日本に住む外国人の数は令和4年末時点で307万人を超え、さらに増加しつづけています。「在留資格」とは、日本へ観光に来る外国人とは異なり、在留外国人たちが日本に住むためにさまざまな目的で取得している資格です。

本記事では職業や身分など、多くの種類に分かれている在留資格の概要や、在留カードとは何かということ、また在留資格の取得方法などを解説いたします。

在留資格の基礎:まずは種類のおさらい

外国人が日本に住むためには、どんな目的で在留するかを行政に申請し、その内容を認められたあとで在留資格を得る必要があります。
現在日本に住む外国人の在留資格でもっとも多い種類が「永住者」(約80万人)、ついで「技能実習」(約40万人)、「特別永住者」(約31万人)の順番です。

在留資格の概要を確認し、種類にはどんなものがあるのか理解しましょう。

そもそも在留資格って何?

在留資格」とは、外国人が日本に入国したあとで適法に滞在するための資格です。
入国管理局が前身の出入国在留管理庁によって、入国管理法に基づいた審査を経て付与されます。

一方で「ビザ」とは、外国にある日本の大使館や領事館により発給されるもの。パスポートの有効性と、外国人が日本に入国しても差し支えないことを示す証書です。
法務省の管轄である「出入国在留管理庁」と外務省の管轄である「大使館・領事館」は、それぞれ独自の審査基準を持つため、ビザがあれば在留資格の審査にかならず通る、とは限りません。

また外国人が「短期滞在以外の在留」を希望する場合には、入国管理法で定められた在留資格のいずれかに該当する活動であることを出入国在留管理庁が審査し、法務大臣が「在留資格認定証明書」を交付します。
「在留資格認定証明書」はビザが発給される前に交付されるものです。在留資格認定証明書が交付されたからといって、かならずビザが発給されるとは限りません。

▼こちらの記事もおすすめ

出入国在留管理庁とはどのような機関なの? 入国管理局との違いや役割を詳しく解説します!

職にまつわる在留資格

日本で働くための在留資格は「特定活動ビザ」「就労ビザ」とも呼ばれています。
種類は下の一覧で確認しましょう。

留学 ・・・ 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒
研修 ・・・ 公私の機関により受け入れられた研修生
技能実習 ・・・ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づき、講習を受けたり業務に従事したりする者。1号、2号、3号に分類される
特定技能 ・・・ 定められた特定産業分野での業務に従事する者。1号、2号に分類される。人手不足の解消を目指し、2019年4月1日より開始
外交 ・・・ 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等やその家族
芸術 ・・・ 作曲家、画家、著述家等
報道 ・・・ 外国の報道機関の記者、カメラマン等
教育 ・・・ 中学校・高等学校等の語学教師等
興行 ・・・ 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等
特定活動 ・・・ 外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等

身分にまつわる在留資格

職業だけでなく、一定の基準を満たした「身分による在留」(いわゆる「身分系」)も認定されます。
種類を下の一覧で確認しましょう。

永住者 ・・・ 原則10年以上継続して日本に在留していて、「素行が良好であること」「独立した生計を立てられる資産や技能を持っていること」「その者の永住が日本の利益になること」の三つを満たした者
日本人の配偶者等 ・・・ 日本人の配偶者・子・特別養子など
定住者 ・・・ 第三国定住難民・日系3世・中国残留邦人など、特別な理由により居住が認められた者

永住者の在留期間は無期限、そのほかは最長5年です。

在留資格の基礎:在留カードってなに?

在留カード表裏

画像引用:出入国管理庁ホームページ

「在留カード」とは3ヶ月を超える在留期間が決定された外国人や、「外交」または「公用」の在留資格が決定された外国人などに対し、その外国人が適法に在留する者であることを証明するカードです。

在留カードには、氏名・生年月日・性別・国籍・居住地・在留資格・在留期間・就労の可否など、法務局が管理する個人情報の中でも重要な項目が記載されています。
また在留カードには不正防止のためにICチップが組み込まれており、カードに記載されている項目の全部または一部がICチップの中に記録されています。

在留カードで在留資格を確認する際は、表面の中ほどにある「在留資格」の項目を見れば、在留カードの持ち主にどんな在留資格が付与されているかわかります。
また中長期在留者が所持する従来の「外国人登録証明書」は、みなし再入国許可による出国の際や、入国管理局で行う各種申請手続、市区町村で行う住居地届出手続などにおいて「在留カード」とみなされます。

在留資格の基礎:取得方法について

一度も日本に住んだことがない外国人が日本に在留する場合は、新規に在留資格を取る必要があり、すでに在留資格を取得している外国人の在留理由が変わる場合は資格の変更を行う必要があります。
また在留資格は一度取得してしまえば期間満了まで確実に日本に住めるわけではなく、さまざまな理由で取り消しになります。
在留資格の取得や取り消しに関しての基礎知識を確認しておきましょう。

在留資格はこうやって取得する!

まだ日本にいない外国人が在留資格を取得する場合は、「在留資格認定証明書」と「ビザ」が押印されたパスポートを持参して来日し、上陸した空港で上陸審査を受ける必要があります。
審査にパスし、決定された在留資格および在留期限を入国審査官からパスポートに押印され、併せて在留カードを交付されることでその外国人は正式に在留資格を得られます。

また留学生などすでに日本国内に在住している外国人が、そのまま日本の企業に就職する場合は、在留資格「留学」などの種類を就労形態に適した在留資格の種類に変更する必要があります。
具体的には、その外国人の居住地を管轄する地方出入国在留管理局などへの在留資格変更許可申請が必要です。

「在留資格の変更手続には時間がかかるはず」という配慮から、変更前の在留期限から60日間は在留資格なしでも滞在できます。しかし変更申請は30日以内に行わなければならないと定められています。

在留資格は取り消されることもある

入国時の手続や在留期間の更新における申請の際に、虚偽の記載をしたり、偽変造された文書や資料を提出したりということが発覚すると、在留資格を取り消されることがあります。

また在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで滞在していた場合にも、同様に在留資格を取り消されることがあります。しかし正当な理由がある場合はその限りではありません。

以前は3ヶ月以上にわたり活動の実態が確認されない場合のみ、在留資格の取り消しが可能とされていました。しかし平成28年の入国管理法改正により、現在は3ヶ月経たない場合でも取り消しが可能となっています。

1年以上の懲役刑や禁固刑に処せられた者、禁止薬物の取締法違反により刑に処せられた者は、日本からの退去強制が命ぜられ、日本への入国が二度とできなくなります。
在留資格が取り消され出国命令が下されたあと、出国準備のために与えられる猶予期間中に出国しなかった者も、同様に退去強制の対象です。

▼こちらの記事もおすすめ

在留資格の取り消しはよくある話? 活動資格と居住資格のちがいについても解説します!

在留資格について理解が深まりましたか?

在留資格は「出入国在留管理庁」から付与される、外国人が日本に住むために必要な資格です。
外務省から発給されるビザとは異なります。

在留資格はさまざまな種類にわかれており、「在留カード」を見ればどんな在留資格の種別なのかすぐ判別できます。

初めて在留資格を取得する場合は、入国時の上陸審査を受ける必要があります。在留理由を変更する場合には、行政にその旨を申請しましょう。
また在留資格は取り消されることがあり、悪質な場合は「退去強制に処される可能性がある」こともしっかりと覚えておきましょう。