近年ますますの国際化が進む中、海外へ旅行に行く日本人は増えましたが、同時に来日する外国人観光客も増えています。その中で問題となっているのが、ホテルなどの宿泊施設で働く従業員の人手不足。日本国内で働く外国人労働者が増えた今、言葉の問題で活躍を期待できる外国人労働者をホテルのスタッフに採用することにスポットが当てられています。

そこでこの記事では、ホテル業界の現状から採用に至るまでを解説します。

外国人はホテル業界に不可欠!?

海外のホテル風景

近年外国人観光客は増加の一途をたどり、東京、大阪などの都市部では特に、ホテルの需要は高止まりが続いています。しかし利用者が増えたことから、ホテル従業員の業務負担は増すばかりで、離職も相次ぎ人手不足に陥っています。人手不足解決のためにも、コミュニケーションのためにも外国人労働者は期待されています。

ホテル業界の現状とは

国際化が進む中、日本の魅力向上やアジア圏の所得水準の上昇、さらには円安も相まって外国人観光客は年々増加しています。ホテル業界を取り巻く現状は大きく分けて2つ。ホテルそのものが不足している問題と、従業員の人手不足です。
<ホテル業界の現状>
 外国人宿泊者の増加に伴うホテル不足
 ホテルの従業員不足
 東京オリンピックを見据えた対策が必須

特に都市部に需要が集中しているのが特徴で、政府目標である2020年の訪日外国人客数が4000万人を達成した場合、東京や大阪での深刻なホテル不足が懸念されています。建設コストがかかるホテルの増設が見込めない中、さらなる観光客の増加と東京オリンピック特需が迫っており、ホテル不足問題の解消に向けた対策が求められています。

ホテル不足と同じく問題とされているのが、従業員の慢性的な人手不足です。労働人口の減少も影響していますが、「長時間労働」と「休日の少なさ」を理由として離職者が後を絶ちません。どのホテルも人材確保に頭を悩ませている中、少ない人員で業務をこなさざるを得ない状況が従業員のさらなる負担となっており、負のスパイラルを改善する対策が急務とされています。

外国人従業員は増えている?

政府は日本の労働人口が減少する対策案として、外国人労働者を積極的に受け入れる政策を推進してきました。2019年4月に改正入管法が施行されたことにより、今後ますます街中で働く外国人を目にする機会は増えるでしょう。外国人労働者の推移をまとめました。

外国人労働者の推移

画像引用元:Beyondホームページ

外国人労働者増加率の推移画像引用元:「外国人就労の現状と課題」(ニッセイ基礎研究所ホームページ)

日本における外国人労働者は急激に増加しており、特に2015年以降の際だった伸び率に注目。産業別の推移では、2013年から2017年にかけて就業率が2倍に増えており、2020年に開催される東京オリンピックのホテル需要に向けて活躍が期待されています。特に2020年の訪日外国人客数は4000万人を目標としているため、言葉の面で頼りになる外国人労働者は貴重な人材です。

外国人をホテル業界で雇えるビザは?

2019年4月の改正入管法の中で、宿泊業を含む14業種を対象に「特定技能1号」が新設されました。この制度改正により、宿泊業での外国人労働者の就業資格の間口が大幅に拡大。今後さらに多くの外国人労働者がホテル業界に就労できる環境が整いましたが、既存資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」との違いに戸惑いの声があるのも事実です。

そこでこの記事では、改正入管法を境にして変化するホテル業界の外国人雇用について解説します。

どのビザが必要?

2019年3月まで、ホテル業界が外国人労働者を雇用する際は「技術・人文知識・国際業務ビザ」という在留資格のみで雇用が認められていました。在留資格にはそれぞれの保有資格に該当する業務に従事することが定められています。

したがって、在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」では、専門職に分類されるフロント業務やホテルの通訳などに仕事の範囲が限定され、清掃などの単純作業をすることはできません。万が一対象外の業務をさせてしまい、そのことが発覚すると事業者には罰則が与えられるので注意が必要です。

外国人の雇用に際して、「技術・人文知識・国際業務ビザ」という在留資格を主な柱としていたこれまでの流れに大きな変化をもたらしたのが、2019年4月に施行された改正入管法です。これを境に宿泊業を含む14業種を対象に「特定技能1号」が新設され、より多くの外国人がホテル業界に就労できるようになりました。これまで留学生のアルバイト等以外で清掃・配膳などの単純労働が一切認められていなかったホテル業界では、歴史的な変革ともいえます。資格による仕事内容の違いをまとめました。

<主要なビザの種類と仕事内容の違い>
 「技術・人文知識・国際業務ビザ」…フロント業務やホテルの通訳(単純労働不可)
 「特定技能1号」…フロント業務などに加えて、掃除や荷運びなどの単純労働も可能

