20世紀初頭日本からブラジルへの移民が始まって以来、約25万人の日本人が移住しました。現在では日系人は6世にまで及ぶとされ、総数としては200万人以上といわれています。
1990年には日本の「出入国管理及び難民認定法」が改定され、日系ブラジル人2世・3世やその家族の日本での就労が合法化されました。それ以降は日本の在留ブラジル人は増えていき、20万6千人近くが日本で居住しています。

在日ブラジル人は2007年の31万6千人程度がもっとも多く、近年は東南アジア諸国にくらべると急に増えているとはいえません。

今回はブラジル人を理解するために、大切なことをいくつかピックアップしましたのでご紹介いたします。

ブラジル人について知っておきたい基本

「ブラジル」と聞くと、ラテン系で明るい国というイメージが強いでしょう。実際にもフレンドリーで温かいひとが多く、実際に知り合いのブラジル人がいる方も、陽気な方が多いかもしれません。

ブラジルの人口と民族比率

ブラジル国内に住むひとの背景は多様です。一般的には以下のようなグループがあり、それぞれのグループを越境して婚姻関係が結ばれ、多様な社会となっています。

民族 背景 比率
ポルトガル系 ポルトガルからの移民がもっとも大きなグループで、ブラジルの歴史と文化に大きな影響を与えています。 約50%
アフリカ系 ブラジルはアフリカ系奴隷の影響も強く、「奴隷貿易期」に多くのアフリカ人が連れてこられました。そのため、アフリカ系ブラジル人も多く存在しています。 約10~20%
先住民 ブラジルには多くの先住民族が住んでいて、彼らの文化や血統もブラジル人の中に反映されています。 約1~5%
ヨーロッパ系 イツ、イタリア、スペイン、ポーランドなど、さまざまなヨーロッパの国からの移民がブラジルに定住しています。 約10~20%
アジア系 日本や中国、韓国など、アジアからの移民も存在し、とくにブラジルの南部においてアジア系ブラジル人のコミュニティが形成されています。 約1~5%

 

ブラジルの教育は?

ブラジルの国家教育基本法では、基礎教育を以下のように分けています。

  • 幼児教育:0~6歳
  • 初等教育:6~14歳(最低8年)
  • 中等教育:15~17歳(最低3年)
  • 高等教育:中等教育修了後

義務教育となるのは「初等教育」で、公立は無償です。
基礎教育では社会情緒的スキル育成の習得を目的とした、全国共通のカリキュラムがあります。
科学的なアプローチで知的好奇心を刺激しながら、教育の質を高めます。

また国家教育計画では、すべての教育レベルで10カ年目標を設定し、それぞれの地方政府が目標に準じた計画を策定しています。

ブラジルが教育に力を入れる理由のひとつは、非識字率を下げることが目的です。
教育省は「識字ブラジルプログラム」を通して非識字撲滅に取り組んでいます。その成果は如実に現れ、2018年の非識字率は6.8%にまで低下。1900年代の65%、1980年の25.4%と比較しても、かなり非識字率が下がったことがわかります。

ただ地域や社会的背景によって非識字率は異なるため、一部の地域や貧困層のあいだでは非識字率が高くなる傾向があります。

また、国際統計・国別統計専門サイト「GLOBAL NOTE」によると、ブラジルの大学進学率は56.83%(2022年の時点)でした。世界のランキングで言えば、62位となっています(日本は53位)。ただし経済的な負担が大きいため、学位を持つ人はより少なくなるでしょう。

出典:

世界の大学進学率 国際比較; Global Note

教育制度 Educação

日本とブラジル間の知的交流の可能性(駐日ブラジル大使館 教育スポーツ部長 レアンドロ・ディアス・ナポリターノ) |ニーズ / シーズ集|EDU-Portニッポン

ブラジル 成人の識字率, 1960-2019 – knoema.com

ブラジル人に人気の仕事はどんなものがある?

現在、人気のある仕事には以下のようなものがあるようです。

仕事の種類 内容
医療関連の職業 医師、看護師、歯科医、薬剤師などの医療関連の職業は、ブラジルで高い需要があります。また、ブラジル人医療従事者は世界各地で活躍しています。
弁護士 法律関連の職業も人気があります。多くのブラジル人が法学部を卒業し、弁護士として活動しています。
教育関連の職業 教師や教育関連の職業も人気があります。教育への投資が増えているため、教育の専門家や教育者が必要とされています。
技術者、エンジニア 技術やエンジニアリングの分野も需要が高いです。特に、情報技術やコンピューターサイエンスの専門家は、ブラジルや世界中で求められています。
農業関連の職業 ブラジルは農業国でもあり、農業関連の職業も人気があります。農業技術者や農業経営者など、農業分野での専門知識を持つ人々が多くいます。
エンターテイメント業界 ブラジルは音楽、映画、演劇などのエンターテイメント業界でも有名です。
ミュージシャン、俳優、映画監督など、芸術やエンターテイメントに関わる人々が多く活躍しています。

ブラジル人はこんな仕事観を持っている!

