日本国内で外国人を雇用するには、就労ビザが必要です。就労ビザについての理解が乏しい状態で採用してしまうと、一歩間違えれば不法就労となってしまい、法律で罰せられます。当記事では、就労ビザの種類から具体的な申請方法まで、外国人採用する際の就労ビザの基本をまとめました。ビザによっては、法律に反する危険があるので、注意しましょう。

労働ビザの基本をまずおさえましょう!

ワーキングビザ

外国人が日本で労働可能なビザについての概要を説明していきます。まず日本に滞在するためには在留資格が必要です。在留資格の中でも外国人が日本での労働を認めているビザを「就労ビザ」といいます。この章では、就労ビザの概要や種類について解説します。

労働ができるビザはこれ!

外国人が日本に滞在するために必要な「在留資格」は29種類あります。その中でも、日本国内での就労が認められている在留ビザを「就労ビザ」といいます。就労ビザは、全28種類ある在留ビザの中でも19種類となります。

19種類の就労ビザは、以下になります。

ワーキングビザ 表

※2019年4月から在留資格「特定技能」が追加されています。

引用:HR NOTEより

国外の外国人を雇用する場合や日本在住の外国人で就労不可の在留資格をもっている場合は、就労ビザを入国管理局で申請する必要があります。なお、労働ビザの種類によって、在留期間が定められています。在留期間を延長したい場合は、入国管理局で更新申請すれば、延長が可能です。

滞在期間については、外国人本人や企業側の意向は関係なく、あくまで入国管理局の判断となります。就労ビザの具体的な申請方法については、後ほど詳しく解説します。

このビザでは労働できない!

日本で外国人の雇用を認められていないビザは、以下の5種類です。

働くことが認められないビザ

引用:HR NOTEより

ただし、スポーツ選手や外交官の家事使用人などに適用される「特定活動」というケースで一時的に就労を認められる場合もあります。一般企業で「特定活動」の外国人を受け入れるケースは極めて少ないので、今回は説明を省きます。

在留カードの確認方法って?

日本での滞在を許可された外国人は、在留カードをもっています。在留カードには「有効期限」があるので、記載されている有効期限を確認しましょう。また、就労可能な在留カードなのか、表面に記載されているので、確認してください。「就労不可」と記載されている場合は、就労ビザの申請が必要になります。就労ビザの申請方法については、次の章で詳しく解説します。

就労ビザの申請方法ガイド

 

ビザ申請書記入

ここからは、就労ビザの申請方法について具体的に解説していきます。就労ビザの申請を間違った方法で行ってしまうと、採用した人材が働けなくなってしまい、最悪の場合外国人労働者の間で悪い口コミが流れ、企業としての信用を失いかねません。

企業としての信用低下にも繋がってしまいますので、就労ビザの申請方法をしっかりと確認しましょう。それでは、就労ビザの申請方法について、解説していきます。

日本にいる外国人を雇うには??

日本在住の留学生や転職した外国人を雇う場合、以下の手順となります。

在留資格のチェック

雇用する外国人の在留資格が就労可能なのか確認しましょう。就労可能な在留ビザは先ほど説明した19種類です。また、在留資格内の活動であるかも確認してください。例えば、報道の在留資格をもっている外国人を大学教授として雇用することは不可となります。

雇用契約書の作成

賃金・労働時間など、一般の雇用契約書と同じような内容で雇用契約書を作成してください。なお、在留資格によっては外国人の母国語あるいは英語など外国人が理解できる言語で作成する必要があります。厚生労働省のホームページにて、外国人を雇用する際の雇用契約書のサンプルがありますので、参考にしましょう。

在留資格変更許可申請

同じ在留資格のまま働けるのであれば、在留資格を変更する必要はありませんが、転職して業務が変わった場合や留学生が新卒として就職する場合は、「在留資格変更許可申請」が必要になります。申請時に必要な書類は、申請書、写真、在留カード、日本での活動に関する資料、パスポート、収入印紙4,000円などです。法務省のホームペーシに記載されているので、事前に確認してください。

これらの必要書類を準備し、入国管理局の窓口で申請を行います。

また入国管理局には管轄があり、管轄内の出張所で申請となります。ただし、内容によっては受け付けていない出張所もあるので、事前の確認が必要です。管轄に関してですが、すでに日本に住んでいる留学生のケース、海外から呼び寄せるケース、外国人を大阪で採用し勤務地が札幌になるケース、ケースによって申請できる管轄が異なるので、注意してください。

例えば、留学生や転職の外国人を採用する場合は、外国人本人の居住地で申請します。例えば、福岡在住で東京での勤務が決まった場合、福岡で申請となります。なお、このケースにおいてビザが申請は外国人本人か行政書士などの取次資格のある者のみです。(申請人が雇用されている機関の職員も地方出入国在留管理局長から申請取次の承認を受けている者は取り次ぐことができます。)一方で、国外の外国人を雇う場合は申請場所が異なります。国外の外国人を雇うケースについては、次章で解説しましょう。

国外の外国人を雇うには??

外国人 ウェイター 男女

国外の外国人を国内に呼ぶケースでは、雇用する企業の所在地を管轄する入国管理局での申請となります。本人が国外にいて申請できないため、企業の担当者が法定代理人となり、代理申請を行います。例えば、勤務地が札幌だったとしても大阪の人事担当者が申請書にサインすれば、大阪での申請が可能です。

申請の時はここの注意しましょう

就労ビザを申請する際の注意すべきポイントについて紹介します。

出身や前職について

企業側は事前に雇用する外国人の前職や出身、学歴などを知り、自社との関連性を理解する必要があります。というのも、入国管理局にて就労ビザを申請する際、雇用する外国人の経験や知識が企業でどのように活かせるのか、書面での説明が必要だからです。

ビザの有効期限

ビザの有効期限を把握しておきましょう。冒頭の方でも説明しましたが、在留ビザおよび就労ビザには期限があります。期限をすぎた状態で雇用していると、不法就労となります。対象の外国人だけでなく、雇用した企業側も法律で罰せられます。

外国人雇用についてのルール

外国人を雇用する際のルールは、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められています。このルールを破ると、不法就労となり、3年以下または300万円以下の罰金を課せられます。外国人を雇用する際は、入管法について把握しておく必要があります。

申請代行サービスに頼める?!

就労ビザの申請は、行政書士に代行してもらうことも可能です。申請代行サービスを利用することで、書類作成の手間が省け、その分自社のビジネスに集中できるのが最大のメリットです。また、その道のプロに頼むため、書類の通過率を高めることができます。できるだけ早く申請したい場合や自社で手間をかけたくない場合は、代行サービスに頼むと良いでしょう。

行政書士の中でも届出済申請取次行政書士が好ましいです。

届出済申請取次行政書士は、就労ビザを取得する際に必要な在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請などの書類作成・提出代行をすると、法務局に届出を行った行政書士のことです。

届出済申請取次の資格をもたない行政書士でも書類作成は可能ですが、提出の際に企業の担当者あるいは外国人本人が入国管理局へ出向く必要があります。

労働ビザについてくわしくなりましたか?

就労ビザについての理解は深まったでしょうか。外国人を雇用する際、一歩間違えると不法就労を認めてしまうことになります。就労ビザの申請が不安な方は、代行サービスに頼むのも選択肢の一つです。ぜひ就労ビザの理解を深め、外国人の採用を検討してみましょう。