ここ数年少子高齢化の日本において「人手不足」は社会問題です。人手不足になれば他の人員への業務負担が大きくなり、現在抱えている人たちも離職してしまう恐れがあるでしょう。さらに、業務や事業が滞って、会社運営が成り立たなくなってしまうかもしれません。

人手不足の問題は、中堅・中小企業に限ったことではなく、大手でも同様です。そのため、今後さらに加速が予想される人手不足において、効果的な解決策を模索する企業も増えています。そこで今回は、アルバイトやパートの人手不足を解消する方法をご紹介しましょう。

アルバイトやパートの人手不足は解消できる?

まず、データから人手不足の現状を探っていきます。

労働力 調査

            出典元総務省 労働力調査(基本集計)

総務省が発表する「労働力調査」で、2019年5月の完全失業率は2.4%でした。完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合のこと。つまり、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)100人のうち、仕事に就くことができない人(完全失業者)が2.4人存在するということです。

完全失業率は2017年2月に約22年ぶりに3%を下回り、有効求人倍率は同年4月にバブル全盛期の1.46倍を上回る1.48倍でした。これは、2017年以降、日本経済がバブル期並みの水準で人手不足に陥っていることを表しています。

労働市場 各指標グラフ

出典元:内閣府 平成29年度「年次経済財政報告」

有効求人倍率とは、雇用動向を示す指標として厚生労働省が発表するもので、有効求職者数に対する有効求人数の割合のこと。景気とほぼ一致して数値が変化するため、景気を判断する指標でもあります。倍率が1以上になると人を探す企業が多く、1以下になると仕事を探す人が多いことを示しています。2018年の平均有効求人場率は1.61倍だったため、景気が回復しつつあり、人を探す企業が増えているということです。

また、厚生労働省が2018年に発表した「人手不足の現状把握について」によると、人手不足は産業別・企業規模別に大きな差があるとの結果でした。特に人手不足が懸念される産業は、「運送業・郵便業」「サービス業」「医療・福祉」などで、全産業において中小企業で欠員率が高くなっています。

人手不足の現状把握 指標

出典元:厚生労働省 人手不足の現状把握について

そもそも日本での人手不足の要因は?

次いで、人手不足が起こっている要因として考えられるものを挙げてみましょう。

生産年齢人口の減少

中小企業庁の2018年版「中小企業白書」によると、1995年から2015年までの労働力人口の減少幅は約42万人。一方、生産年齢人口(15歳~64歳)は同期間に1,000万人も減少しています。

年齢別 人口統計

出典元:中小企業庁の2018年版「中小企業白書」

労働力人口とは、15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を合わせた数のこと。減少が42万人にとどまった要因は、女性と65歳以上の人の労働参加率が上がったためです。つまり、全体的には労働が可能な人材は同レベルをキープしているものの、労働者の高齢化が進み、生産年齢人口が大幅に減少したために人手不足が起こっていると考えられます。

労働条件

外国人 驚きの顔

人手不足の要因として、人材が定着しないことが挙げられます。では、なぜ定着しないのでしょうか?

それは、労働時間や賃金などの労働条件や待遇に満足していないからです。「ブラック企業」という言葉が聞かれるようになった現代では、多くの人が労働条件の悪い職場を避ける傾向にあります。

実際、前述した内閣府の「年次経済財政報告」によると、バブル期の賃金決定に際して「労働力の確保・定着」を重視する企業が急増しました。しかし、現在の人手不足において、企業側は慎重姿勢が強い傾向にあります。その理由は、将来の負の経済ショックに備えて賃金を低く抑えているからです。つまり、一度賃上げすれば、経営状況が悪くなっても賃下げが難しいと考えているということ。バブル期と現在の人手不足は一概に比較できませんが、労働条件が改善されれば、定着率が上がるのは間違いないでしょう。