ではつぎにブラジル人とともに働くうえで重要となる「仕事観」について考察します。

ブラジル人の性格的な特徴は?

まず、一般的なブラジル人の特徴を見ていきましょう。

・陽気

前述した通り、多くの人が抱くイメージですが、実際にブラジル人は明るくて陽気です。
おしゃべりが好きなひとが多く、人見知りすることなく誰とでも気軽に話すひとが多いです。なかには、歌ったり踊りだしたりする人もいますが、彼らにとっては特別なことではなく、ごく自然なことです。

・おおらか

時間厳守の習慣がないことからもわかるように、ブラジル人は非常におおらか。仕事に遅れても悪びれた様子も見せないので、日本人は驚くかもしれません。時間は「目安」という感覚に近いのでしょう。
また買いものをしたときのお釣りを四捨五入して返されることもあるようです。よく言えば「おおらか」ですが、「いい加減」「時間にルーズ」とも言えます。

・マイペース

日本人は真面目で責任感が強いため他人に合わせようと努力しがちですが、ブラジル人はゆったりのマイペースが当たり前。約束をしても都合をつけることはせず、勝手にキャンセルということも日常的に起こります。ただ、ブラジル人に悪びれた様子はありません。

・家族・友人を大切にする

とにかく家族との絆が深く、とても大切にします。週末は家族で集まってワイワイと過ごすのが一般的。ブラジル人に限りませんが、家族の悪口はタブーです。親しい友人に対しても親切で、友人が悪く言われるのも嫌います。

・お祭りことが好き

リオのカーニバルは世界的に有名ですが、ブラジル人はお祭り好き。何かにつけパーティーを開き、盛大にお祝いするのが生活の一部だそうです。とにかく、にぎやかにワイワイ楽しむのが大好き。

・恋愛は情熱的

男女を問わず、恋愛に関しては情熱的かつ積極的。人前でも構わず愛情を表現します。さらに、束縛や嫉妬も愛情のひとつで、その気持ちを隠すことなく表現するそうです。

・行動的

目標を定めると行動的になる人が多いそう。恋愛で情熱的になるのと同様に、これと決めたら突き進むのかもしれません。ただ、あまり深く考えずに家や車を買ってしまうというようなことも見受けられます。行動が先で手続きが後ということもしばしば。
裏を返せば計画性に欠けるということかもしれません。

・Yes/Noをはっきり

どんなにフレンドリーに接していても、受け入れられないことに対しては「No」とはっきり言います。
日本人は「No」と言われることに慣れていないため、きつく感じたり腹が立ったりするかもしれません。しかし彼らにとっては単なる意思表示に過ぎません。

ここでご紹介した特徴が全てのブラジル人に当てはまるわけではありません。あくまでも国民的な傾向であると理解しておきましょう。

ブラジル人の仕事観とは?

年齢や経験等により「仕事観」は変化していきますが、ブラジル人の特徴からわかる一般的な「仕事観」についてまとめてみます。

家族との絆と労働

ブラジル人は家族との絆を重視し、家族のために働くことを重要視しています。家族を支えるために、多くの人々が働き、家族のために時間や労力を割いています。

社交性と人間関係の重要性

ブラジル人は社交性が高く、人間関係を重視します。職場ではチームワークや協力が重要視され、人々は同僚や上司との良好な関係を築くことに努めます。

成功と社会的地位の追求

ブラジルの社会では、成功と社会的地位を追求することが一般的です。多くの人々がキャリアの成功や経済的な安定を目指し、教育や職業の向上に努力しています。

ワークライフバランスの重視

スキルアップやキャリアアップに役立つ情報に反応がよく、実際に専門性を磨いて活躍するブラジル人も少なくありません。

・個人の自己表現と誇り

ブラジル人は個人の自己表現と誇りを大切にします。自分の仕事や職業に誇りを持ち、自己実現のために努力することが重要視されています。

ブラジル人と仕事するうえでの注意点

仕事観とともに注意点もご紹介しましたが、ブラジル人と仕事をするうえで大切なのは、彼らの長所を活かして、短所をうまくカバーすることです。さらに日本の文化を押し付けず、相手の文化を理解する共存の気持ちを持つことも必要でしょう。

もちろん日本人のような「空気を読む」という感覚がないことも理解しなければなりません。やってほしいことは明確に伝える必要があります。顧客とのトラブルなどにおいては、「できない」のではなく「知らない」というケースがほとんど。
日本の文化や風習、接客などは、しっかりと指導できるといいでしょう。

ブラジル人の仕事について詳しくなりましたか?

ブラジル人は細かいことを気にせず、自然の流れのままに暮らすおおらかなひとびとです。
それはときにマイペースで怠惰に見えるかもしれません、しかし肩の力を抜いて自然体でいることは日本人が学ぶべきことかもしれませんね!