日本に住むフィリピン人は年々減少傾向にありますが、依然としてその数は大きいです。実際、コンビニや電車など街中でよく見かけます。2019年の教皇様の日本来日の際も、カトリック大国のフィリピン人らがひときわ客席で目立っていました。

実はあまり知られていないのですが、彼らを雇用するには特別なルールが存在するのです。そこで今回は依然として日本で人気の高いフィリピン人の雇用について徹底解説していきます。これからフィリピン人雇用を検討なさる方、すでに雇用していらっしゃる方などは、是非チェックしてみてください。

(外国人採用に不安がある方はこちらの記事をご覧ください!)
初めての外国人採用は、GuidableJobsで安心!外国人採用特化だからこその6つの強み

フィリピン人は日本での雇用を求めている⁈

一昔前までは日本で仕事を探すフィリピン人が多かったものの、近年は中東で仕事を探すのが主流です。しかし現在でも10万人以上のフィリピン人が日本で働いており、依然として日本で仕事を探すフィリピン人は多くいます。

多くのフィリピン人が日本で働いているって本当?

厚生労働省が発表した「国籍別外国人労働者の割合(平成29年度)」によると、フィリピン人の数は146,798人であり、外国人労働者全体の11.5%を占めています。中国、韓国、ベトナムに次いで4番目に多く、日本企業にとって重要な労働力です。

在留外国人国別割合

                                                     平成30年度「公表資料」:法務省

フィリピン人は日本人と性格が合わない?!

フィリピンと日本には文化の違いがあるので、雇用する際は注意が必要です。

たとえばフィリピン人は、仕事よりも家族との時間や長期休暇を大事にしています。これを知らずに接すると、やる気の低下や離職を招く恐れがあるので注意が必要です。他にもフィリピン人は大勢の人の前で怒られることには慣れていないため、反省点などを個別に直接伝えたほうが良いでしょう。

こういった性格は個人差ありますが、文化の違いからくるものも多く、良い関係をもって仕事を進めたいならば押さえておく必要があります。

フィリピン人は日本語がペラペラ?!

外国人を雇用する際、日本語がどのくらい話せるかはとても気になる部分です。文化庁の発表している「国・地域別の日本語学習者数」によると、国内で日本語を学習する外国人の中でフィリピン人は5位であり、その数は1万人弱にのぼります。日本にいるフィリピン人の大半は日本語を最低限話せるので、雇用しやすいでしょう。

日本でフィリピン人を雇用できる??

フィリピン人

日本企業が外国人を雇う際には、受け入れる外国人の出身国に応じたルールも知らなくてはいけません。特にフィリピン人を採用する際には、独自のルールがあるので注意しましょう。

あらかじめルールを知っておかないと、法律に違反する恐れがあります。この章でお伝えするのは、日本でフィリピン人を雇用する際に注意すべきルールです。

フィリピン人採用には独自のルールがあるって本当?

フィリピン人が日本で働くケースが増えていることに伴い、自分の会社でもフィリピン人を採用したいと考える企業は増えてきました。フィリピン人は日本語が比較的上手であるため、雇用しやすいのも事実です。

しかしフィリピン人を雇用する際には、独自の手続きが必要です。具体的には、「直接雇用が認められない」点と、「POEAPOLOと呼ばれる機関に対して手続きが必要である」点です。以下の項では、フィリピン人の雇用で知っておくべき各ルールを詳しく解説します。

POEAのホームページ画像

            POEAホームページ

フィリピン人は直接雇用できないって本当?!

