外国人採用のメリット6選!注意点も併せて解説

近頃大きく話題になっている外国人採用。メルカリや楽天など、元から外国人採用に力を入れてきた企業は勿論ですが、あまり興味を寄せていなかった日経の大手企業まで、外国人採用に力を入れつつあります。

その結果、現在の在日外国人労働者は146万人にまで、7年10月末時点で日本の労働力人口が約6600万人であることを考えると、50人に1人は外国人労働者という計算になるのです。多くの日本企業が人で不足にあえぐ中、優秀な外国人労働者は彼らにとって希望の光と言えるのかもしれません。

外国人採用がもたらす光

今回の記事では、なぜ日本で外国人採用の需要が増えつつあるのか?という背景的な要因を説明した上で、外国人採用を行うことの5つのメリットについて詳しく解説していきます。また行政書士によって本記事は監修されているので、情報の正確さには安心してご覧いただけます。

それではまず、外国人採用増加の背景からご覧ください。

そもそも何故外国人採用が増加しているの?

空を見上げるおじいさんの写真

外国人採用増加の背景としては、日本の労働力不足が大きな要因の1つとして挙げられます。以下の図のように2000年をピークに日本の労働力は減少しております。

日本における日本人の労働人口

図表1:労働経済の基礎的資料 厚生労働白書より引用(2019年3月16日取得)

 

減少分の代替として、政府は積極的に外国人の受け入れ、外国人の採用を後押ししています。そして上述の通り、在留外国人の労働者は増加の一途をたどっているのです。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめです

図表2:在留資格別外国人労働者数の推移 引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 ※2

 

また外国人が急激に増加している要因としては、政府が推進している高度外国人材や留学生の受入れが進んでいることや、雇用情勢の改善が着実に進み、これまで外国人雇用に消極的だった業種や企業にも永住者や日本人の配偶者等の身分に基づく在留資格の方々の就労が進んでいることなどが挙げられます。

特に前者に対しては、2019年の4月から新在留資格「特定技能」の創設を含む、改正入管法が施行され、政府の外国人労働者への法整備は積極的に進められています。

このような要因で日本で急増しつつある外国人労働者。では日本企業が彼らを採用することによるメリットは、一体どのようなものがあるのでしょうか?いよいよ日本企業にとってのメリットを解説していきます。

高度外国人材活躍企業50社

またここからの内容は、経済産業省貿易経済協力局が2018年5月に発表した「高度外国人活躍企業50社」を引用参考し、作成されています。※3

外国人採用のメリット:事業の海外展開、新規顧客の獲得

白い部屋にパソコンが置かれているお洒落な写真

市場やターゲットを日本に留めている日本企業にとって、外国人採用は海外進出の大きな足がかりとなります。海外に進出する上で大切なことは、進出先の国の風土や文化をよく知ることです。

例えば日本企業が韓国へと進出する場合は

  1. 韓国で現地の人々をターゲットに施策を行う
  2. 韓国で現地の人々を従業員として雇用する
  3. 韓国オフィスに日本企業の人材を送る

といった様々なケースが考えられますが、上記のどのケースだとしても、進出先の風土や文化を知ることはとても大切です。

1の場合、現地の人が何を考えて、どんなものを好むのかを知らなければ、彼らに最適化した施策を行うことは絶対にできません。

2の場合では、彼ら働く上での「当たり前」を把握しない限り、彼らの臨む勤務形態や福利厚生を用意することはできません。さらには韓国での優秀な人材獲得にあえぐことになってしまうでしょう。

3が最も軽視されがちなパターンになるのですが、日本企業の人材を海外に送るにあたっては、彼らの生活をサポートする必要があります。住居を用意するにしても、居住地周りのスーパーや危険区域を案内するにしても、現地のことを誰よりもよく知る必要があります。初めての海外進出にあたっては、その国の密な生活情報を取得することすら、大きな壁となってしまうのです。

高層ビル

この様に立ちはだかる問題を解決する上で、外国人労働者は大きな味方となってくれることでしょう。本当に多くの例が紹介されていますが、今回はフジイコーポレーション株式会社様の例を取り上げて紹介します。

フジイコーポレーション株式会社

図表3:フジイコーポレーション様HP  引用:フジイコーポレーション様HP ※4

フジイコーポレーション株式会社様は除雪機、農業機械の開発製造を行う、新潟県燕市の企業です。

当社は、もともとインターン生として勤めていた、バングラディシュ、ミャンマーの留学生を3名ほど本採用。日本人の社員と留学生の協力で、製品に同梱するマニュアルやHPを多言語対応に変更しました。そして現在は日本語を含めた8ヶ国語に対応しているそうです。

