外国人が日本で就労するには、入国管理局で「就労ビザ」の許可を受けなければなりません。許可を受けるためにはさまざまな書類を提出しなければなりませんが、そのひとつが「理由書」です。理由書には、雇用する企業が提出する「雇用理由書」と外国人本人が提出する「理由書」があり、どちらも任意の書類となります。

任意書類なら提出しなくてもいいだろうと考えがちですが、入国管理局が審査する上で必要とする書類が揃っていなければ、ビザが不許可になったり審査期間が伸びたりするので、「理由書」の提出は非常に重要です。また、入国管理局が定める条件に外国人が当てはまっていることもアピールできます。

そこで今回は、入国管理局に提出する「理由書」の作成ポイントだけでなく、理由書の例文も併せてご紹介します。ぜひ参考にしてください!

入国管理局への理由書例文を見る前に…

入国管理局への理由書例文をご紹介する前に、「理由書」の理解を深めておきましょう。前述した通り、理由書には雇用者によるものと外国人本人によるものがあるので、混乱しないためにも理由書の基礎的なことを解説していきます。

雇用理由書ってなに?

「雇用理由書」とは、外国人採用で在留資格(就労ビザ)を申請する際に、雇用する企業が準備する書類です。在留資格は必要書類を提出することで許可・不許可を審議しますが、要件を満たしていれば十分とは言えません。つまり、要件を満たした上で、当該外国人を雇用したいという積極的な理由を述べることが重要だということです。企業が「なぜその外国人を雇用したいのか」、日本人ではなく「外国人をあえて雇用する理由はなにか」などを明確に説明することで、提出書類を補足するだけでなく、当該外国人の必要性も訴えることができます。

では、雇用理由書には、どのようなことを記載すればいいのでしょうか。各企業により外国人を雇用する理由は異なりますが、雇用理由書に必須となる項目をご紹介しておきましょう。

<雇用理由書への記載項目例>

  1. 申請人(外国人)の概要
  2. 会社概要(設立年月日・資本金・業種・遍歴・将来性など)
  3. 申請人の配属先と担当する業務内容詳細
  4. 申請人の学歴・業務内容との関連性
  5. 申請人雇用の理由

上記5つは雇用理由書を作成する上で最も重要な項目で、特に3の「担当する業務内容」が重要です。単純作業と誤解されないためにも、専門性や業務のボリューム等も意識して記載するようにしましょう。

理由書ってなに?

では次に、外国人が準備する「理由書」について解説します。

理由書は、外国人自身が「なぜ申請する在留資格が必要なのか」あるいは「自分が在留資格に適している理由」などを示して、提出書類だけでは分からない部分を補うことができます。つまり理由書には、提出書類を補足して追加書類の要求や在留資格の不許可を軽減し、審査をスムーズに進められるメリットがあるということです。

「理由書」の記載項目は申請する在留資格により異なりますが、以下に記した項目とともに、申請者自身が日本の企業にどれくらい貢献できるのかをアピールすることが大切です。

<理由書への記載項目例>

  1. 出身国と来日までの最終学歴・専攻学科
  2. 職歴、実務経験・知識
  3. 雇用契約を結んだ企業への応募理由
  4. 雇用契約を結んだ企業で担当する業務の適正など

入国管理局への雇用理由書例文見せます!

入国管理局への書類はフォームが難しいため、例文を紹介していきます。

雇用理由書の例文を早速チェック!

中規模の機械専門商社がミャンマー進出のために外国人(ミャンマー人)を採用するという架空の設定で、雇用理由書を作成してみます。

                                                 2019年☓☓月☓☓日

△△入国管理局長 殿

東京都千代田区大手町☓-☓☓

株式会社QCDプラス

代表取締役 ○○ ○○

 

雇用理由書

下記の者を当社にて採用することを予定しております。採用に至る経緯と理由をこちらに提示いたしますので、在留資格「人文知識・国際業務」の審議の程、よろしくお願い申し上げます。

1.申請者の概要

採用者氏名:○○○

国籍:ミャンマー

生年月日:1994年☓☓月☓☓日(25歳)

2.会社概要

所属機関:株式会社QCDプラス

事業内容:生産財の販売(工作機械・産業機械・産業用ロボット・3Dプリンターなど、工場の生産現場に必要な商品を扱い、導入後のアフターフォローまで一括プロデュース)

