厚生労働省によれば国際化や国内人材不足などといった事情により、日本国内での外国人雇用は着実に増えてきています。外国人をうまく雇用すると、人材不足解消や助成金といったメリットもあります。
一方で、費用が高いのではないか、手間がかかるのではないかといった不安も聞かれます。そんなとき助成金などのサポートがあればよいですよね。そこで今回は外国人雇用の方法や助成金を徹底分析しました。これを読んで不安を解消させましょう。
目次
外国人雇用の助成金:そもそもコストは高いの?

外国人雇用の際のコストとして、一概には高い!安い!とは言い難い傾向があります。まず外国人を探すルートが複数あり、最も安価なケースでは広告掲載費用がかかりません。この一方で掲載の時点で数万円から20万円程度かかったり、雇用される外国人の初任給によって数十万円程度かかったりするというケースもあり得ます。
ただ仮に安くないコストがかかっても、特殊なITスキルなどをもっていれば助成金も活用可能で結果的には割安になるという可能性もあります。
外国人採用のルートはこんなにあるのです。
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外国人紹介エージェントに依頼
長年人材探し業として実績を積んできた外国人雇用のプロ集団ともいえ、即戦力採用にもおすすめといえます。
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外国人(海外からの留学生含む)のための就職情報サイトに掲載する
大学生などといった留学生の目に触れますので、外国人雇用に際し大きな広告効果が期待できます。若くて幅広い知識をもつ人材からの、応募が欲しいというときにもおすすめといえます。
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外国人雇用サービスセンター
大学卒業後日本で就職を希望する外国人学生も見つけやすく、外国人雇用に効果的な方法の1つです。
他にも、日本語学校や監理団体に問い合わせるなどといった方法もあります。
外国人雇用の広告掲載費っていくら?

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外国人紹介エージェント
外国人雇用される人材の想定される年収に、紹介エージェントが定める料率をかけて算出されます。料率はおおよそ30%から40%で、相場は35%となっています。
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外国人雇用就職情報サイト
正社員:20万円から30万円程度
アルバイト:5万円から10万円程度
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外国人雇用サービスセンター
広告掲載費用はかかりません。
雇用してからもお金がかかる?

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外国人の渡航費
外国人雇用すると決めた外国人の日本への渡航費は、一般的に雇用主側が支払うことになっています。
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就労ビザの取得
取得そのもの:一般的に専門の行政書士に依頼する傾向にあり、10万円から15万円程度が相場となっています。
更新費用:一般的に6万円から10万円程度(安くて4,000円程度)
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賃金
外国人雇用では当然賃金も発生し、法定で定められる最低賃金が適用されます。何か特殊な事情があれば、話は別でしょうが。
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保険
外国人雇用においても、下記保険への加入も必要となります。
- 雇用保険
- 厚生年金
- 健康保険
外国人雇用の助成金➀:中小企業緊急雇用安定助成金

現在多くの中小企業が、厳しい経済状況の中試行錯誤しながら企業活動に勤しんでいます。この企業活動を支援する厚生労働省による政策のことで、次の事柄が支援対象となっています。外国人雇用した人材を雇用し続けたい時に、おすすめの方法ともいえます。
- 休業
- 教育訓練
- 出向
賃金相当額に3分の2(中小企業以外は2分の1)がかけられたり、1人1日あたり1,200円が加算されたりする算出方法となっています。最近3か月における売上高の月平均値などが、前年同期に比べて10%以上減少していることなどといった受給要件もあります。
申請方法
事前手続き
前もって都道府県労働局もしくはハローワークへ届け出て、休業計画などといった計画書を作成し提出します(関係書類を添えてください)。
受給申請手続き
- 都道府県労働局もしくはハローワークへ届け出
- 事前に作成した休業計画などの計画書に変更があれば、この時点で変更段取りが必要
- 都道府県労働局もしくはハローワークへ支給申請
基本的に必要となる申請書類
- 休業等実施計画(変更)届
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
- 休業・教育訓練計画一覧表
外国人雇用の助成金②:トライアル雇用奨励金