結果として、日本へのシェアがほとんどであった状態から、多言語対応により海外への発信力が大幅に向上し、海外売上高、取引実績国の増加につながりました。輸出実績国は18ヶ国にも及び、自製品を海外へPRすることへ成功します。(スライド13枚目を引用・参考し作成)

現在の日本の人口はどんどん減る一方であり、もちろん日本というマーケットのサイズも減少の一途を辿っています。これから海外へ目を向ける必要性が高まっていく日本企業にとって、やはり外留外国人は欠かせない存在です。

外国人採用のメリット:外国人材目線での商品開発・サービス提供

採用が決まってニコニコする外国人男性

こちらは先ほどの「1.現地の人々をターゲットに施策を行う」と少し似ている様に思われるかもしれませんが、簡単にまとめると、自社の製品を開発する際に、在日外国人の目線も取り入れてみよう、ということになります。

韓国在住の韓国人にマーケティングを行うのではなく、日本在住の外国人もターゲットに取り入れようとする時に、実際に日本に住んでいる彼らの声を取り入れることは効果覿面であるということです。

実際にマーケティングを行う上で、ペルソナとなる人物に様々な観点からヒアリングを行うことは非常に大切なことだと言われています。ですので、ペルソナとなる人物をチームの仲間に加えることにより、より彼らの目線に近い施策を打つことができるのではないでしょうか

三好不動産様HP

図表4:三好不動産様HP 引用:三好不動産様HPより ※ 5

 

今回は福岡県にオフィスを構える、株式会社三好不動産様を例に挙げて紹介します。三好不動産は不動産の売買や、賃貸の仲介を主に行う企業です。

元々は外国人の居住に対して、日本人のオーナーから理解を得るために在日外国人(特に留学生)の採用を行なっていましたが、雇用した外国人は実際様々なシーンで活躍を見せます。

まず様々な国籍の外国人が在籍することにより、様々な言語での対応が可能となり、福岡市の留学生や外国人にとって「部屋を借りるなら三好不動産」という絶好のポジションを獲得することができました。またそれだけでなく、日本人の従業員と留学生が活発に交わることにより相乗効果が生まれ、異文化を吸収しつつも切磋琢磨するという、素晴らしい雰囲気が醸成されつつあるそうです。

おしゃれな雰囲気の強い写真です

以上が三好不動産の例になります。言語対応が多能になったことによる利益向上は頷けるかもしれませんが、外国人の採用によるダイバーシティは、それぞれの企業の風土によるところが大きいかもしれません。ただ三好不動産の場合は、外国人の採用をきっかけに市からも公式な表彰を受けるまでに成長し、本来のターゲットである福岡市民の日本人へも認知度を広げることに成功しました。

何が起きるか分からない、と敬遠されつつある外国人採用ですが、それこそ今回の例の様に良い方向へと思わぬラッキーハプニングが発生するかもしれません。

外国人採用のメリット:時差を利用した新たなビジネスモデルの構築

お洒落な時計の写真

時差を利用した新たなビジネスモデル」という響きに、?マークを浮かべた方も多いかもしれませんが、こちらは実際にシリコンバレーで多くの企業が行なっている施策になります。

まず前提知識として、シリコンバレーとインドの時差は約12時間30分になります。基本的にすべての人は昼に仕事を行い、夜は眠る方が多いこの世界の中で、時差を生かしたビジネスモデルが流行しているのです。

時差を生かしたビジネスモデルの例

図表5:シリコンバレーとインドの時差を生かしたビジネスモデル 著者作成

 

簡単に説明すると、シリコンバレーの方々が昼時に仕事を行い、夕方にはインドへとタスクを発注します。するとシリコンバレーの人々が寝ている間に、インドの人々がタスクを行うことができるのです。インドの人々は現地時間の昼時にタスクを終え、夕方にはシリコンバレーへと仕事を送り返します。そうするとなんと、シリコンバレーの人々にとっては、寝て起きるだけで進められた仕事が返ってくるのです。

これは非常に画期的なビジネスモデルであり、日本でも積極的な取り入れが進められています。

電卓のお洒落な写真です

日本とインドの時差はたったの3時間半しかないため、シリコンバレーの例と比べると効果は見劣りしてしまうかもしれませんが、それでも業務に関わる時間を無理なく3時間半延ばせるという点においてはやはりとても優れています。

