高齢社会を飛びこし、超高齢社会といわれている現代。2023年9月の時点で、日本に住む高齢者(65歳以上)は約3,623万人にも及びます。そんな中で2015年時点では175.7万人いた農業従事者は、2023年には116.4万人になりました。
この8年で農業従事者は35%減少しており、この事実に危機感を持っている農業従事者は多いです。

現在では農業を仕事とする農家や企業は、ほとんどが人材不足に悩まされています。

人材不足問題解決として打ちだした国の政策のひとつに、「外国人の受け入れの強化」があります。もし農業分野で活躍できる外国人労働者を多く雇うことができれば、日本国内の農業はいきおいを取り戻すことができるかもしれません。

この記事の中では、農業分野で外国人を受け入れるには、どのような選択肢があるのかを説明します。

農業における外国人労働者の現状は?

日本の農業分野では、外国人労働者は直近の5年間で1.6倍に増えています

出典:令和5年9月 農林水産省 農業分野における外国人材の受入れ

長年のあいだ技能実習生として働く方が多かったですが、最近ではこの制度自体が多く問題を孕んでいるため敬遠されるようになり、「特定技能」での受け入れが増え始めています

農業は産業別の外国人依存度で上位

農業においては2012年から2022年までのあいだに、外国人の割合が「136人に1人」から「44人に1人」にまで増えているという統計が出ています。この10年で約3.1倍になっており、同期間の製造業(約1.9倍)や宿泊・飲食サービス業(約2.7倍)よりも、依存度は急激に高まっています。

「特定技能」で農業に従事できる?

特定技能ビザでできる仕事は、一般的な農業や畜産業に関連する単純作業を含めて可能です。それに加えて農産物や畜産物の加工、製造、運搬、販売なども関連業務として認められていますが、これらは日本人が通常行う業務に付随するかたちでのみ行うことができます。

ただし基本的に「耕種農業」と「畜産農業」を同時に行うことはできません。つまり農作業か、畜産業のどちらか一方の業務に限定されます。

耕種農業とは?

田畑に種まきをして作物をつくる農業のことを、「耕種(こうしゅ)農業」といいます。具体的には、稲作、穀物、野菜、果樹、花などの栽培です。きのこ類、なたね、葉タバコ、生茶などの工作農作物、飼肥料用作物の栽培も耕種農業には含まれます。

畜産農業とは?

畜産農業とは、牛、豚、鶏、猪、めん羊、鴨など、動物の中でも家畜を飼育、肥育、ふ卵する業種の総称のことです。

特定技能「農業」では派遣ができる?

農業と漁業は派遣での雇用可能

雇用の安定性が重要視されるため、原則としてフルタイムの直接雇用のみが可能とされている「特定技能」。しかし農業と漁業では、派遣形態での雇用が可能です。

この理由には大きくふたつあります。

① 農業と漁業はほかの産業の仕事に比べて、繁忙期がはっきりとしている
② 同じ地区であっても、収穫や作付などの作業のピーク時が異なる特性がある

派遣先になるための条件

農業と漁業に携わってさえいれば、派遣先事業になれるわけではありません。以下の4つの条件をすべて満たす場合に、派遣先となることができます。

① 労働、社会保険および租税に関する法令の規定を遵守している。
② 過去1年以内に、特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていない。
③ 過去1年以内に,当該機関の責めに帰すべき事由により、行方不明の外国人を発生させていない。
④ 刑罰法令違反による罰則を受けていないことなどの、欠格事由に該当しない。

出典: 外国人材の受入れ制度に係るQ&A(法務省)

派遣で農業分野で働く外国人は多いの?

日本国内には農業分野を強みにしている派遣会社さまも、数は多くはないですがあります。農業派遣のケースでは、時給が比較的低いので、食事や寮を完備することで働き手に魅力を伝えている案件も多いようです。

特定技能1号「農業」を取得するためには

外国人が特定技能1号「農業」を取得するためには、以下の2点を満たすことが必要です。

⑴ 一定の専門性・技能を有しておりすぐに働ける人材であること
⑵  ある程度日常会話ができて、生活に師匠がない程度の日本語能力を持っていること

技能測定試験、日本語試験に合格する

農業技能測定試験と、日本語試験のふたつを行います。特定技能の試験制度や試験の内容についての最新情報は、試験を実施する団体のホームページ(こちら)を確認していただければと思います。

技能実習2号から移行

特定技能1号「農業」を取得するもうひとつの方法としては、農業分野の技能実習生から移行するという方法があります。

・技能実習2号を良好に修了
・技能実習での職種、作業内容と、特定技能で行う職種が同じ

農業における外国人労働者はどの在留資格で雇う?

農業分野でひとを雇いたいと考えている方にとっては、身分や地位に応じた在留資格である「永住者」「定住者」「日本人の配偶者など」「永住者の配偶者など」(身分系と呼ばれる)人材を雇うこともできます。

この身分系人材はほとんど日本人と同様に雇えるため、受け入れる企業や個人事業主さまにとっても負担がほとんどありません。

しかし現在のところ、農業分野で外国人人材がもっとも多いのは「技能実習」「特定技能」です。

弊社では身分系と呼ばれる、雇用しやすい方の採用に強みがありますが、外国人人材の派遣や特定技能での採用も行っています。農業分野で外国人採用を考えている方は、ぜひ一度お問い合わせください。