豊富な職業経験に欠けることでなかなか就職できずにいる求職者を、3か月間トライアル(試用)雇用した際に利用可能な助成制度のことです。簡単な業務ならこなせる求職者と、直近ではまとまった人件費を調達し難い事業者の役に立てればと考えられています。初めて外国人雇用を試みる際に、おすすめの方法ともいえるでしょう。
支給額は基本1人につき月額4万円で、月額5万円の場合もあります。対象となる求職者が紹介日前の時点で、離職期間が1年を超えているなどといった受給要件があります。
申請方法
- トライアル雇用対象である旨も記した求人票を、ハローワークへ提出します。
- ハローワークなどから対象労働者を紹介され、面接後トライアル雇用となります。
- トライアル雇用開始から2週間以内に、労働者の紹介を受けた機関(ハローワークなど)へトライアル雇用実施計画書を提出します。
- トライアル雇用期間最終日の翌日から2か月以内に、トライアル雇用結果報告書やトライアル雇用奨励金支給申請書を労働局に提出します。
必要書類
- トライアル雇用実施計画書
- トライアル雇用対象者確認票
- トライアル雇用助成金支給対象事業主要件票
- トライアル雇用助成金支給申請書など
外国人雇用の助成金③:雇用調整助成金

仮に発注元の都合などによって、自社の生産活動を縮小せざるを得なくなるとします。このような状況でも技能訓練や出向などで、従業員を維持し続けた際に助成される制度です。受給金額は次の通りです。外国人雇用した人材を、スキルアップさせたい時にも便利な方法といえます。
- 賃金相当額の3分の2(中小企業の場合)もしくは2分の1(中小企業以外)
- 1人1日あたり1,200円が加算(教育訓練の場合)
在籍する雇用保険被保険者数や派遣労働者の雇用量について、規定があります。
申請方法
- 休業など実施計画書の提出
支給対象期間の前日までに必要書類を準備して、管轄の労働局へ提出します。
- 支給申請
支給対象期間の最終日の翌日から2か月以内に、必要書類を準備して管轄の労働局へ支給申請を行います。
申請書類
- 休業等実施計画(変更)届
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
- 休業・教育訓練計画一覧表
- 出向等実施計画(変更)届
- 休業等支給申請書
- 休業等助成額算定書
- 出向支給申請書
- 出向に関する確認書
※必要な書式は場合によります。
外国人雇用の助成金④:人材開発援助助成金

様々な職業に関連した専門的な知識や技能を習得できるよう、職業訓練などを受講させようとする企業などを助成する制度です。外国人雇用に特化している助成制度というわけではありませんが、経済的に支援する制度の一つではあります。
助成対象は次の通りとなっています。そして助成金の割増が適用される場合もあります。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇付与コース
- 特別育成訓練コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
雇用保険適用事業者であるなどといった、条件があります。
申請方法
- 訓練計画書の作成と労働局へ提出(訓練開始の1か月前までに)
- 訓練実施
- 支給申請書を労務局へ提出(訓練終了後2か月以内)と審査
必要書類(各訓練コースで共通して必要な書類)
- 人材開発支援助成金事業主訓練実施計画書
- 年間職業能力開発計画
- 訓練別の対象者一覧
- 人材開発支援助成金事前確認書
添付書類
- 企業の資本の額や出資の総額に加え、企業全体が常時雇用する労働者が分かる書類
- 訓練対象者が被保険者であると確認できる書類
- 教育訓練の実施内容などを確認できる書類など
外国人雇用の助成金⑤:キャリアアップ助成金

いわゆる非正規労働者に対し、会社内で技能アップの為の活動を行った場合に助成の対象となります。外国人雇用の際にも効果的な方法の1つといえます。
この制度は平成31年に改正され、次の内容も特に留意するポイントといえます。
- 支給額の引き上げ(1人当たり)
- 年間申請上限人数が45人に拡充(1対象事業所あたり)
事業所に対しては次のような条件があります。
- キャリアアップ管理者を配置した事業主であること
- キャリアアップ計画書を作成し、管轄労働局長から認定を受けていること
申請方法
①正社員化コース
- キャリアアップ計画書の作成と提出
- 就業規則の改定
- 正社員転換
- 転換後6か月間の賃金支払い
- 対象期間完了から2か月以内に、管轄の労働局へ助成金の申請
②正社員化以外のコース
- 計画書の作成
- 計画書に記入した計画の実行
- 取組後6か月間の給与支払い
- 給与支払い終了後2か月以内の支給申請
申請書類
共通様式
- キャリアアップ助成金申請書
- 事業所確認票
上記2書類に加え、各コースのコース内訳書の提出も必要となります。
外国人雇用の助成金について掴めましたか?

ここまで外国人雇用と助成金について述べました。外国人採用のルートや助成金の内容は重要です。特に最初の3助成金は、利用しやすい傾向にあります。
そして他の助成金も、一方法として有効です。諸助成金を活用して、効果的な外国人雇用をなさってください。