設立:1968年10月

資本金:6000万円

売上:32億5000万円

弊社は、ものづくりの現場に必要な機械・工具等の生産財を提供する専門商社です。1968年10月の設立以来、工作機を中心に「日本のものづくり」を支えてまいりましたが、近年では産業用ロボットや3Dプリンターなど幅広い商品を取り扱っております。売上・利益ともに順調に伸びており、すでに中国や韓国では事業を展開しておりますが、今後は経済発展が著しいミャンマーへの事業展開を検討しています。

主要取引先企業は業界大手メーカーである○○株式会社をはじめ、株式会社△△や□□株式会社など多岐にわたります。

3.申請人の業務内容詳細

当社は海外展開にあたり、数年のうちに経済成長が著しいミャンマーへの進出を検討しており、○○○氏には日本とミャンマーとの架け橋的な役割を担ってほしいと考えております。人文知識・国際業務として通訳・翻訳を任せる予定で、現地企業との折衝や雇用等、言語的に日本人では対応が困難な業務を担当してもらいます。また、生産財導入後のアフターフォローに必要となるマニュアルづくりにも参加してもらう予定です。

入社後は当社が扱う生産財に関する知識を深めてもらうために3ヶ月ほど集中的に研修を行い、日本での暮らしの地盤づくりをする時間に当ててもらいます。その後は、○○氏の経験を活かして、ミャンマー進出に必要となる申請書類等の翻訳・通訳業務を任せるつもりです。

4.申請人の学歴・業務内容との関連性

申請人はミャンマーのヤンゴン外国語大学・日本語学科を卒業しており、卒業後はミャンマー国内で日本企業によるミャンマーのインフラ整備事業に関するプロジェクトの翻訳・通訳業務をしておりました。すでに日本企業とミャンマーとの架け橋としての経験があり、日本・ミャンマー両国のビジネスにおけるマナーや価値観の違いなどを熟知しています。

5.申請人雇用の理由

当社はミャンマー進出にあたり、インターネット経由でミャンマー人の日本語通訳・翻訳者を国内外で応募いたしました。複数の応募があり、筆記試験、1次面接(日本語とミャンマー語)、最終面接(社長)のステップで選考を行い、○○氏を採用することが当社にとって最も有益であるとの結論に至り、雇用条件を確認の上、両者合意に至りました。

ミャンマーでは大学卒業が20歳ということもあり、申請人は25歳でありながら、すでに日本語とミャンマー語の翻訳・通訳業務で5年の経験を有しています。また、日本語能力検定試験の最高レベルであるN1に合格する優秀な人材であるため、当社の業務でも日本語力を活かして活躍してくれることが期待できます。

選考過程では、申請人のコミュニケーション能力の高さが確認できた上、柔軟性や臨機応変さを併せ持っていることを確信いたしました。新たな国への進出となるため、○○氏のように経験があり、なおかつ高い日本語能力を有する人材は当社の発展に不可欠だと考えております。

上記の経緯や理由をご賢察の上、在留資格「人文知識・国際業務」の一日でも早いご許可を賜れますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

雇用理由書のポイントって??

雇用理由書の書き方には決まりがありません。物語的な構成や箇条書きなどがありますが、大切なことはポイントを押さえることです。

<雇用理由書のポイント>

・「自分の言いたいこと」ではなく「入管が知りたいこと」を記載する

理由書の目的のひとつは、入局管理局の審査官に申請人の状況を理解してもらうことです。つまり、「入国管理局が知りたいこと」を記載するということ。したがって、申請人の「過去の在留状況」「現在の状況」「今後の展開」について偽りなく記載することが重要です。間違っても「自分の言いたいこと」だけを伝えないようにしましょう。

・分かりやすく書く

文章がまとまらずに趣旨が伝わらないと、審査の上で考慮されなくなる可能性があるばかりか、最悪の場合は誤解を招くこともあるので、簡潔に分かりやすく伝えるように心がけましょう。

・在留資格によって入管が知りたいことは異なる

在留資格により入国管理局が知りたいことは異なります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」なら大学での履修科目や過去の業務内容との適合性や、採用に至った経緯などが必要です。一方、「経営・管理」であれば、事業内容や決算、収益体制、安定性などを整理して記載する必要があるでしょう。どちらにしても、在留資格にマッチした事項を記載することが大切です。

入国管理局への理由書例文見せます!

外国人採用 悩み

用理由書に続いて、申請人である外国人が準備する「理由書」の例文をご紹介します。

外国人が出す理由書を早速チェック!!