実際に滋賀県にオフィスを構え、環境保全サービスに携わる株式会社日吉様では、インドに子会社を設立することにより、日本で追わなかった仕事を子会社に任せ、納期の短縮に成功しました。(44スライドを参考に作成)

株式会社日吉様HP

図表6:株式会社日吉様HP 引用:株式会社日吉HP ※ 6

 

こちらは外国人の採用の前に、外国に子会社をつくることや、外国の企業と提携を結ぶ必要があるため、ハードルが高いなと感じるかもしれませんが、その分効果は抜群です。機会に恵まれた方は、ぜひ選択肢の1つに加えていただけたらと思います。

外国人採用のメリット:企業のイメージアップにも繋がる

外国人採用イメージアップの光の写真

外国人を積極的に採用することは、自社のイメージアップにもつながります。実際に外国人を採用している企業の数は19万5千社であり(平成29年10月末時点)企業の全体数が557万社であることを考えると、外国人採用を行っている企業はたったの3.5%ということになります。※7(ただ企業といっても形だけの企業が多く含まれているので、実際に企業として活動を行なっている数だけと定義すると割合はもう少し多くなると思われます。)

在日外国人の数が爆発的に伸びているこの状況で、外国人の採用を行っている企業がたったの3.5%しかないという事実は、非常に由々しき事態です。

FEAR

在留外国人を積極的に採用することにより、在留外国人に対するイメージアップはもちろんのこと、本来の市場である日本人からもイメージアップを得られるかもしれません。

ほんの副作用の1つに過ぎないかもしれませんが、メリットの1つとして抑えていただけると幸いです。

外国人採用のメリット【番外編】:日本経済の活性化につながる

日本のビル達

最後のメリットとしては、やはり日本経済の活性化が挙げられます。先ほどの話と少し繋がっているのですが、日本企業における外国人の採用が増えることにより、日本に仕事を探しにくる方が増加します。さらに日本企業での外国人に対する福利厚生や手当が充実することにより、外国の方にとっての勤務地として日本は理想の国となり、さらに在留外国人の数は増えることでしょう。

上昇気流です

在留外国人の数が増加することにより、日本という市場が大きくなります。日本の人口が増えることにより、日本に流通するお金の総額が上昇し、日本経済の活性化につながります。日本経済の活性化は、ひいては企業の増益へとつながり、この好循環は回り続けることとなります。

これは比較的視座の高い話になってしまい、企業にとってのメリットは実感しづらい部分が多いかもしれません。ですが巡り巡って、きっと企業の利益となることでしょう。企業に対して外国人採用を提案される際には、添えてみてはいかがでしょうか?

しかし外国人採用に注意点が多いことも事実

 

外国人採用のメリットをまとめてみましたが、いかがでしょうか?今回の記事では外国人採用の良い点に焦点をあてて、紹介してみましたが、やはり外国人を採用をする上で気をつけたい点やデメリットも多くあります。

デメリットや注意点、またそれをどのように解決していくか、というポイントにつきましては、こちらの記事にまとめさせていただいたので、合わせてご覧いただけると幸いです。

【行政書士監修】外国人採用で注意したい5つのポイント(近日公開予定)

うまい話には裏がある、と言うように、やはり何もかもメリットばかりと言う訳にはいきません。ぜひ外国人採用の面も裏も理解した上で、外国人採用という選択肢を選んでいただけると、インバウンド業界に関わるものとしては大変嬉しいです。様々な人材を積極的に取り入れ、より良い企業をつくって参りましょう。

今回の記事の作成における引用・参考文献

今回の記事を作成するにあたり、以下の文献を引用・参考させていただきました。

※1 引用:厚生労働白書 2019年4月5日取得 https://www.mhlw.go.jp/english/wp/wp-hw3/dl/j1_05.pdf

※2 引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成30 年10 月末現在)2019年4月5日取得https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000472892.pdf

※3 引用:経済産業省 高度外国人材活躍企業50社 経済産業省貿易経済協力局 2019年4月5日取得https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180525002/20180525002-1.pdf

※4 引用:フジイコーポレーション株式会社HP  2019年4月5日取得 http://www.e-fujii.co.jp

※5 引用:株式会社三好不動産HP 2019年4月5日取得 https://www.miyoshi.co.jp

※6 引用:株式会社日吉HP  2019年4月5日取得 https://www.hiyoshi-es.co.jp

※7 引用:総務省統計局 第7章企業活動 2019年4月1日取得 https://www.stat.go.jp/data/nihon/07.html また引用部分は7-1 産業別民営地味書数と従業者数より