だった添付書類が削減され、事務手続きが簡単になります。
3.公平公正な社会が実現する理由
マイナンバーにより、本人の所得や行政サービスの受給が正しく管理されるため、不正受給などを防ぐことができます。また、本当に困っている国民にきめ細やかな支援が行えるのです。
外国人には必要なのか

外国人は、日本で住民登録をするとマイナンバーが付番されます。外国人のマイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野で利用され、これは日本人と同様です。
なお、マイナンバー取得のための特別な手続きは不要で、住民登録をすると自動でマイナンバー通知カードが発行されます。
具体的には、
- 日本に中長期滞在するため、「在留カード」が交付される
- 居住地を決め、市区町村役場へ転入届を出す
- 住民登録をすると、マイナンバーが付番される
- 住民登録の2~3週間後、自宅にマイナンバー通知カードが送付される
という流れです。また、「マイナンバーカードを紛失してしまったけど、至急マイナンバーを確認したい」という場合があるかもしれません。そんなときは、マイナンバーが記載された住民票を市区町村役場で発行することができます。外国人がマイナンバーカードを無くしてしまった場合などは、マイナンバー入りの住民票で番号を確認しましょう。
他国のマイナンバー制度とは

ところで、海外でも「個人番号」の制度が広く活用されているのはご存じでしょうか。今回は、スウェーデンの「パーソナルナンバー」をご紹介します。
スウェーデンでは、銀行口座の開設、スーパーやジムの会員登録、病院の診療、携帯電話や賃貸の契約など、何かしらの登録や契約をする際には必ずパーソナルナンバーが必要です。国民のお金の出入金や納税はもちろん、生活の隅々までパーソナルナンバーが浸透しています。
一方、日本のマイナンバーは利用範囲がとても限定されているのが特徴です。マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野のみで利用されています。また、会社が従業員にマイナンバー提供を依頼するときは、必ず利用目的を明確にしなければいけません。
例えば、
- 源泉徴収票の作成
- 雇用保険かの手続き
など、従業員へ事前にマイナンバーの利用目的を示すことが義務付けられています。
マイナンバーをもつ外国人の注意点とは

さて、マイナンバーへの理解は深まったでしょうか。ここからは、マイナンバーを持つ外国人を雇用した場合の対応をご紹介します。
日本で働く外国人は大きく以下の2つに分けられます。
- 就労ビザで働く外国人(正社員)
- 留学ビザで働く外国学生(アルバイト)
それぞれ正しく手続きを行うため、外国人のマイナンバー提出について見ていきましょう。
雇用の際には確認を
外国人を雇用した場合は、外国人従業員のマイナンバーを必ず確認する必要があります。
なぜなら、外国人も日本人と同じようにマイナンバーが利用されているからです。企業は、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、行政機関などに提出しなければいけません。
マイナンバーを記載する書類は、主に以下のとおりです。
1.年末調整
- 給与所得の源泉徴収票
- 支払調書
- 扶養控除等(異動)申告書
2.社会保険
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届・喪失届
3.雇用保険
雇用保険被保険者資格取得届・喪失届
このように、日本人の従業員と同様に、外国人についてもマイナンバーを記載した各種届出が必要となっています。
アルバイトでも提出してもらう

アルバイトとして雇用されている外国人にもマイナンバーを提出してもらいましょう。
まず、外国人が在留資格で認められていない活動をするときは、資格外活動許可を受けなければいけません。もちろん、留学生がアルバイトとして働く場合も資格外活動許可が必要です。
アルバイトの場合も正社員と同じように社会保障や税の手続きにマイナンバーが必要となるため、忘れずにマイナンバーを提出してもらう必要があります。もし拒否するされてしまったら、どうしてこちらが必要であるのかを丁寧に伝えて、理解してもらえるよう心がけましょう。
外国人のマイナンバーについて詳しくなりましたか?

外国人のマイナンバーについて、お分かりいただけましたか?
この記事では、はじめにマイナンバーの基礎知識をおさらいしました。マイナンバーは日本に住民票を持つすべての人が持つ12桁の番号で、社会保障、税、災害対策の3分野で現在、利用されています。
外国人であっても日本に住民登録をすると自動で付番される仕組みです。取得のための特別な手続きはなく、在留カードを持つ外国人が市区町村役場で住民登録をすれば、マイナンバー通知が送付されます。
そのため外国人を雇用したら、年末調整、社会保険、雇用保険に関する書類の提出時にマイナンバーを記載しなければなりません。就労ビザを持つ正社員はもちろん、留学生のアルバイトを雇用している場合も、必ずマイナンバーを提出してもらうようにしましょう。
マイナンバーは日本ではまだ浸透しておらず、制度や事務手続きが難しく感じてしまいますよね。しかし、外国人を雇用するうえで、マイナンバーの提出は必要不可欠です。また、今後は活用の幅も広がっていくことが予測されます。
マイナンバーの制度を理解し、しっかり手続きを行いましょう!