2018年12月在留資格「特定技能」を中心とした「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部が改正され、2019年4月から人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での外国人を受入れが可能になりました。

在留資格「特定技能」は、産性向上や国内での人材確保のための取組みをしてもなお困難な産業分野で一定の専門性・技能をもつ即戦力となる外国人を受け入れるもので、これまで制限された単純労働にも外国人を雇用できるようになることに画期的な意義があります。

わが国には技能実習制度がありますが、技能実習生を受入れる企業の規模は2017年のデータでは受入企業の66%が従業員19人以下の零細企業で、「国際貢献」より「人手不足解消」の手段として使ってきたのが現実です。

今回は人手不足への対応を目的として導入された在留資格「特定技能」をご紹介します。

特定技能の基礎とは

移民政策をしていないわが国においては、外国人の単純労働は原則として禁止されています。

しかしながら、深刻な人手不足に対応するために、2019年4月から、建設業、造船舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護業、ビルクリーニング業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器産業の14業種での「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」と認められる業務に従事する「特定技能1号」と建設業、船舶舶用工業の2つの業種で、家族滞在や在留資期間の更新が可能な「特定技能2号」という在留資格が新設されました。

在留資格「特定技能」とは

外国人が日本に在留するためには在留目的等を地方入国管理局等の官署に申請し在留資格を認定される必要があります。在留資格「特定技能」には、次の2種類があります。

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

特定技能2号

特定産業分野に属す熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

それぞれのポイントをいかに表にしました。

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 1年、6か月又は4か月ごとの更新

通算して上限5年まで

3年、1年又は6か月ごとの更新
技能水準 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) 試験等で確認
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力

試験等で確認(技能実習2号を修了した

外国人試験棟免除)

試験等での確認は不要
家族の帯同 基本的に認められない 要件を満たせば可能(配偶者と子供)
受入れ機関又は登録支援機関による支援 対象となる 対象とならない

特定技能外国人を受け入れる分野は、生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお人材確保が困難な状況にあるために、外国人によって人材確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)です。

具体的には、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について及び「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」」(ともに2018年12月25日閣議決定)で次のように定められています。

特定技能1号

介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14業種

特定技能2号

建設業、船舶船用工業の2業種

必要な試験は

特定技能評価試験

各業種ごとの業界団体が国の定める基準に基づいて「技能水準」と「日本語能力水準」について実施される試験です。

特定技能評価試験が開発される時期は次のように定められています。

  • 2019年4月  宿泊業、介護業、外食業
  • 2019年10月  飲食料品製造業
  • 2019年秋以降  ビルクリーニング業
  • 2020年3月まで  残りの9業種

日本語能力判定テストは2019年から開始される予定です。技能水準及び日本語能力判定試験は原則として日本国外で実施されます。現在はベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルの9カ国に絞れていますが今後拡大する可能性もあるので注意しましょう。

申請方法はこれ!

「特定技能」の在留資格をもって入国・在留を希望する外国人に関する在留諸申請は、地方出入国管理局等官署に、次の書類を提出して申請します。

  • 在留資格認証明書交付申請書
  • 特定技能外国人の履歴書
  • 特定技能所属機関概要書
  • 法人の場合は登記事項証明書   個人の場合は住民票の写し
  • 法人の場合は役員の住民票の写し
  • 決算文書(貸借対照表及び損益計算書)
  • 特定技能所属機関に係る労働保険に関する資料(労働保険手続きに係る保管文書の写し等)
  • 特定技能所属機関に係る社会保険に関する資料(社会保障手続きに係る保管文書の写し等)
  • 特定技能所属機関に係る納税に関する資料(法人税・住民税の納税証明書等)
  • 特定技能雇用契約書及び雇用条件書の写し
  • 特定技能雇用契約に関する重要事項説明書
  • 特定技能外国人の報酬額が日本人の従事する場合の報酬額と同等以上であることの説明書
  • 入国前に仲介業者支払った費用等を明らかにする文書
  • 技能試験に係る合格証明書  技能検定3級等の実技試験合格証明書等
  • 日本語能力試験に係る合格証明書  同上
  • 特定技能外国人の健康診断書
  • 1号特定技能外国人支援計画書
  • 登録支援機関に委託する場合、支援委託契約書
  • 支援責任者の就任承諾書及び誓約書
  • 支援責任者の履歴書
  • 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
  • 通算在留期間に係る誓約書

 特定技能外国人を雇うには

特定技能外国人はフルタイムとした上で、原則として直接雇用になっております。但し次のすべての要件を満たす場合は、例外的に特定技能所属機関(受入れ機関)が派遣元となって、派遣先へ派遣を行う派遣形態を採用することが認められます。

  • 特定技能所属機関が特定産業分野に係る業務又はこれに関連する業務を行っている場合
  • 分野の特性に応じて派遣形態とすることが必要不可欠なものである場合
  • 派遣先が所定の条件を満たすことが確認できた場合