前項でご紹介した「雇用理由書」に登場したミャンマー人の設定で「理由書」を作成していきます。

                                                 2019年☓☓月☓☓日

△△入国管理局長 殿

入国理由書

氏名:○○○

国籍:ミャンマー

生年月日:1994年☓☓月☓☓日(25歳)

私はミャンマーのヤンゴン出身の○○と申します。2014年にヤンゴン外国語大学日本語学科を卒業しました。2011年にミャンマーが民政に移管されたこともあり、それ以降、日本企業のミャンマー進出がはじまり、大学卒業後は日本企業が進めるインフラ整備事業や、日本が官民を挙げて推進する△△経済特区への日本企業の進出に関する法的手続き等の日本語・ミャンマー語の翻訳・通訳を5年間担当し、現在に至っております。

先にも述べた通り、大学卒業後にミャンマーのヤンゴンを中心に翻訳・通訳業務をしておりしたが、日本語能力検定試験N1に合格して自信がついたため、日本国内での業務に興味を抱くようになりました。インフラ整備事業のプロジェクトが一段落したこともあり、時折インターネットで日本国内の求人を探していたところ、株式会社QCDプラスの求人を見つけ、自分の語学力を活かせる仕事だと思い応募しました。

幸いなことに採用が決まり、雇用条件等にも満足しています。同社では、私の日本語能力とミャンマー国内での業務を高く評価していただき、たいへん喜ばしく思っています。日本入国後は、同社の期待に応えられるように力を尽くす所存です。また、一年前から英語の学習もはじめ、より広いフィールドで同社に貢献できるよう努力してまいります。

以上の理由により、日本入国を希望する次第です。私が株式会社QCDプラスで働けるよう、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をご許可いただけますようお願い申し上げます。

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理由書のポイントって??

在留資格の申請人が準備する「理由書」は、申請人自身が「雇用契約の内容や業務内容を確実に理解している」ことを示すために提出します。なぜなら、雇用後に「想像と違う」「聞いた話と違う」などの問題が発生して早々に辞職してしまえば、外国人・企業ともに無駄な労力と費用を費やしたことになるからです。また、辞職後に新たな仕事が見つからずに違法労働をしたり、在留ビザが更新できずに不法滞在したりする可能性も高まるため、入国管理局にとっても避けたいところです。

したがって、申請者が「雇用契約の内容や業務内容を確実に理解している」ことは、企業・外国人・入国管理局の3者にとって有益と言えるでしょう。また、外国人が日本語で「理由書」を書くことは、日本語能力の高さを示すこともできます。特に、翻訳・通訳業務を任せるのであれば、日本語で理由書を書くと印象がいいでしょう。もちろん、母国語で書くこともできますが、その際には日本語訳が必要です。

また、より長い理由書の方が効果的だと考えがちですが、量を気にする必要はありません。なぜなら、外国人自身にマイナス要素がなければ、そもそも入国管理局に理由書を提出する意味がないからです。しかし、申請者側には入国管理局がなにをマイナス要素とするかは分からないため、外国人自身がマイナス要素の心当たりがないと判断しても、しっかりとした理由書を作成しておくことが大切であり安全でもあります。

入国管理局への書類は理由書だけではない?!

入国管理局に「雇用理由書」や「理由書」を提出するのは重要ですが、その他にも必要な書類があります。それは、「理由書に記載した内容を立証する書類」です。

雇用理由書には、企業の「パンフレット」「会社登記簿謄本」「決算書」「雇用契約書」「事業計画書」などが必要です。また、理由書には、申請人の「履歴書」「卒業証明書」「成績証明書」「資格証」などが必要でしょう。

ちなみに、証拠書類は公的機関が発行したものほど効力が高く、民間発行の証拠書類は効力が低くなる傾向です。一番いいのは、入国管理局に疑う余地を与えない証拠書類を提出することでしょう。

入国管理局に提出する理由書は把握できましたか?

理由書は任意の書類ですが、在留資格取得のプロセスをスムーズに進めるためにも必要です。しかし、雇用理由書も理由書も不備があると許可が下りない可能性があるので注意しましょう。また、どちらの理由書も「自分の言いたいこと」を記載するのではなく、「入国管理局が知りたいこと」を記載するのが大切です。当然、虚偽の記載は絶対にしてはいけません。理由書の内容を立証する書類もきちんと揃え、雇用する外国人が優秀な人材であることをアピールしましょう。

<参考サイト>

就労ビザにおける理由書の書き方|グローバル採用ナビ

【1から丁寧に!】ビザ申請時に必要な書類『理由書』について

【採用理由書のひながた・例文】

【例文あり】雇用理由書の書き方を基礎から学ぼう ~文量・ポイント~ | Bridgers

理由書等の作成 | 理由書の作成・添削

採用理由書 | 理由書の作成・添削