雇用の流動性の高まり

終身雇用制度が崩壊し、非正規雇用者が増え、雇用の流動性が高まっているのもひとつの要因でしょう。今や同じ会社に一生とどまる時代ではないため、不満があればより良い環境を求めて転職することも珍しくありません。要するに、終身雇用制度の時代より転職しやすくなったということ。そのため、若年層の離職率も高くなっています。また、非正規雇用者は正規雇用者と比較して待遇面で格差が生じるため、集めにくく定着もしにくいのが現状です。

パートやアルバイトの人手不足を解消する3つの方法

人手不足を解消するためには前述した要因を考慮し、企業側は離職を防止するためにより良い労働環境を整える必要があるでしょう。それは正規雇用者であれアルバイトやパートの非正規雇用者であれ同様です。まずは企業の体制をじっくり見つめ直すようにしましょう。

ここでは、アルバイトやパートの人手不足を解消する方法を具体的にご紹介していきます。

すでに働いている人に紹介してもらう

求人を出しても応募がない場合は、すでに働いている人に紹介してもらいましょう。ただし、すでに働いている人に「紹介したい」と思われる職場でなければ、なかなかいい人材は集まりません。紹介してもらう前に待遇や環境、給与などを見直し、すでに働いている人の定着率アップを目指すことが重要です。また、アルバイトやパートでも、優秀な人材には正当な評価を与えることも必要でしょう。

子育て世代の女性であれば、短時間勤務や長期休暇がとれる職場なら復職したいと考えている人も少なくありません。柔軟な働き方を受け入れることで、労働力を確保できる場合もあるので検討してみましょう。

店舗にポスターを貼る

店舗がある職場なら、ポスターを貼るのもひとつの方法です。その際、外国人採用向けの外国語のポスターを作って、両方を貼ってみてはどうでしょう。職種にもよりますが、日本で暮らす外国人は今や労働力として活用されています。前述した中小企業庁の2018年版「中小企業白書」の「外国人労働者数及び外国人雇用事業所数の推移」を見ると、外国人雇用者は年々増加しています。

外国人労働者と雇用所数推移

出典元:中小企業庁の2018年版「中小企業白書」

同企業白書によると、外国人を非正規雇用している企業が 39.0%に上り、最も多い雇用理由は「日本人だけでは人手が足りないから」でした。日本人に拘らなければ、外国人採用で人手不足が解消できるでしょう。

Web媒体での求人活動

インターネットは生活に不可欠な存在となっているため、Web媒体での求人活動は必須です。特に若い人材を求めているなら、Web媒体はベストな方法でしょう。なぜなら、Web媒体は若い人が目にする確率が高くなるからです。通常、Web媒体では職種や勤務エリアなどの条件が絞り込めるため、ミスマッチが起きにくいというメリットがあります。もちろん、費用が抑えられるうえ、簡単に求人広告を出せるのも魅力です。紙媒体のように一時的な発信ではなく、掲載終了日まで長期的に掲載されるので、その分人の目に触れる機会も増えるでしょう。

業界によっては特化したWeb媒体があるので、うまく活用するのが賢明です。また、外国人採用に特化した求人Web媒体もあるので、日本人に拘らないなら活用してみてもいいかもしれません。

アルバイトやパートの人手不足は解消できそうでしょうか?

景気回復に伴い有効求人倍率が上がり、人手不足はバブル期並みの水準になりました。その一方で、バブル期のように賃金決定に「労働力の確保・定着」を重視する企業が少なく、賃金などの労働条件に不満を抱く人も少なくありません。人材不足を解消するうえで最も大切なことは、すでに働いている人の離職率を上げないことです。そのためには、職場の体制を見直し、すでに働いている人が知人・友人に紹介したくなるような環境に改善する必要があるでしょう。

信用が高いスタッフからの紹介はもちろん、ポスターやWeb媒体をうまく活用して、人手不足を効果的に解消してみてください。日本人に拘らなければ、外国人採用も有効な方法です。受け入れの窓口を広げ、多様化するワークスタイルを取り入れていくことが求められているといえるでしょう。