特定技能雇用契約の締結

特定技能の在留資格を有する外国人と受け入れ企業との間で「特定技能雇用契約」を締結します。この雇用契約には次の事項を定めなければなりません。

従事する業務

「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する政令で定める熟練した技能を要する業務に外国人を従事させるものであること」とされ、前者は「相当期間の実務経験等を要する技能であり、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のもの」とされています。

労働時間

他の通常の労働者の所定労働時間と同等でなければなりません。

報酬額

日本人が従事する場合の報酬額と同等以上にしなければなりません。単に最低賃金を守れば良いというものではありません。

差別の禁止

外国人であることを理由として、報酬額の決定・教育訓練の実施や福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的な取扱いをしてはなりません。

有給休暇

外国人が一時帰国を希望した場合、必要な有給休暇を取得させるものとしなければなりません。

帰国の旅費

外国人が特定技能雇用契約の終了後の帰国に要する旅費を負担できないときは雇用している企業が旅費を負担します。また契約終了後出国が円滑にされるように必要な措置を講じなければなりません。

生活状況の把握

雇用する企業は外国人の健康の状況その他生活の状況を把握するために必要な措置を講じなければなりません。

受け入れ機関になるには

特定技能の受入期間として認められるためには、受入機関としての4つの要件を満たし「特定技能所属機関(受入機関)」の認定を受ける必要があります。

  • 外国人と結ぶ特定技能雇用契約が適切である(日本人労働者と同等以上の報酬額を支払うなど特定技能雇用契約が適切に履行されることが求められます。)
  • 特定技能所属機自体が適切である(過去5年以内に労働基準法や出入国管理法など諸法令を遵守していることが求められます。)
  • 外国人を支援する体制がある

具体的には次の9つの支援が求められています。

  1. 事前ガイダンスの提供
  2. 出入国する際の送迎
  3. 適切な住居の確保に係る支援や生活に必要な契約に係る支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 日本語学習の機会の提供
  6. 相談または苦情への対応
  7. 日本人との交流促進に係る支援
  8. 外国人の帰責事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援
  9. 定期的な面談の実施、行政機関への通報

登録支援機関とは

登録支援機関とは、特定技能所属機関(外国人を受入れ雇用する企業)との契約により委託を受けて、1号特定技能外国人に対して、日本における活動での活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするためにサポートをする機関です。

職業生活、日常生活上または社会生活上の支援(このことを1号特定技能外国人支援といい、この実施に関する計画を1号特定技能外国人支援計画といいます。)の全部の実施の業務を行う法人または個人であって、出入国管理庁長官の登録を受けています。

画像引用:外国人雇用支援機構(登録支援機関の1つ)ホームページ

特定技能の注意点はこれ!

外国人 悩んでいる
  • 日本人労働者と同等以上の報酬額を設定されているかどうか

※ちなみに月給制に限定されているわけではなく、日給制、時給制むでも問題ありません。

  • 労働時間は通常の労働者の所定労働時間と同等であるか

※特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが想定されていることから、通常の労働者とはパートタイマーやアルバイトではなく、その会社で働くフルタイムの正社員のことを指しているのです。外国人労働者が一時帰国を希望したときは必要な有給休暇を取得させるものとされているか(労働基準法39条)。

  • 定期健康診断を受診させることになっているか(労働安全衛生法)
  • 報酬支払を口座振込みでする場合、外国人労働者の同意を得ているか
  • 特定技能外国人との間で保証金の徴収、違約金契約が締結されていないか
  • 支援についての費用負担をさせないことを説明しているか

※特定技能外国人への支援に要する費用は特定技能所属機関が負担すべきものであり特定技能外国人に負担させることはできません。

特定技能について詳しくなりましたか?

ビルクリーン

移民政策を採用していないわが国においては、外国人の単純労働は原則として禁止されてきました。

しかしながら、深刻化している4人手不足に対応するために、2019年4月から建設業、船舶船用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護業、ビルクリーニング業、農業、漁業、飲食料品製造業、素形材産業、産業機械製造業、外食業、電子・電気機器関連産業の14業種での「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」と認められる業務に従事する「特定技能1号」と建設業、造船舶用工業の2業種で家族滞在や在留期間更新が可能な「特定技能2号という在留資格」が新設されました。

労働人口が減少し求人倍率が増加するなかで週28時間アルバイトや単純労働が認められない技能実習生では対応できなくなり、一定のルールのもと外国人の新たな就労を認める在留資格の創設が検討され、特に国内では十分な人材確保ができない14分野を特定産業分野として、これに限定して外国人が現場作業などで就労することができるようになりました。

これまで外国人の単純労働を認めていなかった日本にとって外国人の単純労働を限定的に認めるというのは大きな方針転換であると言えます。