一般的に外国人を採用しようと思ったら、現地エージェントを介す方法と、直接雇用する方法のいずれかから選択します。傾向的には、比較的楽な直接雇用を選びたいと考える企業が多いです。

しかしフィリピン人については、2017年8月に行われた法改正により、直接雇用を実施できなくなりました。フィリピン人の雇用には、フィリピン海外雇用庁(POEA)が認定する現地エージェントを通さなくてはならないのです。このようなルールがある背景には、フィリピンに特有の事情が関係しています。

フィリピンでは人口数が増加している一方で、国内に十分な仕事がなく就職難が続いており多くの人が仕事を求めて、中東やアジア、ヨーロッパに出て行くのが現状です。海外で働く外国人労働者と雇用する企業の間では、「過剰な労働」を強いる問題などが発生しています。

フィリピン人口の推移グラフ

外国で働く人が多いフィリピンでは、自国の労働者がこのような問題で不利益を被らないために、出国前に仕事をする企業の審査を実施します。審査を行うのはフィリピン海外雇用庁(POEA) であり、契約内容の適正さや現地企業の登録情報をする確認する役割を担っています。

POEAの介入なしにフィリピン人を雇用しようとした場合、出国時に止められてしまい、そもそも日本に来ることができません。フィリピン人を雇用する際には、必ずPOEAが認定した現地のエージェントを通して手続きを行うようにしましょう。

フィリピン人を雇用するために必要な手続きは?

ここでは、具体的に日本企業がフィリピン人を雇用するために必要な手続きをお伝えします。まずはじめに、POEAが認定した現地エージェントとの契約が必要です。

現地エージェントとの契約が済んだら、エージェントからPOLOの審査に必要となる書類が送付されるので、書類を準備しましょう。書類の準備が終わったらそれをPOLO(フィリピン海外労働局)に提出し、審査を受けなくてはいけません。

POLO(フィリピン海外労働局)とは、POEAの海外出張機関のようなものであり、各国での審査を担う機関となります。POLOの審査には10日〜2週間程度かかるケースが多いです。

書類審査が終わったら、日本にあるPOLOと経営者の間で面接を行います。なお面接は英語で行われるので、通訳を連れて行くことが可能です。この面接に通ると原則当日中にPOLOからの承認証書をもらえるので、その後、就労ビザ申請(在留資格認定証明書の申請)を実施しましょう。

ビザとパスポート

ビザ申請が承認されたら、フィリピンの日本大使館でビザ取得の手続きが必要です。ビザ取得手続きが終わると、POLOからフィリピン人労働者に対して提出書類が送付されます。

フィリピン人労働者はその書類に必要事項を記載し、現地のPOEAに提出しなくてはいけません。フィリピン人労働者がPOEAからの就労許可をもらえたら、日本に来日して実際に仕事を行うことが可能です。

日本企業がフィリピン人を雇用する際の手続きは以上です。フィリピン人を雇用する際には、就労ビザの取得手続きに加えて、POEAやPOLOに対する手続きも必要となり、手間も時間もかかります。

フィリピン人を雇用する場合には、時間に余裕を持った上で手続きに臨みましょう。なお以前はPOLOへの手続きとビザ取得の手続きに関して、どちらから行っても問題ありませんでした。しかし2018年8月にPOLOが行った発表により、POLOに対する手続きを先に済ませることが原則となったので注意しましょう。

また、外国人と働くときには日本との文化の違いに留意することが大切です。
注意しないと、職場で破ってしまいそうな外国人と付き合う上でのタブーは以下の資料にまとめられています。
日本人が行う何気ない仕草やプレゼントも外国人に失礼に当たることも…是非一度チェックしてみてください!

フィリピン人の雇用について詳しくなりましたか?

今回の記事では、フィリピン人を雇用するメリットや手続きについて見てきました。直接雇用が認められていなかったり、文化の違いがあったりと、フィリピン人の雇用には通常とは異なる点がいくつもあります。そのため日本企業がフィリピン人を雇用する際には、多少手間がかかるのは事実です。

しかし日本語を積極的に学ぶフィリピン人は、日本企業にとって貴重な戦力となり得ます。多少考え方に違いはあるものの、コミュニケーションを円滑に行えるので、仕事を安心して任せることが可能です。フィリピン人を雇用する際には、文化や考え方の違いに注意しつつ、フィリピン人の良さを最大限に活かしましょう!

※情報は2020年1月現在のものです。制度は頻繁に変更されますので随時最新のものを確認しましょう。