在留資格の違いについての絵
参考URL:外国人雇用の教科書ホームページ

従来の在留就労資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」や「技能実習制度」(表右端)では、単純労働ができないということ以外に学歴、実務経験が求められることも日本での就労を妨げる原因になっていました。これに対し、「特定技能1号」は日本国内の労働力不足解消を目的として新設された在留資格なので、対象となる業種であれば幅広い業務に就くことができるのが特徴です。雇用形態に関しては、派遣は認められておらずフルタイムの直接雇用で、尚且つ日本人と同等以上の給与支払いなどの義務があることも覚えておきましょう。

現在でも多くの外国人労働者が全国のホテルや旅館で働いており、その内7割近くが留学生のアルバイトです。留学生のアルバイトは週28時間までという制約があり、2020年の東京オリンピックに向けて既存の在留資格「技術・人文知識・国際業務ビザ」とアルバイト従業員だけでは雇用及び労働力共に不安定となることは明白。

この状況のなか、対象業務範囲の広い「特定技能1号」が宿泊業に増設された意義は大きいです。掃除や荷運び、レストランでの接客などの単純労働が認められる「特定技能1号」が新設されたことで、ホテル業界の外国人採用は一気に加速するでしょう。

特定技能2号は認められていない?

宿泊業は「特定技能1号」に対象の業種となりましたが、「特定技能2号」の対象は現在のところ建設業と造船業の二業種に限定される予定で、宿泊業は含まれていません。

特定技能1号は日本での就労年数が通算5年までと限定されており、長期にわたる雇用の安定は見込めない状況です。他の就労資格のように外国人を長い期間雇用することはできないので、どんなに優秀な外国人労働者であっても、定年まで勤務してもらうことはできません。

そこで今後、滞在期限のない「特定技能2号」が宿泊業の対象になれば、同じ外国人を長期にわたり雇用することができるようになるため、対象に加えられることが期待されています。

外国人をホテル業界で雇う求人方法

がいこくじn

ホテル業界で外国人を雇用する際の方法は大まかに2通り。外国人専門求人サイトに求人を出すことと専門学校の就職担当者に問合せすることです。それぞれご紹介します。

外国人専門求人サイトに求人を出す

「特定技能1号」の認定試験に合格した外国人は、各自で就職活動を行います。外国人の就職活動も日本人同様、求人募集に直接申し込むのが一般的なケース。そのため外国人の採用に関しては、外国人専門求人サイトに求人募集をかけるのが効率的です。旅館やホテルが外国人を受け入れるための求人サイトをまとめました。

<求人サイト>

NINJA
株式会社グローバルパワーが運営する、日本で就労したい外国人のための就職情報サイト。国内最大級のエージェントのひとつで、134カ国約4万3,000人が利用しています。日本語が話せる優秀な外国人の紹介や派遣はもちろん、新卒の外国人の紹介も行っています。登録外国人に対してのサポートが充実しているのも特徴で、日本式のビジネスマナーのノウハウから在留資格変更・申請書類の作成まで支援するシステム。外国人を採用したい企業が無料でコンサルタントに採用相談できるので、初めての外国人採用におすすめです。

Gaijinpot Jobs
フジサンケイグループのジープラスメディア社が運営する、日本最大の在日外国人向け情報サイト。月間75万ユーザーを誇るメジャーな求人サイトで、正社員からパート就労まで、英語力を活かせる求人が多数掲載されています。求人広告の掲載期間は30日で、応募者を言語レベルや場所などカテゴリ別で検索できるのも便利。日本で働きたい外国人の方がまず登録しておきたいサイトとして人気があるので、候補の1つとしておすすめです。

JOBTOPIA
株式会社フューチャー・デザイン・ラボを運営元とする外国人求人サイトです。前身であるDRAGON GATEを引き継ぐ形となっており、外国人採用に際してのノウハウは充分。ジョブトピアのスタッフが直接学生に対してカウンセリングを行い、個々の強みや適性を把握。募集企業の希望と価値観がマッチングする学生をピックアップして紹介しています。

専門学校に行ってみる

日本で専門学校を卒業した留学生も、大学を卒業していない場合でも就労ビザの取得が可能なので、採用手段の一つとして検討することができます。ただし、外国人を採用するためには、学習内容と業務内容の一致が原則。専門学校生は最終学歴が大卒の方よりも学習範囲が狭いことを理由に、審査が厳しく採用の難易度は高くなることが多いです。

専門学校生を採用する際は、担当する職務内容との関連性が合致することをきちんと押さえてビザの申請をしましょう。例えば、日本で観光の専門学校卒業(ホテル学科専攻)の学生は、ホテルでフロント業務や通訳としての採用実績があります。ホテル学科の専攻コースの有無を参考にするのも一つの方法です。

外国人急上昇中のホテル業界について掴めましたか?

ホテルの画像
国際化が進む中で、来日する外国人観光客が年々増加しています。しかし需要に供給が追い付かず、特に東京・大阪などの都市部では宿泊ホテルも従業員も不足気味。2020年の東京オリンピックが目前に迫る中で、2019年4月に改正入管法が施行された意義は大きく、ホテル業界において外国人労働者の雇用は一気に加速する見通しです。外国人労働者の採用方法を知って、安定的な就労を実現しましょう。

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