ここ数年間、日本の労働市場は人手不足が叫ばれてきましたが、様相が変化しています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴った影響を受けた飲食業、宿泊・ホテル業等では主に非正規雇用者の大幅な人員削減が生じています。
一方で、サービス業、建築、介護業界などでは引き続き人手不足問題は深刻化しており、この問題は切り離して考える必要があります。
現在どのような業界で人手不足が起こっており、どのような対応策がとられているのか最新の動向をご紹介いたします。

人材不足の業界はどのように変化した?

これまで人手不足が叫ばれてきた業界でも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、状況が変化しています。代表的な例は飲食業界です。
2019年1月の帝国データバンクの調査では、飲食業界の非正規雇用について84.1%が人手不足と回答しており、業界全体の課題として言及されていました。

その対応策として回転寿司チェーン店などを始め、一部でIT化や自動化が進められてきました。しかし、接客業では柔軟な対応が求められることやコストの面でまたまだ非正規労働者を中心に業務が行われてきました。

新型コロナウイルスの流行以降、営業自粛や事業縮小を余儀なくされた業界や企業は数知れず、これまで必要とされてきた多くの非正規雇用者の方が失業する事態が起こりました。

人手不足が継続している業界は?

労働環境が変化している一方で、人手不足の問題が広がり続けている業界があります。

ここ数年間、日本全体としての問題として言及されていますが、解決に至っていません。

どのようなことが問題の背景としてあるのでしょうか?業界ごとの現在の状況と、どのような取り組みがなされているか解説いたします。

建設業界

建設業界は、新型コロナウイルスの流行が雇用環境に与えた影響は少なく、依然として人手不足の状況が続いています。2020年の厚労省の調査では、全産業中最多で人材不足とされています。

業界で高齢化が進む一方で、若者の就職率が下がり、新規の働き手が増えてこないことがその要因となっています。離職率も高く賃金の問題や労働環境の改善が求められていることも確かです。

他の業界と大きく異なる点は、現場で仕事をする職人だけでなく、管理職でも人手不足が起こっているため、迅速な対応が求められています。
近年では「きつい」「汚い」「危険」といった3Kのイメージを払拭する取り組みや、若者への雇用促進を業界全体として行っています。

また、外国人労働者を受け入れる動きも進んでおり、一例として、清水建設では国内外の外国人労働者がより働きやすい職場環境作りを目指し、人権尊重の取り組みを強化を推進しています。

運送業界

運送業界でも、高齢化と若手の働き手が増えてこない状況が続き、人手不足が進んでいます。
近年では、オンラインショッピングや宅配サービスなどの利用が広がったことでドライバーの需要が高まっていることも一つの要因です。

仕事が増える一方で、働き手が増えずそのギャップが拡大しています。また、テクノロジーによる自動化が進みづらい分野でもあります。
自動運転に限らず、運転貨物の荷下ろしなどまだまだ現場での効率化は途中段階と言えます。

このように人手不足による業務上の問題を、別の方法で解消することも難しくなっているため、対応が急がれます。

人手不足を解消する方法として期待されてきた在留外国人の雇用ですが、運送業界では制度的問題でなかなか進んでおらず、永住者や配偶者ビザの方に限るなど他業種に比べハードルが高いです。

全国トラック協会は、2020年6月に外国人労働者を増やす取り組みとして貨物運送業務を「技能実習2号」に追加する要望を出し対策を図るなど新しい動きに乗り出しています。

介護業界

介護業界の人手不足は、やはり少子高齢化の問題が挙げられます。
利用者が増え続けている一方で、働き手の数がその状況に追いついていない現状があります。

経済産業省の試算によると、介護人材の不足が2035年には79万人に達することがわかりました。4万人の人材不足とされていた2015年でさえ、現場で人材不足の問題が顕在化していたことを考慮すると、15倍以上の数字からどれだけ深刻な問題になりうるのかが伺えます。

人手不足を解消するための取り組みは?

少子高齢化等の社会的問題が、人手不足の大きな要因になっていますが、実際にどんな対応を取っていけばよいのでしょうか。
その対応策をご紹介いたします。

企業側が行える対策

①給与・雇用条件を見直す
なかなか人員が集まらないということであれば、そもそも今の条件に問題があるかもしれません。
求職者からみて、魅力的な求人でなければ当然応募は集まってきません。
給与を上げたり、待遇を見直すことはコストのかかる対策に見えますが、長期的にみると効果的であると言えます。
モチベーションの高い人材を採用することができれば、離職率が下がり人員不足を解消することにつながります。

②ITや技術で業務効率を改善する
人員で補填できない業務を技術で解決するのも一つの選択肢です。
看護や介護業では記録をアプリやシステム化、一部の運送業では、トラックへの積載を機械化するなど少しずつですが業務効率改善が図られています。
また、現場の負担が軽減されることで結果として定着率が上がることも期待できます。

③外国人労働者を採用する
業界によっては外国人労働者を積極的に受け入れる取り組みが進められています。
導入していない企業にとってはハードルが高く感じられるかもしれませんが、一度社内でマニュアル化してしまえば、長期的に行える対応策と言えます。
求職意欲の高い外国人の方を採用していく方むしろ効率的とも言えます。

詳しくはこちらをご覧ください→https://recruit-guide.jp/1402/

人手不足の現状についてわかりましたか?

新型コロナウイルスの影響によって労働環境が大きく変化しましたが、人手不足の問題は変わらず広がり続けています。
業界によって問題の内容が異なっているため、適切な対応策が取ることが重要です。
最新の動向を確認し、自社で取り入れられる取り組みを積極的に導入していきましょう。